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俺がずっと好きな幼馴染に、俺だけの彼女になって欲しい

〇 : はぁ、朝からめんどくさいなぁ...


愚痴をこぼしながら、学校へ行く準備をする。

俺はこの世にいる、"学校が好き派" の気が知れない。

何が楽しくて、何を目的に、学校へ行っているのか全く分からない。

好きになる要素なんて1つもない......

と、今までは思ってた。


〇 : じゃあ、母さん行ってきまーす。

〇母 : 行ってらっしゃーい。


ガチャッ


玄関を開けると、そこには...


? : あっ、〇〇おはよう!

〇 : おはよう、"理子" 。

理 : はやく学校行こっ?

〇 : おう。


唯一、俺を学校へ行く気にさせてくれる人がいた。

彼女の名前は、遠藤理子。

俺の小さい頃からの幼馴染で

今年で高校3年生になった。


理 : ねぇねぇ、〇〇?

〇 : ん?

理 : 今日のりーは、いつもとどこか違います!
どこが違うでしょう?

〇 : えぇ、どこだろうな...

理 : 当てたら特別に、ごほうびあげるっ!


まさかの理子からご褒美...

これは、必ず当てないといけない

っていうか、簡単すぎるんだけどな。


〇 : 前髪少し切ったのと、チーク濃くしたでしょ。

理 : えっ......せ、正解っ...// 何で分かったの!?

〇 : どれだけ理子の幼馴染やってきたと思ってんの。笑

理 : そ、そっか...//

〇 : すごい似合ってて可愛いよ。

理 : えっ...// あ、ありがとうっ...//

〇 : 早く幼馴染から卒業したいんだけどな...(ボソッ)

理 : んー?何か言った?

〇 : あぁ...いや何にも。

〇 : それより、ご褒美って何だったの?

理 : それはね......じゃーん!


理子は、カバンの中からあるものを取り出した。


理 : 〇〇のために、お弁当を作ってきたの!

〇 : ま、まじ...!?

理 : うん!だから、お昼ご飯一緒に食べよっ?

〇 : おう...!


急に訪れたスペイベ。

今日はこのために学校を頑張れると言っても過言では無い。


なんて話をしていると、学校に到着。


理 : じゃあ、お昼に〇〇の教室行くね!

〇 : え、俺が迎えに行くよ?


俺と理子はクラスが違うため、どちらかが迎えに行かないといけない。


理 : んーん!りーが行くから大丈夫っ!

〇 : そっか、なら楽しみに待ってるよ。

理 : えへへっ//  じゃあまたね!


理子は自分の教室へと向かって行った。


ガラガラ


〇 : おはよー。

△ : お、〇〇おはよー!

△ : 今日も彼女とイチャイチャ登校ですかー?

〇 : 別にイチャイチャしてねーよ、ってかまだ彼女じゃねぇし。

△ : "まだ" ねぇ...。笑

〇 : なんだよ。

△ : いやぁ別にぃー?

△ : それにしても、本当に可愛い幼馴染をもったよなぁ...お前は。

〇 : ...まぁな。

△ : でも早くしないと、他の子に理子ちゃん取られるかもしんねーぞ?

△ : 噂によれば、理子ちゃん相当モテるらしいし。

〇 : んな事くらい分かってるよ...。

△ : なら、なんで告んねぇんだよ?

〇 : ......失敗した時が怖いんだよ。振られて今の関係が壊れるくらいなら、今のままが良いんだよ。

△ : ほんと臆病なやつだなぁ...お前って奴は。

△ : まぁ、お前が決めることだし強制はしねぇけど。"勇気は一瞬、後悔は一生" だぜ!

「おーい、お前ら席つけー」

△ : あ、やべっ先生来た!じゃあな!

〇 : ......。


席へと戻る△△を、神妙な面持ちで

見つめる〇〇だった...




午前の授業をようやっと乗り越え

お昼の時間になった。


〇 : やっとだ...あの先生、授業延長すんなっての。


先生の謎の雑談で、授業が少し延長された。

普段なら先生の雑談ほど嬉しいものはないが

今日となれば、話は違う。

幸い、理子はまだ来ていなかったようだ。


〇 : あとは、理子を待ってるか...。


教室に来てくれるはずの理子を待つ〇〇。

すると...


理 : 〇〇ーっ!遅れてごめん...!


1つのランチバッグを片手に、一直線に〇〇の席に走ってきた理子。


〇 : いや、俺も今授業終わったばっかりだから大丈夫だよ。

理 : なら、良かったっ!

理 : じゃあ、はいこれっ!ごほうびのお弁当あげる!

〇 : ありがとう。この為に、午前の授業頑張れたから。笑

理 : そ、それはなんか恥ずかしいよ...//

〇 : (はぁ...ほんと可愛すぎるだろ...//)

〇 : よし、じゃあ食べよっか......ってあれ?


一緒にお昼ご飯を食べるはずが、理子は自分の分のお弁当を持ってきていなかった。


〇 : 理子の分は?

理 : そ、その事なんだけど...

理 : 同じクラスの□□くんに、お昼休み屋上に来てって呼び出されてて...

