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ギギのオープンな世界〜性の目覚め
私は小学校5年生の時、官能小説に目覚めた。
親に内緒でブラウン管ほどの大きさがあるパソコンを起動し、当時好きだったバンドのサイトからあらゆるリンクに飛んで情報収集していた。
そんなある時、同人作家のホームページに辿り着いた。
読んだ内容は、今でいうところのBLだった。
どエロい絡みが文字になって羅列していた。
大半の意味はよくわからなかったが、私は美しい文章に釘付けになった。
その長編官能小説を読むために学校から走って帰った。
読み終えた時、涙が流れた。
私の性の始まりは男女の愛ではなく、
架空の男同士の禁断の花園からだった。
そこから私はしばらくの間、男女の絡みの方が不自然に感じていた。
そんな中で、私は恋をした。
中学校の時の同級生で大親友の女の子だった。
彼女は面白くスポーツも優秀で、とにかく私と気が合った。
最初はただの特別仲良い友達と思っていたが、高校生になり別々の学校に通い出した時にようやく気付いた。
私は彼女のことを愛していることに…。
しかし彼女は当時さえない同じ中学の男と付き合っていた。
彼女から彼氏の愚痴を聞かされるたびに、男を蹴り落として私が彼女を守らなければとさえ思っていた。
私はとにかく善き友人を演じて、ひたすら別れるのを待ち告白した。
彼女は躊躇いながらも、私の告白にイエスと答えてくれた。
当時高校1年生。
人生で初めての告白で、初めての恋人。
彼女と色々なところへ行きたい、彼女の笑顔を見ていたい、彼女に触れたい、彼女にキスしたい、彼女とセックスしたい。
当時の私は、自分の中に潜む膨大な欲求をすべて隠していた。
とにかく彼女に嫌われるのが怖かった。
あなたとセックスしたいと言ったら、彼女が私から離れてしまいそうだった。
ずっと本音を隠して、付き合っているのになんだか遠くて、長らく辛かった。
大切にしすぎて、触れたら壊してしまいそうで、
結局キスをするまでに半年もかけてしまった。
告白から丸一年たった記念日、私は彼女に感謝を綴った自作の絵本をプレゼントした。
プレゼントを受け取って悲しそうな顔で彼女は「別れよう」と私に言った。
彼女にはすでに別の男ができていた。
私があまりに奥手だったから、
私がうまく愛を伝えられなかったから、
彼女は私から離れていった。
当時はとても恐ろしくて、死にたくなるほど悲しかった。
そして私は寂しさを埋めるために別の女の子とセックスした。
ただ穴を埋めてくれれば誰でもよかった。
とりあえずで付き合った。
当時の高校では有名になった。
「ギギは女と付き合ってる。レズだ、気持ち悪い。」
高校では散々といじめられた。
机に油性ペンで大きくレズと書かれたり、
中傷の手紙が靴箱に大量に入っていたり、
体育の前の着替えで追い出されたり、
私の歩く道は女の子が避けて歩いた。
「あぶなーい、ギギに近付くと襲われるよー」
私はレズビアンなんだろうなぁ、と思った。
初恋が女の子だったから。
女の子とキスして、セックスするから。
だからレズビアンなんだろうなぁ、これからもずっと。
なんで私の体は女なのかな、男だったらよかったな。
男だったら初恋の子のことを抱けていたのかな…。
結局、とりあえずで付き合っていた女の子とも別れた。
そんなに好きというほどでもなかったので、あっさり別れられた。
そして高校も中退した。
いじめに屈した訳ではなく、単に馬鹿馬鹿しくなった。
たまたま好きになったのが同性なだけで、
陰湿な仕打ちを受けなければいけない意味が全くわからなかった。
高校を辞める時にいじめの主犯に、彼女とのキス動画を見せてやった。
私は最後までレズビアンであることを誇りに思っていた。