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2024/08/26の日経新聞を読んで

6月初旬に国際宇宙ステーション(ISS)に送り込んだボーイング製の新型宇宙船「スターライナー」の有人での地球帰還を断念したと発表した。NASAによるボーイングの新型宇宙船での地球への有人帰還断念は米国の宇宙開発計画を狂わせる可能性がある。中国やインドとの競争が激しくなるなか、NASAは民間主導で計画を進める方針だった。記事を要約すると共に所感を述べたい。

  • 今回の問題はISSに向かう途中で起きた。全部で28ある推進装置のうち5つが正常に動かなくなった。4つは修理できたが、1つは使用できない状態となった。

  • 代替手段はスペースXの宇宙船「クルードラゴン」で、24年9月に打ち上げ、25年2月に2人を乗せて地球に帰還する。

  • 米国では有人宇宙船「スペースシャトル」が長く宇宙開発の現場を支えてきた。

  • しかし86年に「チャレンジャー号」が発射直後に爆発し、2003年には「コロンビア号」が地球帰還時に空中分解した。この2件の事故で計14人の宇宙飛行士が死亡した。

  • ネルソン長官は24日、「過去2つの事故は教訓として今回の(帰還断念の)判断に大きな影響を与えた」と述べた。

  • 米政府とNASAは2011年にスペースシャトルを退役させ、宇宙開発の主役を複数の民間企業に委ねる方針に転換していた。

  • 企業同士を競わせれば、コスト削減や技術革新を速められるといった狙いからだ。

  • NASAは民間の宇宙船開発を支援する大型プロジェクトに乗り出した。

  • 14年にはボーイングの「スターライナー」と、スペースXの「クルードラゴン」に対象を絞り込んだ。

  • スペースXのクルードラゴンは大方の予想を覆して順調に開発が進み、20年からISSとの往来に使っている。

  • 一方、老舗のボーイングのスターライナーは完成が遅れに遅れた。

  • NASAがボーイングとスペースXの2社に開発を委託したのは、複数の宇宙船をそろえることで安定運用につなげるという思惑もあった。

  • 仮に事故などで片方の宇宙船が使えなくなっても、米国内で別の打ち上げ手段を確保できる。

  • ロシアの宇宙船「ソユーズ」に頼らなくてもすむようになる。

  • NASAがボーイングに見切りを付ければ、そうした計画は大幅に崩れる。

  • スペースXが米国の有人飛行で当面主役を担うが、1社に任せきりでは不測の事態に米国全体の宇宙開発が滞るリスクも高まる。

【所感】
米国における宇宙開発の二台巨頭の一角であるボーイングで不測の事態が起きた。原因究明を徹底すると共に、ISSに取り残された2名の宇宙飛行士が無事に地球に帰還できることを祈りたい。

ボーイングは宇宙分野での今回の不具合だけでなく、主力の航空機部門の不具合も相次いでおり、経営も良くは無い。

この様な状態の中、米国の宇宙産業はマスク氏率いるスペースXに頼らざるを得ないが、いくらスペースXとはいえ、一社に依存するのはリスクがある。企業とは競争することで、より良いサービス製品を生み出すため、競争原理は必要不可欠だし、宇宙計画実現のスケジュールにはボーイングも欠かせない。

日本の宇宙産業よりも一周以上差を付ける米国だが、世界を牽引する米国だからこそ、今後も注目したい。

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