わたくし、生まれつき「恋愛アレルギー」
大学時代、ある一人の男性に対し、実に残酷なことをしてしまったことがある。
彼はネット友達で、とある書き込みサイトで知り合い、その後連絡先を交換して更に時々オフでも合うような関係だった。
同じ趣味を持ち、且つ性格が大らかな彼はとても話やすく、時間があれば長電話でさえした。
私の中で、彼は「仲の良い男友達」であった。
そして年上であった分、彼を兄のように思っていたところもあった。
が、彼にとっての私はとっくに「友達」という存在を越えていた。
そしてある日、とうとう申し込まれたのだ。
「お付き合い」を。
当時の私はあまりにも無垢で且つ無知だった。
今なら、こういった誤解を招かない為に、最初から過剰に近づかないよう心掛けただろう。
けどあの頃は本当に男女関係には無頓着で、知らず知らずのうちに距離を詰めすぎて相手をその気にさせてしまったのだ。
こっちは全くそんな気持ちは無かったのに。
周りに相談したら、「付き合ったら意外と好きになることってあるんじゃない?」と言われ、母も「試してみるのもありかもよ」と言ってくれた。
納得いかないままであったが、恋愛経験豊富な人たちからのアドバイスだということで、一応OKだと彼に返事した。
ただ、「予防注射」もしっかり打っておいた。
「一応、私はそんな気ではない」と。
「だから、いつ別れるか分からないよ」と。
それでも彼は気にせず、喜んでくれた。
あの日、私は初めて誰かの「彼女」となったのだ。
その数日間の目覚めの悪さといったら!
私が知っている限り、恋愛中の女の子達は皆生き生きとしている。
毎日活気に溢れ、全てが輝いてて、夜遅くまで彼氏とメッセージしたり、朝早く起きてはモーニングコールをかけたり……
けど、私は違った。
「あぁ……私、彼氏がいる身になったんだ……」という暗い気持ちで目が覚める日々だったのだ。
何をしても楽しくない。
縛り付けられてしまったようで、とても苦しかった。
自分が自分で無くなったようで、
二度と今まで通りの「私」として
生きていくことが出来ない。
そんな悲しみに押しつぶされそうだった。
泣きそうな程に辛かった。
友達や家族にそう伝えたら、「慣れれば大丈夫なんじゃない?」と慰められたが、私はこの状態に適応出来る自信が無かった。
結局、一週間で分かれた。
しかも、この付き合った一週間の間、顔でさえ一回も会わなかった。
向こうは「お願い、時間を、機会をくれよ」と必死だった。
とてもとても申し訳なかった。
私は、所謂「クズ女」だろう。
でも、私の心は既に限界だったのだ。
全力で誰かが「割り込んでくる」のを嫌がっていた。
実際、別れることになった瞬間、ようやく再び息が出来るような心地がした程だ。
人と付き合っている・付き合っていない状態の自分の心の変化がリアル過ぎて、私は恋愛に向いていないとあれで確信した。
そんな私だが、実は中学校の時にも、クラスの仲良かった男子からラブレターというものをもらったことがある。
人生初ラブレター。
ある意味「初恋」だ。
その時はどうしていたかというと、
なんと恐怖のあまり
高熱を出してしまっていた。
「初恋」と言ったら、ほとんどが甘酸っぱいイメージなのだろうが、私にとっては熱と悪夢にうなされた記憶のみだ。
よほど恋愛に向いてないのだろう。
今の年になってもなお一人のままでいる私を見ると、「彼氏は?」とか「結婚しないの?」と聞いてくる人が多い。
そんな時、よくおちゃらけて「私の恋心ばバクに食べられた」なんて言ってる。
「周りが結婚しちゃうと焦るよ」なんて言われることもあるが、友達や妹が結婚をすることになっても、やはり一向に焦らない。
多分生まれつき、根っからの独身体質なのだろう。
ただこれはこれで、楽なところもいっぱいある。
別に寂しくもないし、何よりも私は自分の人生を十分に楽しんでいる。
これはこれで良いのではないか。
(はてなブログ同時掲載:https://www.gifteddecoboko.com/entry/2020/01/21/080000)
(画像素材元:https://pixabay.com/ja)
発見・悟り・考えていることをエッセイにまとめています。 エッセイ集出版が目標!よろしくお願いします!:D 🌸はてなブログも書いてます!こちらもよろしくね!!! https://www.gifteddecoboko.com/