2024/09/19の日経新聞を読んで
レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラの戦闘員らのポケットベルが17日に一斉爆発した事件では、イスラエル側が端末の製造・流通過程で爆発物を組み込み、通信によって遠隔操作した可能性が指摘されている。情報端末のサプライチェーンへの侵入が安全保障上のリスクとして浮上してきた。記事を要約すると共に所感を述べたい。
爆発の瞬間をとらえたカメラの映像からは、ポケベルを手にした人物の手元から破片が飛び散る様子が確認できる。
米欧メディアは爆発したポケベルの製造元は台湾のメーカーで、レバノンに輸入される前にイスラエル側が約5000台に30~60グラムの爆発物を埋め込んでいたと報じた。
遠隔からの操作で爆発する仕組みになっていたとみられている。
テロ対策に詳しい公共政策調査会の板橋功研究センター長は「例えばポケベルのソフトウエアに侵入口となるバックドアなどを仕込んでおき、特定の通信を受信した際に爆発物が起動するよう仕組むことは技術的には可能だ」と話す。
製造や出荷、流通などの過程で部外者が端末に操作を加えられる状態であった場合にはリスクが高くなる。
台湾の経済部(経済省)も18日の声明で出荷後に改造された可能性が高いと判断していると述べた。
情報端末にバックドアが仕掛けられるリスクはこれまでも指摘されてきた。
2022年の北京冬季五輪では中国政府が利用を呼びかけたアプリを介して情報が盗まれる恐れがあるとして、米政府は大会参加者らに重要なデータが入っていないスマートフォンを持ち込むよう警告した。
あらゆる情報機器についてサプライチェーンの厳格管理がいっそう求められそうだ。
【所感】
これは間違いなく高度な軍事技術とサイバー技術を持つイスラエルの特殊部隊がサプライチェーンの中で、爆発物を忍ばせて、バックドアを仕込み、ある条件下において遠隔操作で爆発できる設定にしたのだろう。アメリカがイスラエル側にいる以上、アメリカの関与も否定できない。
これに対して、ヒズボラはイスラエルに対して報復措置を取ると宣言。まさにやられたらやり返すが続き、報復合戦に終わりはない。
我が国日本も他人事では無いだろう。サプライチェーン供給網の中に、仮想敵国中国、ロシア、北朝鮮がいれば、バックドアを何らかの形で仕込まれる可能性がある。サプライチェーンのある意味恐ろしさを痛感する記事となった。