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卒業 (初恋・続編)


丘の上にある3年間通った校舎
今日でここともお別れ
平凡な僕にとって ただただ退屈な日常だった
ある事を除いては
入学式の日に出会った彼女
僕の初恋 僕の想い人
今日は彼女の姿を見る最後の日
胸が張り裂けそうになる
彼女の横顔を垣間見る事が出来るだけで
天にも登る様な気持ちだったのに

体育館の壇上で担任が僕らの名前を読み上げる
その中に見つける君の名前
高鳴る気持ちに胸を押さえた
今日でお別れ それでいいのかと自問する
胸に沸き起こるこの気持ちをどうしたらいいのだろう
4月に僕は東京の大学へ行く
今日が彼女との別れだ

式後の教室では
最後の時間を 別れを
惜しんで沸き立つクラスメイト
僕は切なさにそっと教室を抜け出した

校庭に舞い散る薄桃色の花びらが
不意の突風にざわめいている
風に胸のリボンをはためかせ
桜の下(もと)に君が居た
勇気を出して君の元へ向かう
この抑えられない気持ちを持って
3年間一度も喋った事の無い
君の名を呼ぶ

振り返った君が僕を見る
「あのー 僕
入学式の時に玄関で君にぶつかったんですけど…
あの時から君の事が気になって
最後にどうしてもこの気持ちを伝えたかったんです
3年間ずっと君が好きでした」
「えっ」と目を見開く君
周りの音が消えてただそこに佇む君と僕
花びら色に染まっていく君の頬
君が呟く
「私 東京に進学するんです
だから もう会えないと思います
気持ちを打ち明けてくれて
どうもありがとう」
彼女の言葉に慌てた僕は
「僕も東京へ行きます
友達で
友達から
東京で会ってもらえますか?」
花びらが舞う木の下で彼女がコクリと頷いた


(キャプション)
「初恋」の続編です
「初恋」で入学式の日に恋した少年の初恋物語
卒業式の出来事

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「画像お借りしました ありがとうございます」


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