耳栓と職場
私は、会社の本社勤務だ。
主に営業部メンバーが集まる場所なので、よく人が出たり入ったり、会議が行われたり、お客様の電話対応等が行われている。
最近はパソコンでSkype会議も行われるようになり、会議室が満員でも、自分の席で簡単に打ち合わせが出来るようになった。
よってーー
聴覚過敏がある私にとって、
かなり過酷な環境になってしまったのだ。
耳が敏感な私は、賑やかな場所が苦手だ。
雑音が多過ぎると、動悸、目まい、吐き気や耳鳴りが起こり、ひどい場合はパニック発作にでさえ襲われることもある。
周囲にある音を分別無く一気に拾ってしまう特性により、相手の話が上手く聞き取れず、会話するのも一苦労だ。
そんな訳だから、こういったガヤガヤしたところでは、作業に集中出来ない。
普段は外出時にイヤーマフを持参したりしているが、会社ではそれが目立ってしまい、あからさまに「ここがうるさいです」アピールをしてしまうことになる。
かといって営業部全員に「声を小さくして話して下さい」なんて言うことも出来ない。
だからしばらくは、辛い度にお手洗いに逃げていた。
個室で耳を塞ぎ、深呼吸をし、落ち着くまでじっとしていた。
時間に余裕がある時はこれでも構わなかったが、納期に追われて一刻も早くタスクを終えたい時、いちいちこうするのはとても非効率で、仕事に支障が出た。
このままではダメだ。
そしてある日、私は勇気を出して上司に事情を説明した。
音で苦しんでいること。
それ故体調不良が頻繁に起こり、正常に仕事が出来ないこと。
ありがたいことに、上司はすんなり「耳栓をして良い」と許してくれた(イヤーマフはやはり目立つのでダメだった)。
早速職場に持ってきたのは、シリコンタイプの耳栓。
水泳選手が良く使うといわれている、透明の耳栓だ。
粘土のように自由に形を変えられるタイプなので、耳にフィットして着用出来る。
耳の穴に入れず、被せるように穴の外側を覆って使うのだ。
耳の中に入れる感触が嫌な私でも楽に使えたし、汚れにくいので、繰り返し使えた。
目立たないし、イヤーマフ並みの効果も出せた。
今も愛用している。
たまに上司に呼ばれても聞こえなくなる時があるが、それは前もって理解をいただいているので、私が返事ない時は
手を振って、
視覚的に気付くよう配慮してくれている。
とても助かる。
これでストレスも減り、作業効率もアップした。
理解ある職場で、本当に良かったと思っている。
ちょっとした工夫と考慮で、
生きやすさが断然違って来る。
(はてなブログ同時掲載:https://www.gifteddecoboko.com/entry/2019/12/17/080000)
(画像素材元:https://pixabay.com/ja/)