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名前なんだっけ?

アラカン世代の私が、若き「OL」(死語ですな)していた頃は、まだバブルがちっさくアワアワしていて、売り手市場だった。

それでも不適切な評価基準や差別意識が幅を利かせ、女は顔!、とか、お茶汲みコピー取り、腰掛け仕事、寿退社なんて言葉は、臆面もなくそこいらで聞かれる実に不適切極まりない世の中だった。
今基準で言うところのパワハラ、セクハラは気にしてたら数えきれないくらいあったし、男女雇用機会均等法が制定されるくらい性差別があったわけだ。

売り手市場だし、適当に小綺麗にしてニコニコしてりゃ仕事にありつけるという妙な確信から、私は転職を繰り返していた。

新しい職場に赴くたびに直面するのが
「自己紹介」だ。
ワタシは極力目立ちたくないので、よろしくお願いします!で終わりにするのだが、何か爪痕を残したいと思うひとは、自虐ネタとか、武勇伝で記憶に残ろうとする。そのくらい定番の自分ネタがあるのはほんとに羨ましい。

「大学ではほとんどアメフトばかりやってて、」とか、「趣味はピアノです」とか、なんかその人の顔になるイメージタグがついてる人は、自ずと名前も覚えやすいし、名前をうっかり忘れても、「ほら、アメフトの!」とか「ピアノの!」といえば誰かが答えてくれる。

今はもっぱら、自己紹介される側になったが、バブル末期のあのバブリー残党よりも洗練されて、いい子挨拶が多い気がする。悪目立ちしない、自分プレゼン上手が多いなあと感じる。
すると、私のようなメモリー足らずの年寄りは、区別できず、当然、名前が覚えられない。だってみんな上手なんだから!

最近は、デカい犬みたいなあの人、とか、お笑い芸人の誰それに似たあの人とか、そんなラベルで区別してるので、

「えっと、ほら、アレににてる、」
まで言うと、同僚に
「アレ、って?ヒトですか?動物ですか?」
と返されるようになってしまった。

それに、似てる芸人の名前で示して会話してるうちに本名を忘れるとか、実に失礼な私なのだ。

人の名前。顔。
自己紹介する、その人をしっかり見つめていても、なかなか記憶に定着しないのは、キチンと興味を持って、相手を見ていないからかも。
気をつけたところで、どうしようもない。
悲しい現実だ!
今となっては鮮烈ない印象の自己紹介されても、名前覚える気がない。印象タグで会話できるまでになった。
よしよし、このまま定年まで行くぞー。


#自己紹介

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