日曜日の夕方
はじめに
日曜日の夕方になると、自然とテレビの前に座っていた記憶があります。『ちびまる子ちゃん』『サザエさん』『こち亀』『ONE PIECE』ーーこれらのアニメが連続して放送されていました。これらのアニメを見ていると、「ああ、休みが終わるんだな」という切なさがこみ上げてきたことを、今でも思い出します。細かなストーリーはあまり覚えていないのですが、それぞれのエンディング曲が、どこか安らぎを感じさせる歌として記憶に残っています。
コラムの記憶
約10年ほど前、小学校教諭として採用された年に、ある新聞記事のコラムを紹介されて読んだことがあります。同じ職場の先輩が執筆したコラムでした。その記事では、日曜日の夕方が持つ特別な力について語られていました。家族全員でテレビの前に集まり、共に過ごす時間ーーその団らんのひとときが、どれだけ貴重で大切なものであるかを読者へ問いかけていました。そのような時間は、家族の絆を深めるだけでなく、翌日から始まる新しい週に向けての準備でもあったのです。
口笛男
私はストーリーではなく、日曜日の夕方に流れてくる曲から、何かパワーをもらっていたような気がします。当時、小学生や中学生ごろでしたが、名前のつかないなんとも言えない感情を乗り越える力をもらっていたのだと思います。高校生の時に学んだ現代文で、角田光代さんのエッセイ『口笛男』を思い出しました。そこでは、ある音楽がきっかけで昔の記憶が蘇ってくるという、音の持つ魅力について語られていました。音楽には、人の心を時空を超えて瞬時に連れ戻す力があります。私にとって、日曜日の夕方に流れていたこれらのエンディング曲が、まさにそのような役割を果たしています。
私の中の日曜日の夕方の記憶
例えば、『ちびまる子ちゃん』のエンディング曲「休日の歌(Viva La Vida)」では「終わりかけた日曜日はどこかいつも切なくて」という歌詞が響きます。まさになんとも言えない感情を描いた歌詞だと思います。
『サザエさん』の「サザエさん一家」の「ホラホラみんなの声がする 」や、『こち亀』の「葛飾ラプソディー」の「どこかに元気を落っことしても 葛飾亀有アクビをひとつ 変わらない町並みが妙にやさしいよ」といった歌詞も、日曜日の夕方特有の感情を巧みに表現しています。
『ONE PIECE』のエンディング曲「エターナルポーズ」では「幼き頃の夢物語 忘られじ記憶の糸辿り 未だ胸を焦がす残火を消してしまわないように」と、過去の夢や記憶が現れる様子が歌われています。
思い返して考えてみると…
どの曲も当時は、心地良い韻を踏む歌詞や、ゆったりとしたバックサウンドが印象的で、特に歌詞の意味を考えたり、曲を反芻したりはしませんでした。それでも耳に残り、20年経った今でも、時々私を支えてくれるのです。
しかし、現代においては、日曜日の夕方の家族団らんの形はどうなっているのでしょうか。多くの人が経験する、週末の終わりに感じるぼんやりとした虚しさ。その虚しさを乗り越えるためのターニングポイントが、日曜日の夕方にあるのではないでしょうか。その時の感情とどのように向き合うかで、翌日からの仕事や学習の生産性みたいなものは、ほんの数%程度、向上するかもしれません。
いよいよですよ♪
夏休みの終わりが近づくこの時期、日曜日の夕方と似た感情と向き合う子どもたちや学生、そして学校で働く教職員もいることでしょう。私自身もそうですが、自分の感情と折り合いをつけるためのルーティーンを見つけることは、有益なことだと思います。少しでもその感情を受け入れ、前向きな気持ちで新しい週を迎えることができるよう、何か心の支えとなるものを見つけられると良いのではないでしょうか。
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