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『あなたの心よ安らかなれ あなたの心よ平和なれ』~詩集「笑い続けてよかったな」より

生きるのが苦しくて辛かったけど、
そんな自分の人生に
笑いかけてあげられる幸せを
感じることができ、
今は、
生きてきて
本当に良かったと思います。

2012年につくった詩です。

『あなたの心よ 安らかなれ
 あなたの心よ 平和なれ』

祖父は 
よく酒を飲んでは わめき散らした
父も 
酒を飲んでは 当たり散らした
2度目の父も
酒を飲んでは 暴言を吐いた
 
祖母が祖父に酒をすすめ 
あおっていた
母は 泣いていた

母を守るため 祖母にたてついた
それから
祖母にうとまれた
 
しばらくして 
祖父母は 家を出て行った
ほっとした
 
だが 今度は
父の酒の量が増えていった
父が家にいるときは 
心が安らぐことはなかった

父がこの世からいなくなれば 
家族が幸せになると思った
家族を守るため 
本当にそうしようと思った
 
だけど できなかった
でも今……
できなくてよかったと 
しなくてよかったと心から思う
 
しばらくして 父と別れた
ほっとした
 
父と別れてから 
近所の人が力になるよ
と言ってくれた

でも その人が 
私たちの噂話をしているところを見た
人を睨みつけることを覚えた
人を信用すまいと思った
人に裏切られないように
誰も 心に入れるまいと思った
 
それから間もなくして 
2度目の父がきた

しばらくすると
2度目の父も 
酒を飲んでは暴言を吐き出した

だが2度目の父は 
面白い話をすると機嫌がよかった
父の機嫌を損ねないように 
いつも面白い話をした

それから私は 
笑いながら話す癖がついた
 
私は いつも 
人には笑顔を向けた
でも 心は閉じたまま 
人には向けなかった
 
ある人に言われた
あなたは優しいけど 
いつか裏切られる気もする と
 
その通りだと思った
人には優しくできた

でも…… 
誰も 心の中に
入れようとしなかった
誰の心の中にも 
入ろうとしなかった
 
そして大人になった
絶対不幸になるから 
誰とも一緒になるまいと思った
 
それでも 1度は一緒になった
だけど 誰も
心に入れないようにしてきた私が 
人の心とつながる術を 
知るはずもなかった
 
しばらくして 
1人で生きていくことになった
1人になるのが 
こわくてこわくてたまらなかった
 
初めて 
人に 助けを求めた
初めて 
人に 自分の心をさらけ出した
 
不幸な出来事が 
私に生まれ変わるチャンスをくれた
 
少しずつ 
心を大切に思うようになった
少しずつ 
自分を大切に思うようになった
少しずつ 
他人を大切に思うようになった
 
やっと 
人と心でつながる喜びを知った

だから 今 
寂しさを感じることはない
だから 今 
孤独感を感じることもない
 
ただ不思議なのは 
今まで
父たちを許すとか 許さないとか
そういう思いに 
こだわったことはなかった
 
でも 
それでよかったんだと思う 
思い続けたら 
自分がこわれていたかもしれない
そうやって 
自分を守ってきたのかもしれない
 
そして今 思うのは
憎しみを持ち続ける人生を
送らなくてよかったということ
 
憎しみは憎しみを呼ぶだけ
憎しみは戦いを巻き起こすだけ
 
報復の連鎖を断ち切るのが 
ヒロシマのこころ
原爆を落とされてもなお 
憎むことをせず
平和への道を 
堂々と歩むことを決めた 
ヒロシマのこころ
 
憎しみから 
安らぎは生まれない
憎しみから 
平和は生まれない
 
今 私は 
この上ない幸せを感じている
今 私は 
この上なく幸せだ
 
自分がされたことを
怒りで返すことに心を向けず
今 この瞬間瞬間を 
精一杯生きることに
想いを注ぎ 力を注ぎたい
 
過去に起きた出来事を
ずっと振り返りながら 
憎しみを 大事そうに
抱きかかえて生きるより

どんな人生であれ 
それでも生きてきた
自分を誇りに思い
心満たされるまで 愛し抜きたい
 
自分で自分を愛することが
できたなら
心は 安らぎで満たされる

自分の心が愛いっぱいに
満たされたなら
心に 平和が訪れる
 
自分の心を平和にするのは
自分自身にしかできない
 
そして 
この世が平和になるのは
すべての人の心に 
安らぎが訪れたとき
すべての人の心に 
平和が訪れたとき
 
だから今 心から願う
あなたの心よ 安らかなれ 
あなたの心よ 平和なれ

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