雨と傘
ふと空を見上げたらなんか暗くなってきて
ぽつりぽつり落ちてきて
土砂降りのような大雨になった
傘をさそうと開いたら何故か骨が折れていて
「ちゃんとさせないな」って諦めた
「なんでこんな時に」って怒りが湧いた
どうしてもこうしてもなんでか雨は止まない
体を濡らす雨が暖かく感じた、なぜかね
ポツポツザーザーゴォゴォゴォ
カラカラコロコロラルラリラ
ポツポツコロコロゴォゴォゴォ
カラカラザーザーラルラリラ
楽しそうな雨音がトンと窓を撫でる様
カエルも子供も紫陽花もみんなみんな楽しそう
そんな中で僕一人ドブに濡れた鼠さん
もう帰りたく無い
ふと見たら雨止んだ 綺麗な虹がかかってた
その端はどこなんだろうと探していた
折れた傘は道端にいつの間にか落ちていた
一つ傘に声掛けてみた
「さっきはごめんね、きみも一緒に探すかい?綺麗な虹のその端に」
ふっと陰影差してきて上を見上げる、傘だった
空一面の傘の群れがふわふわと揺れて
一歩一歩歩くたびにカラカラコロコロ音がする
フワフワユラユラポツポツポツ
カラカラコロコロキイキイキイ
リンリンシャンシャンタラリラリン
暗がりで「ここをお通りよ」と傘の群れは泣く
道のままに傘と暗がりを歩き続けた
一本足の傘、大きな水玉の傘、流星群の傘。
家々の隙間を縫って商店街を通り抜けた坂道
登り上り詰めたその先にあったのは
探してた虹の端だった
恐る恐る踏み出した一歩はとてもフワフワで、
魔法が存在したかのように幻想的だった
そしてこころなしに体が軽くなってて
コロコロと転びそうになったの
身体が舞って、傘も舞って、
虹のてっぺんで子供のようにはしゃぐのさ
雨粒が舞って、雲も舞って、
私は空の彼方でクラゲのように漂ってるの
ふと気付いたら空が真っ赤になって
カラスもカアカア鳴いていた
虹もそろそろ消えかけていて
そろりそろりと歩き去る
そろそろ戻ろうか
そろそろ帰ろうか
またいつもの日々を傘と共に過ごすだろう
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