〇 : えっ?

理 : だから、お昼ご飯一緒に食べられなくなっちゃった...。

〇 : そ、そうなんだ...。

理 : 本当にごめんね...?

〇 : それはしょうがないよ。なら、また今度一緒に食べよ?

理 : いいの...?

〇 : もちろん。理子の弁当が食べられるだけ嬉しいし。

理 : んふふっ// じゃあ、行ってくるね?

〇 : おう。弁当ありがとうね。

理 : うんっ!


そう言って、理子は走って教室を出ていった。


〇 : ......はぁ。



朝△△に言われた事が、ふと頭の中をよぎる。

どうせ、□□って奴からも告白されるんだろうな。

理子がモテるという噂は以前、自分も耳にした事があった。

なんなら、理子が告白されている所を幾度と見てきた。

その度に、胸がキュッと締め付けられる。

それと共に、一抹の不安も覚える。

でも、理子はその幾度の告白を全て断ってきたらしい。

それを聞いて、安堵の胸を撫で下ろす。

今までずっとその繰り返し。

そんな自分が、嫌で嫌で仕方がない。


〇 : いいや...弁当食べよ......。




普段よりも一段とつまらなく感じた午後の授業を終え、理子と二人並んで帰る。


理 : ねぇ〇〇っ!りーのお弁当どうだった!?

〇 : 凄い美味しかったよ。俺の好きな物ばかり入ってたね。

理 : でしょ!りーは〇〇の事なら何でも知ってるんだからっ!

〇 : さすが幼馴染だね。笑

〇 : 弁当箱はまた洗って返すね。

理 : えっ、いいよ別に?

〇 : いいや、弁当作ってくれたんだからこれくらいはさせて?

理 : ...ならお言葉に甘えてっ!

〇 : でもやっぱり、理子と食いたかったなぁ。笑

理 : ねぇ...それはごめんっ!

〇 : うそうそ、気にしてないよ。笑


気にしてない、なんて嘘に決まってる。

△△によれば、□□はサッカー部のエースで相当イケメンらしい。

それを聞いて、より一層不安になった。


〇 : ............。

理 : ............。


今まで告白を断ってきた理子とはいえ、今回も断ってくれるなんて保証はないし。

午後の授業中は、その事ばかり考えてた。


〇理 : あのさっ...!

理 : あっ、ごめん...。どうしたの?

〇 : あぁ...いや、理子から話していいよ。

理 : ......お昼休みにさ、屋上に呼ばれたって言ったでしょ?

〇 : あぁ......うん。

理 : ......□□くんに告白されたの。

〇 : そ、そうなんだ...。


そんな事くらい分かってる。

理子にとって、告白されるのは日常茶飯事だし。

俺が知りたいのは、そんな事じゃない。


〇 : そ、それで理子はなんて...?

理 : ......少し考えさせて欲しいって。

〇 : えっ...?


俺の思い描いていた、理想の返事とは違った。

普段なら、誰に告白されてもすぐに断る理子。

そんな理子が、返事を保留にするって...

やっぱり、そういう事だよな...。


理 : りーね、本当は好きな人がいるの。

〇 : えっ......そ、そうなの...?

理 : うん...//

理 : その人からの告白を、何年もずーっと待ってるんだけど...//

理 : でも、その人は全然告白してくれないし...

理 : このまま告白してくれないなら、他の人と付き合ってみても良いかなって...。

〇 : そ、そっか......。


理子に好きな人がいるなんて知らなかった。

しかも、何年間も告白を待ち続けてるなんて...

最初から、俺の片想いは叶う訳なかったんだ...


理 : ......〇〇はどう思う?

〇 : えっ?

理 : りーが□□くんと付き合うこと。

〇 : ......い、いいんじゃない?□□ってやつイケメンなんでしょ?なら理子にお似合いだよ。


俺は理子が幸せなら、それでいいや...


理 : ......本当にそれでいいの?

〇 : えっ?

理 : 本当にりーが□□くんと付き合ってもいいの...?

〇 : ......俺は理子が幸せなら、

理 : りーの事はいいからっ!

理 : 〇〇の本心を聞かせて......?


俺の本心......


〇 : 嫌だよ...。

〇 : 理子が他の男子と付き合うなんて考えられないし、考えたくもない。

〇 : 俺が理子のことを1番理解してるし、1番好きだって自信もある。

〇 :だから.........俺だけの、理子でいて欲しい。


......もう、どうにでもなれ。

俺の思いの丈は、全部理子に伝えた。


理 : ......やっと言ってくれたねっ//

〇 : ...えっ?

理 : ずっと、待ってたんだよ...?//

〇 : 理子の好きな人って...


理 : そんなの...

理 : 〇〇に決まってるじゃん...//


俺のこの想いも、理子には全てお見通しだったんだ。


〇 : そ、そうなんだ...//

理 : ねぇ...ちゃんと告白してくれないのっ...?//

〇 : わ、分かったよ...//





俺の叶わないと思ってた片想いは

何年間もの、両片想いだった。



𝑭𝒊𝒏.

もっと長くなりそうだったんで、強引に終わらしました。すいません。笑

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