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プロ修斗沖縄大会 斬修斗沖縄 vol.5 その3

そして、本戦へ。まずは、全選手入場!東京でもおなじみの北森さんのアナウンスに呼ばれて、各選手ケージイン。

修斗のこれがやっぱり好き。
ケージ導入初期には、進行の都合を考えると、もう全選手入場はできないかも知れないとも言われていたが、今なお続けてくれるのが嬉しい。これがあると、すごく気持ちが高まる、大事なセレモニーだと思う。

選手の入場に合わせて、観客席から拍手が聞こえる。ああ、あの辺が、あの選手の応援団なんだな、この選手は人気が凄くあるな、などとおまけの情報も手に入るのが、全選手入場式でもある。

本戦は、印象的な試合をピックアップしよう。

この試合、KJタイラー選手の動きが良かったが、会場的には、ホームの若山選手を応援する雰囲気が強く、それに応えるように盛り返す若山選手。
試合が終わると、出し切った若山選手に、BJさんは「胸を張れ!」と叫び、判定が告げられたときのファンの喜び方が凄かった。泣いている人もいるくらい、待ち望まれていた勝利だったのだろう。(手前の影は、松根さんのガッツポーズ。)

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何も知らずにこの一戦を見ると、いまだ勝ち星のなかった若山選手が判定勝利したという事実だけなのだけど、若山選手のこれまでの道のりを知ると、一気にこの勝利が「悲願の」初勝利となり、重みが増す。
その辺の詳しいことは、見所解説でも松根さんから語られているので、是非見てみて欲しい。

なんというか、格闘技の醍醐味の一つが、リングやケージの上で行われる試合の背後にある、選手本人の人生、生き様をぶつけるストーリーにあると思うが、まさに、今回の若山選手の試合がそれだった。

南風原選手vs持田選手。これは、今年のプロ修斗新人王トーナメントの一戦。

この試合、持田選手のファイトも良かったが、南風原選手が比較的早い段階で得意な寝業の展開に。持田選手もディフェンスする中、お、試合が動きそうだ…と思った瞬間に、南風原選手がツイスターでタップを奪って勝利。これはビックリした。南風原選手、見事だった。

ちょっとこの試合に関連して加筆すると、現在行われているプロ修斗新人王トーナメントは、中止となった去年の分も合わせて2022年度分として開催されている。そのため、選手には例年以上にとてもハードなトーナメントであり、ファンにとってはワクワクするカードが並び、本当に楽しみだ。

当真選手vs金内サイダー選手。

試合は、当真選手が快勝。連敗を止める久しぶりの勝利、おめでとうございます。

私ごとながら、これは、撮影に大失敗した試合でもある。うかつにも、カメラのダイヤルを途中で動かしてしまい、設定が変わり、あわわわ…と慌てた状態のとき、当真選手のストレートが決まり、金内選手が崩れ、当真選手が追い打ちKO勝利をあげていたが、全部撮り損ねた!
当真選手の勝ちっぷりに反して、やってしまった!という思いでいっぱいだった。

余談だが、何試合見ても、うまく写真が撮れない選手というのがけっこういて、その一人が、当真選手だった。
会場、座席位置、ファイトスタイル、試合展開、セコンドの陰、柱、中継のカメラマン…色んな事情が重なって、全然撮れないなー!って思うことはけっこうあるのだけど、今回のように自滅するケースもある。
忘れずに反省しなければならないが、自分の性格上、多分、忘れてしまうだろう。

児山選手VS工藤選手。

結論から言うと、大会終了後のMVPも含めて、本大会は児山選手劇場となった。

児山選手は、元環太平洋王者。ただし、ここ数年試合に出てなくて、久しぶりの修斗参戦となる。一方の工藤選手は「デビュー戦」。この情報だけを見ると、キャリア差がありすぎる試合で、児山選手の復活をお膳立てするようなマッチメイクに見えるかも知れない。
ただ、工藤選手はVTJ in OKINAWAにも出場していたし、地元では実績を残していて、全く侮れない選手だ。おそらく、児山選手側も用心していたと思う。開始直前、セコンドから「すぐ来るぞ!」と工藤選手の開始早々の猛攻を警戒させる檄が飛んでいた。
実際、工藤選手が開始と同時に凄い勢いで詰めてきて、先手を取られた、という表情が児山選手にも垣間見られた(…と思ったが、写真を見たらそうでもなかった。思い込みだった模様。)。だが、そこを凌いでからは、児山選手らしいファイトで、シングルレッグからのテイクダウン、コントロールと本来の強さを見せた。見事な復帰戦だった。

