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一度も袖を通さなかったドレスが教えてくれること ー「ミセス・ハリス パリへ行く」


おいおい、そんなうまくいく話あるかーい!・・・とケチのひとつもつけたくなっちゃうのだが。
話が進むにつれて、とーーーーっても大事なことに気づかされてく話。

それにしても、1着のドレスが
イチ庶民の人生をここまで変えてしまうのだから
ディオールすご。



(以下、ネタバレを含みます。ご了承いただける方のみ、読み進めてください)


1950年代、ロンドン。戦争で夫を亡くした家政婦はある日働き先で1着の美しいドレスに出会う。それまで聞いたこともなかったクリスチャン・ディオールのドレス。500ポンドもするそのドレスに心を奪われた彼女は、一路パリへ。
新しい街、新しい出会い、新しい恋・・・?夢をあきらめなかった彼女に起きる、素敵な奇跡。

公式サイトより


🎬 ときめきが嵐を呼ぶ


人様の家の鍵を預かり
家人の暮らしの足跡を消すように

掃除をし
物を片付け
跡形もなく綺麗にして
また鍵を閉める



そんな家政婦の仕事の傍ら 出会った
1枚のドレスは


クリスチャン・ディオール
オートクチュールのドレスでした



美しさに目を奪われるのは
誰しも同じ

ただこのミセスのすごいトコは
わたしも買う!と決めること


懸賞に応募し
さらに仕事を増やして

一日の終わり 友人との食事の間も
針仕事の手を休めず

かと思えば
気晴らしにと誘われたドッグレースで
何を血迷ったか
大枚はたいちゃう
(貯めたお金がパー笑笑)


だけどこのおばさま
手が届かない。で終わらせないんです。


🎬 正直さが引き寄せる


すったもんだの末に
ミセス・ハリスは
念願の500ポンドと飛行機代を貯め
パリへ飛び立つ


憧れのディオールへ辿り着くも
スタッフは当然のごとく?冷たいあしらい。

それでも彼女は
いつもどこでも誰相手でも

異国の地でも
言葉が片言でも

正直に在り続け
感じたことをそのまま表現し
思ったことはそのまま口にする

だから
そんなミセスを
助けてくれる人たちが現れる


入れる筈もなかったショーに
招き入れられ
泊まる部屋まで世話してもらい

日帰りのお買い物(…のつもりなところが庶民ですが笑)ツアーは
2週間のパリ滞在となリます。


🎬 透明人間が纏うのは…


メゾンの中の人間模様
えらい人も
そうでない人も
きらびやかな世界の人も
つつましい世界の人も

それぞれの立場で
背負ったものがある


天敵のように見える人が
実は似たような境遇だったり

かなーりデキそうな人が
ビビりだったり

大活躍な人は
本当の想いを隠していたり



ミセス・ハリスは
誰を相手にしても
本当に見事なまでに変わらない

そんなつもりはまるでなく笑
グラン・メゾンの内部改革までやってのけちゃう笑笑

まるで
“透明人間”だからこそ
自由にやれるのよ。と言う声が聞こえてきそう




ミセス・ハリス、あなたはどこで
そのドレスを着るの?

と問われれば
「これは私の夢なの」とキッパリ言い切る。


🎬 ドレスの価値



晴れてディオールのドレスを手に入れ
ミセス・ハリスはロンドンへ帰ります


いつもの毎日に戻った時

困って泣きついてきた子に
そのドレスを貸す(えぇ?)

翌日、その子の家に行くと
黒焦げのドレス(!)と書き置きが。



(い、一度も着ないで
終わっちゃったのーーーーーー???)


ミセス・ハリスは
ドレスをスーツケースに詰め
鍵を郵便受けに放り込む


黒焦げのドレスを
初めてディオールと出会った時と同じように
胸に抱き

毎日歩いて渡る橋の上から
投げ捨てる
(せ、切ないお顔!😭)


すっかり気落ちし
引きこもってしまう彼女を
親友とご近所さんが救う


なぜあんな子にドレス貸したの?
と聞かれて
「あのドレスは見せるものよ」
と答える彼女は

ただ買っただけじゃない
ディオールの価値を肌で感じてきた
それが2週間のパリの旅


彼女は初めて
ディオールと出会わせてくれたお宅の
奥さん
自分を働かせるだけ働かせっぱなしの女に

「今までの給金をすべて払ってください」
と要求します


それまで言えなかったことを
口にする
(彼女にも言えないことがあったのね)


奥さん「辞めるの?」
↑払う気ないやん笑

「私を見下す人に忠誠は誓えません」

ドレスなどなかった私でも
ドレスがなくなった私でも
わたしという人間の
真の価値は変わらない

そう、外へ言い切れたから。


パリで出会った人たちから
あたたかい想いが届きます


新しいドレスと
花束になって。


(写真はお借りしました)

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