茫漠としたお総菜屋さん
仕事帰りに駅ナカにある成城石井にごくたまに寄る。「成城石井」といえば高級スーパーの代名詞みたいなものだが、コンビニのちょっといい麺類とかビリヤニを買うのとそこまで値段が変わらないかもな、と思ってからはそこまで抵抗がなくなった。
「好きなもの食って死ぬ」が我が家の家訓だった気がするので、私もそれに倣ってなるべく好きなものを好きな時に食べるようにしている。
横幅4~5メートル、高さは私が見上げるくらいの高さまでみっちりと冷蔵の棚に陳列されたお惣菜を眺めていると、もう一人の自分が語りだす。
まずは今自分が一番食べたいものに目が行く。キノコとゴルゴンゾーラチーズのリガトーニ、パッタイ、ナシゴレン、だし茶漬け……。いやいや、私の好物ばかりだけどこれだけじゃ仕事終わりの私の胃は満足しない。成城石井にボリュームを求めてはいかん。あ、じゃあ家の冷凍ごはんをチンして自分で何か主菜を一品作るとして、副菜として何か成城石井で買うとしよう。ヤムウンセン、サーモンマリネ、コブサラダ、一日分の食物繊維が取れるサラダ……。せっかく副菜を買うなら栄養価が高そうなものがいいよな。食物繊維はもちろん、ビタミン、ミネラル、鉄分……。いや、栄養価を謳っているタイプのお惣菜ってなんか食指伸びないな。コスパを度外視して美味しいものを選ぼうとしているってのに、私は何を今さら栄養価なんて気にしているんだ。自分の欲望にだけ忠実になれよ。
え、てか冷凍ごはんのストックってまだあったかな。もう無いかも。あ~わかんないよ~今だけ家の冷凍庫が見える透視能力が欲しい。よし、冷凍ごはんのストックが無いと仮定して考えよう。その場合、主菜にご飯・麺類を合わせた形がボリュームも舌も一度に満足させられる。つまり、最初のリガトーニとかパッタイも選択肢に入ってくるってことじゃない?え、どうしよ。
ダメだ。退勤後の疲労と空腹で脳みそがカスカスになっている。隣のパン屋で菓子パンとカフェオレ買って帰ろう。
もう成城石井に寄るのやめようかな。
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