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なお、工藤選手は、このあと、新人王トーナメントの中でも激戦区のフェザー級で一回戦もあり、今後の活躍が楽しみ。

そしてメイン。

本大会が決まった時、Theパラエストラ沖縄の選手の中で、ランカー入りしている旭那選手がメインになるだろうなとは思っていた。

ただ、相手が木内選手になるとは思わなかった。相当びっくりしたというのが本心だ。

というのは、木内選手は、既に一度旭那選手と対戦して勝利していて、世界ランクでも上位にいる。しかも、わざわざ旭那選手の地元、沖縄に乗り込んで試合するっていうのは、これから王座を狙う上ではリスキーだし、メリットも大きくないように思われた。

でも、木内選手は、戦うことを選んで、ここに立っている。第3回大会でメインを務めた沖縄大会への愛着とか、ファイターとして、叩き潰しておきたいという思いとか、今後のストロー級戦線をにらんだ上で色々考えがあるんだろうけど、率直に驚いたし、尊敬に値する選手だと思った。

一方で、旭那選手からしてみれば、ここまで条件が整った地元大会のメインとなれば、何が何でも勝たなければならないというプレッシャーが半端なかったのではなかろうか。その辺はインタビューでも読んでみたいところだ。

試合は、木内選手はタックルからのテイクダウン、引き込みで、下から狙い、旭那選手はそれをつぶして上からの打撃で削り、ギロチンなどを狙う展開。
結果としては、30-27が3人と旭那選手の完勝となったが、正直な感想を言えば、そこまで大差は感じなかった。木内選手のアタックを評価する見方もあるだろうし、旭那選手がダメージを与えて極める形までもっていったことを評価する見方もあるだろうし、ファンの感想としては、「どっちも良かった!」ということになる。

もう一点、旭那選手について。
まずは、今回、地元大会のメインを任せられ、その責任を果たしたことにお疲れさまでした。
そして、前回の対戦に比べて、旭那選手は格段に強くなっているということは書いておきたい。それは間違いない。コンスタントに強豪との対戦を重ねて、その成果が十分出ているのだと思う。
試合後のマイクで、来年はベルトを狙うという言葉も、もはや現実的な射程距離に入っているといっていいと思う。ランク上位は、ストライカータイプの選手も多いストロー級戦線。ますますの激戦が予想されるけど、活躍を楽しみにしています。

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また、木内選手。翌日の投稿に、「次だ、次!」と書かれていたが、本当にその気持ちで、また一つずつステップアップしてほしい。木内選手も応援しています。

kこうして本戦終了。沖縄大会恒例のMVPに児山選手が選出された。

亡くなられたお父様への思い、支えてくれた彼女への感謝を述べると、北森さんが扇動して、彼女をケージに迎え入れる。

お二人が並び、児山選手から直接感謝を伝えると、「あれ、あれ、何やらいい雰囲気になってきたぞ、おぉ、ひょっとしてこれは!プロポ…きゃあ!」というゲスい期待感が会場に沸き起こる。
やや躊躇する児山選手を見て、観客の早く求婚しちゃえという思いが爆発しそうになる中、児山選手が、期待をかわすようにMVP賞をプレゼント。その瞬間、全員がやや肩透かしを食らった感があるが、まぁ、それが児山選手らしくて最高だったのではないかな、と思った。お幸せに!

そして、沖縄大会も大団円を迎える。
各所で記念撮影や、挨拶が交わされ、にぎやかなうちに散会となった。

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もちろん、選手には勝ち負けあるし、シビアな勝負論を感じる大会ではあったけど、とてもアットホームで、最後は幸せな気分で万事が終わったというのが正直な感想。
本当に良かった、良かった…沖縄大会はこうあってほしいよね、と、語彙の少ないおじいちゃんのような感想を口にしながら、会場を後にした。


さて、最後に余談編をもう1章書いて締めます。

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