マウンテンデューを飲みながらタバコを吸うと思い出す話
僕は両親の第一子ということもあり、めちゃくちゃ大事に育てられたと思う。
後頭部が絶壁にならないよう寝返りを打つたびにタオルを当ててもらったということもあり、理科室にある人体模型くらい綺麗な頭をしている。
親が口つけたスプーンで食事を与えられなかったらしく、29年間で一度も虫歯になったことがない。
母親は粉ミルクを一切与えず、母乳だけで育てたことを誇らしく語っていたことも覚えている。
そんな風に育ててもらったのに、マウンテンデューを飲みながらマルボロを吸ってしまうようになった。
例えがあってるかわからないけど、この行為は、29年間も鰻の串打ちと捌き、焼きを教えた弟子に「明日からマジシャンになるので、鰻屋やめます」と言われた時くらいショックだと思う。
それなのに僕の母は、実家に戻るたびに「いいかげんタバコやめなさい」と言いつつ、メインのおかずとは別にレンコンのきんぴら的な副菜も出してくれる。
自分が思い描いていた子に育たずに、マウンテンデュー・スモーカーになってしまったのにも関わらず、野菜が足りてないと、レンコンのきんぴらを食べさせる。
これが親というものなのかもしれない。
だとしたら僕が親になれるのは、まだ先のお話。
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