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高所得世帯への子育て支援は、なぜ否定すべきではないのか。

「子育て支援は高所得者にもばら撒いていて不公平。むしろ結婚支援のほうこそ優先すべきだ」

こうしたPostを見かける場面が増えた。この意見の根幹にあるのは、以下のような考え方のようだ。

結婚した夫婦はだいたい子どもを産んでくれている。未婚率の上昇こそが少子化の根本原因なのだから、結婚支援施策にもっと力を入れるべきだ。

これは一見正しいようで、落としどころがいささかズレているというのが私の見解だ。

未婚率の上昇と出生率の低下にある因果関係は否定しない。
しかし、未婚率が上昇している要因は社会環境から個人の嗜好まで多岐にわたり(※)、有権者の納得感を得られる形で限られた予算から有効な打ち手を選択することは現実的ではないのである。

※娯楽の充実、経済的な強者と弱者の二極化、女性のキャリア進出、コロナ禍を経て定着したリモートベースの働き方による出会いの減少、税制上の独身のデメリットが小さい、など挙げればキリがない。

なお、経済的な理由で結婚を控えている層のための行政施策としては「結婚新生活支援事業補助金」があるので、ぜひ経済的理由から結婚に踏み切れないカップルに広まってほしい。

ただし、2024年5月30日時点でこの制度を実施しているのは全国で842市区町村とのことなので注意。

◆参考リンク
https://wedding.mynavi.jp/contents/press/detail/joseikin/

未婚率の上昇における原因が多岐にわたるなかで、行政としては「子育て支援」のほうが届いてほしい層に確実にお金が落ちるという意味で説明責任を果たしやすく、有権者のウケもいいから結婚支援より実行しやすい。

結局、ただそれだけの話なのだ。


話を本題に戻そう。
高所得者にも子育て支援が必要なのか。
私は、絶対に必要だと考える立場だ。

高所得者に対する子育て支援の制限は、高所得世帯が「あと1人育ててくれる余力」を奪ってきたという負の側面がある。

最近になって、所得制限がようやく緩和されてきたことに私は安堵している。

高所得世帯による児童福祉の制限は、高所得世帯が「あと1人育ててくれる余力」を奪い、低所得世帯に再配分しているだけなので、効果が相殺されてしまう。だからまったく意味がないのだ。

だから、高所得者への子育て支援は、絶対に否定してはいけない。

最後に念のための補足として、私は子育て支援だけを拡充すればよいという立場ではなく、結婚支援施策もセットでこれから充実させていくことを期待している。

もちろん、結婚支援を充実させた結果、美味しいところ取りをするDINKsのようなフリーライダーを増やしてもいけない。

別記事(下記リンク参照)で書いたとおり、高齢者福祉のリソースは育てた子どもの数に応じて公平に分配されるべきであり、子なし高齢者の医療・介護は100%自己負担であるべきだ。

◆記事リンク
https://note.com/gigibest/n/nbe24b9324eb1?sub_rt=share_b


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