泣かないで。

多いときは月２０本以上、ライブをやっている。時にはピンクのスーツを着て、時にはストライプのベストをはおり、時には蝶ネクタイで華やかな服にアクセントをつけて、ネタにあわせて衣装もかえる。

僕の大切にしているネタのひとつに「泣かないで」というものがある。泣いてるお譲ちゃんの前にサングラスをかけたおじちゃんが現れて、『そんなにいっぱい泣いて、どうしたんだいお譲ちゃん！？』と声をかけ話を聞く、

『そんなの全然たいしたことないんだ、なぜならおじちゃんのほうがもっとつらい思いしてるんだ。おじちゃんこの間・・・』と、おじちゃんのつらい話にお譲ちゃんが泣き止むという、切なくて、ユニークな物語。

そんな「泣かないで」おじちゃんのネタで愛用していたサングラスが老朽化でついにこんな姿に・・・

お疲れ様。いっぱいありがとね。このサングラスがどんなピンチの時も俺のやばい顔を守ってくれてた、舞台上で開ききった瞳孔を隠してくれた、時には顔からうまいぐあいにズレて間抜け感をより演出してくれたりした。本当にありがとう。もちろん、このサングラス越しにたくさんのお客さんの笑顔を見た。いい景色だったね。ありがとう。

感謝。

話はかわり、僕はライブ中、時計をしています。落ち着くし、お守り代わりみたいなところもあって。同じく大切にしているネタで『もののまね』というネタがある。あるライブでもののまねをしている時に、床に腕を強く打ちつけた。気がついたら時計の大事なフェイス部分が・・・

傷ついている。いままで長い時間一緒にすごしてきた。素敵な時間を刻んできた。ありがとう。もちろん、これからも動かなくなるまで一緒にいるつもり。よろしくね。そう思う。

感謝。

そんな中でも明日もライブはやってくる。明日も舞台にたつのだ。

涙を拭いてお風呂に入る。

サングラスが言っている、泣かないで、と。

風呂から上がり、ふと机の上の光景に目をやる・・・

いや、親父狩りにあった人じゃんっ！！！！