ゆたかさの海で失くしちゃったもの・・・
おはようございます。
今日は、お休みなんですが
マンションの排水の清掃と、ケーブルテレビの通信点検なるものがあり、
立ち会いのため、在宅を余儀なくされております。
ところで・・・
先日、古い携帯電話を処分しました。
使わなくなった携帯電話は、ショップなどで回収してくれます。
私が使っていた歴代の携帯を見ていると・・・
当時の甘酸っぱい思い出(どんな)が、甦ってきました。⇦乙女かよ。笑
確かに携帯が普及して・・・
世の中、便利になったんですよね。
なったんですか?
不自由を「簡単」「便利」にしようとするところから、すべての発展があるんですよね、きっと。
なったんですか・・・?
でも・・・
そんな『便利』が、『不便』と感じられるようになったこと、多くないですか?
携帯電話。
24時間空いてるコンビニ。
土曜日の夕方、月曜日に学校で使うクロッキーブックを買い忘れて、
半泣きになりながら、走ってお店に向かった小さい頃の記憶があります。
夜や日曜日は、お店は閉まっているもの。
それが当たり前でしたから・・・。
ある頃から・・・
ぼくは、そんな便利なはずのものが「我慢できない人」を続々と生み出しているような気がしています。
ひょっとして「キレる人」もその「簡単」「便利」が生み出した副産物でしょうか。
ちょっと話が逸れますが、
ドイツの「閉店法」って、今を見据えていたんじゃないかと思えて面白いですね。
「簡単」や「便利」が、私たちに与えてくれた沢山の恩恵。
でも、同時に・・・
そんな「便利」なものが「学ぶ気持ち」や「趣」や「心のゆとり」や「寛大になる心」をどんどん追いやっていってるような気もします。
ぼくは、趣味で自転車に乗ります。
素晴らしい景色や美味しいもの、それを記憶に留めておくため
首から下げた小さなデジタルカメラや携帯で、パシャパシャ撮っています。
一日走っていて、気がつくと100枚くらい撮っちゃってたりもします。
「下手な○○も数撮りゃ・・・」の法則通り、中には奇跡の一枚もあったりします。
デジタルだとすぐに見れるし、フィルム代もかからないし・・・
だからシャッター切ることに神経使いませんから。
iPhoneのカメラなんて、下手なデジカメ以上です。
コンデジやスマホのカメラで何万枚(決して大袈裟でなく)撮ってみて
なんか違うよなぁ・・・と思い出したのが57歳の時(遅っ!)
まぁ、自転車乗り出したのも48歳の時からですから、遅咲きかと。笑
よく撮れるし、綺麗だし・・・
でも、「安い」「早い」「美味い」の牛丼ではないですが、
ぼくの中のぼくは、「違うんじゃない?」と言い出していたわけです。
自分だけの自転車を作ってもらおうと東京へ行った時、
もうひとつの目的がありました。
それが・・・カメラ探し・・・。
銀座のスキヤカメラで勧められたのが、バルナックライカIIIg
事前の耳学問で、IIIfがいいと思っていた私でしたが、初めてのフィルムカメラであること、カメラの状態、いろいろお話を聞いていただいてこれに決めました。
フィルムの入れ方すら知らない私、緊張してたせいか、お店で聞いた丁寧な説明は
神戸に帰った時には、完全に私の頭の中から消えていました。笑
現代のことですから・・・そこは、便利なYouTube。(笑)
フィルムの入れ方から撮り方、一通り学びました。
しかし、このカメラ・・・電池入っていませんし、
ウィーンって、ピントあったりしませんし・・・
じんわりと確実に汗が出ます。
でも、ひとつひとつのパーツが理屈通りに働いて、
ちゃんと手順通りに操作して、息を止めて・・・シャッターを切れば、
フィルムカメラならではの世界を楽しませてくれます。
・・・あくまで、理屈通り、手順通りに操作できれば・・・の話。
『ちゃんとしないと、ちゃんと撮れない。』
これを思い知らされた私。
一枚シャッターを切るのに5分〜10分 (遅過ぎでしょ)
じんわりと・・・汗が・・・
この『ちゃんとしないと、ちゃんと撮れない』が、たまらなく面白い。
今思うと・・・こっ恥ずかしい写真ばかりだけど、現像が上がったときの感動は、
本当に大きかったのです。デジカメでは、感じることがなかった感動。
難しいけど、満足感は最近味わったことがないほど高く・・・
カメラにハマるきっかけになるのに充分なものでした。
そして・・・
これからずっと忘れることはないと思うような一枚が、この時撮れました。
クルーズ船に向かうおばあちゃんとお孫さんの後ろ姿。
一生懸命にこれから始まるであろう旅のワクワクを話しかける子供の姿が印象的でした。
便利で簡単なものは、人の暮らしを助けます。
でも、それはあくまで手助けの域を超えない方がいい。
心の豊かさや充実感は、簡単ではないものにも、しっかり残されています。
自転車とカメラは、今のぼくには欠かせないもの。
豊かさの海で失くしてしまったもの・・・
あなたも探してみませんか。