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初恋の悪魔、セスナと鈴之助の刹那的な恋の終わり

大好きな初恋の悪魔が終わって、観たいドラマが無くなってしまった。今年の夏は例年にも増して酷暑だったけれど、林遣都くんのおかげで何とか乗り切れました。
 ただ、物語の前半は、仲野太賀さんが中心で遣都くんの登場が少ないのが残念だった。
 ハルヒ(仲野太賀)の兄の謎の死を解き明かすことが物語の中核になっているから、仕方ない展開なのかなー、ハルヒは、いい人だしね。

 名場面は数えきれないほどあるけど、
私が覚えているのは蛇セスナ(松岡茉優)が、鈴之助(林遣都)とキッチンにいる時、「でもさ、このもう一人の私が消えてしまったら、あなたとこうしていることさえ、もう思いだせないんだよ」と寂しそうに言うと、鈴之助がリンゴを持って蛇セスナに、「君は消えないよ。リンゴが剥けない君に僕がリンゴの剥き方を教えるから、そしたら、リンゴを剥ける君は、ちゃんと残るから。君が消えても、君は消えない。この僕がちゃんと、覚えているから」
 なんか、このシーンがいちばん、泣けた。

それにしても、松岡茉優さんの虎セスナと蛇セスナの入れ代わりは見事である。
 ハルヒの家で新しいカーテンを付けている時、突然、虎セスナから蛇セスナに移り、鈴之助の家では宅配便を受け取りながら、また虎セスナに戻る。その間合いの取り方が何とも絶妙で、それがまたセスナの神秘性を深めていると思う。
 元監察医の小洗杏月(田中裕子)は、セスナに言う。「あんただけじゃない。誰だって、いろんな自分がいるんだよ。あの人に会う時の自分とこの人に会う時の自分は違うでしょう。あの場所とこの場所では、立ち居振る舞いが違うでしょ。誰だって、自分を使い分けているのよ。だから、あんたが特別って訳じゃない」
 確かにそうだと思う。でも、セスナとみんなが決定的に違うのは、普通の人は、いろんな自分を一人の人にまとめて統一出来るが、セスナにはそれが出来ないことだ。そうなると、彼女は、やはり生き辛い方の自分を捨てるしかなかったのだろう。

 最終回の鈴之助と蛇セスナの別れのシーも、印象的だった。「風が気持ちいい夜ですね、一緒に散歩しませんか」と、鈴之助にお別れを告げに来たセスナ。誰もいない夜の公園で、顔を覆って号泣する鈴之助。「あなたも頑張って、お元気で!」と振り返らずに手を振るセスナに鈴之助は立ち上がって、「努力します!あなたも頑張って、お元気で」と叫んでセスナを見送る。
 もう、たぶん、自分との特別な時間を思い出してはもらえない相手に明日もあさっても会い続けなければいけないというのは、どんな気分なんだろう。鈴之助も含めてセスナ以外の3人はずっとセスナの前で演技をし続けなければいけないわけだ。しんどいだろうね。

 ドラマは終わっちゃったけど、あの4人は、
今日も何処かで生きている気がする。事件現場のジオラマのセットの前で4人で人差し指を額に当て、顔を突き合わせて叫ぶんだ。

「マーヤーのヴェールを剥ぎ取るんだ!」

#初恋の悪魔、#林遣都、#鈴之助、#セスナ
#マーヤーのヴェール

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