無職と早朝も元気な犬
仕事を辞めた。
我が家は夫がゴリゴリに仕事をしていたので、ぽん太が隙間時間に時給でパートをするという生活で子の幼稚園時代を過ごしていた。
気軽に隙間時間と言ったが、幼稚園に預け、ほんの1時間のために放課後の預かり保育を利用し、その分の時給は保育代に持っていかれる。長期休みは預かってくれない園だったので他の施設を掛け持ちして、短時間だけ預けて働いた。
パートでも働き続けてブランクがない方が今後に有利だと聞いていたからだ。我が家では子が風邪をひくと休むのは母でパート勤務の私。1日休んだからといってよくなるわけもないので何日も休んだ。最初の半年で子の体調を崩すサイクルを理解し、その後は仕事の効率化をはかり、メモを持って帰って家で自分なりにまとめて次の日に試す。仕事はどんどん前倒しでできるようになったが、それは子どもの急な風邪の時に休むため。5年勤めたが時給は上がらなかった。むしろ効率はどんどん上がったが、月給で見れば前月よりマイナスになる月もあった。いわゆる頑張り損状態。
後に入ってきたフルタイムのパートさんや新人さんを教えながら、さらに増えていく業務をこなしながら、ぽん太は思った。「オラ、もうこんな働き方嫌だ」
ただ現状夫がゴリゴリで仕事している以上、8時間勤務はぽん太家には物理的に不可能。時間を売れないぽん太だが、時給で働くか辞めるしかないのだ。そうしてスーパーマンみたいな体力も、祖父祖母に頼れる環境もないオカンは、キャリアの市場から淘汰されていった。
辞めてみて思ったのは、自分の頑張り所ここじゃないなと思ったら手を抜くのも大切ということ。そして今まで結婚や引っ越しという外的要因で仕事を辞めることはあっても自分の内的要因で退職したのは初めてだったので、一見ネガティブな判断でも自分で決めて環境を変える行動ができたのは大きな進歩だということ。
そしてここ数ヶ月は毎朝犬さんと散歩している。子が風邪をひいてもこっそり「チックショー!」と思わずにおおらかな心で一緒に休むことができる。
正社員の綱渡りを引っ越し→出産の過程で盛大に踏み外し、パートから再出発!と思ったら頑張りすぎて頑張れなくなった私が、いつかもう1度働こうと思ったらきっとまた最低賃金の時給パートからだと思う。今はどうしていくか答えが出ないが子は可愛いし犬も可愛い。早朝の犬との散歩道を何も考えずに歩くのも悪くないのでもう少し無職を堪能してもいいかなと思う。