古本屋一幕

最近古本屋さんに話しかけられるようになった。「今どき文学好きなんてめずらしいね」と言ってなにかと目をかけてくれる。うれしいものだが、なんだか騙しているようでもあり、きまずい。文学が好きだと思ったことは実のところ皆無だ。

一昨日その古本屋さんの友達だという日本文学の研究者がきていて、私のことを紹介してもらった。なに読むの?と訊かれて今読んでるのはヘンリ・ミラーだったが、咄嗟に戦後文学とかですかねと答えた。たぶん無意識になにか気を回したのだ。そのあとは本のことをいろいろ教えてもらって参考になった。

帰りがけ文学研究者のひとに一冊本を買ってもらった。いい本だからとのことだった。ありがたくも、やっぱりなんか騙しているようで申し訳ない気持ちになった。

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