油彩画(旧市の眺望)
この絵は、クロアチアのスプリットに在る聖ドム二ウス聖堂の鐘楼から見た景色。鐘楼は高さ60メートルで、上に上がる階段は踏板が渡してあるだけで、階段の隙間から下がもろに見える。高所恐怖症の人はこの階段を上がるのは無理かもしれない。
鐘楼の上からは、眼下にアドリア海や港、旧市街の建物群が見え、旧市街は高い石壁で囲まれている。石壁の向こうに新市街が拡がって、遠くに山並みも見える。
感動的な光景だが、これらの景色を絵の中に全部入れると、何が描きたいのか制作者の意図が伝わらないので、眼下に見える建物の屋根に焦点を絞って描いた。
スプリットは、ローマ帝国皇帝ディオクレティアヌスが退位後の隠居所として造った町だ。彼は、キリスト教を弾圧した皇帝として歴史に悪名を残したが、ある意味で、悲劇の皇帝ともいえる。同皇帝については、前作の「画楽舎便り」(水彩スケッチで巡るクロアチアの情景)に書いたので、興味のある方はご覧ください。