「好きなものは好きと言わせて」の話
高校生の時に『愛のむきだし』という映画を見て衝撃が走った。
エロ、グロ、アクション、圧倒的可愛さのヒロイン、刺激的な題材で構成される約4時間の長尺の映画。
17歳の僕にとって、どの瞬間を切り取ってもカッコよくて面白い映画だった。
しかし数年後、僕はこの映画を好きとは言えなくなってしまった。
それは監督の性加害問題が理由ではない。
映画に詳しい人に「愛のむきだし、好きなんだ。ふーん」と言われたのと、お笑いが好きな人に「それ、(オードリーの)若林さんがラジオで好きって言ってたね」と言われたからだ。
前者はマウントを取られただけでなく、自分の映画を観方がおかしいのではないかと自信がなくなってしまったから。
後者は憧れの人が好きと言ったものを好きだと言っているように思われるのが嫌だったから。
SNSが生活の一部となった今、なおさら好きなものを好きだと言いづらい。
好きなものを馬鹿にされて傷つくくらいなら、好きなことを隠すようがよっぽどマシだから。
僕は他人の好きなものにバイアスをかけて批判することはしないようにする。
なので、もう一度僕に『愛のむきだし』を好きと言わせてほしい。
好きと言わせてくれるなら、小さい頃、ジブリよりもハリポタよりも、ナルニア国物語が好きだったことはディスっていい。