
2024/05/29の日経新聞を読んで
防衛装備の開発を担う企業の業績が好調だ。政府が2022年末に発表した安全保障関連3文書を踏まえて防衛産業に注力したことで「特需」が生まれている。ほかの業界や家計を含む経済全体に恩恵を広げる波及効果が重要になる。記事を要約すると共に所感を述べたい。

防衛産業はこれまで販路がほぼ自衛隊しかないため「お荷物」部門とのイメージがあった。
収益難からコマツは18年に装輪装甲車の開発を中止し、住友重機械工業は21年に機関銃の生産から撤退した。
政府は安保関連3文書で防衛生産・技術基盤は「防衛力そのもの」と明記し、国内の基盤強化に乗り出した。
防衛生産基盤強化法が23年10月に施行され、サイバー攻撃対策や事業承継といった経費を国が補助する。
装備品の海外輸出に必要な仕様変更などにかかる費用も助成する。
防衛装備移転三原則の運用指針も改定し、海外に販路を広げやすくなった。
三菱重工業が8日に開いた24年3月期の決算発表記者会見で小沢寿人最高財務責任者は「防衛・宇宙の受注は過去最高になった。防衛力強化の方針のもと、複数の大型案件を受注したことが寄与した」と強調した。
同事業の受注は前の期比3.4倍の1兆8781億円と大幅に増えた。

産業全体で業績が好転すれば下請けの中小企業にも恩恵が広がる。もうからない防衛産業のイメージの払拭につながる。
これまで防衛省は契約時に企業の利益率を平均8%程度に設定し事業を発注していた。
開発中の材料費高騰や納期遅れで実績の営業利益率は2~3%前後にとどまる例が多く、赤字の場合もあった。
23年度以降は弾薬や航空機・艦船、通信機器などの製造・開発を発注した企業側の想定営業利益率を最高15%に引き上げた。
【所感】
防衛特需と言われると、かつての日本の高度経済成長期の起点となった朝鮮戦争での特需を連想する。しかし、今の特需は当時とは状況は大きく変わり、2022年末の安全保障関連3文書から来ている。そして今まさに三菱重工や川崎重工をはじめとする防衛産業は恩恵を受けており、三菱重工は受注額1.8兆円と驚異的である。一般的な大手企業1社の受注額を軽く超える。この特需はしばらく続くと見ている。防衛予算のGDP比2%達成に向けてのプランは長く、中長期的である。日本の防衛産業にはますますの繁栄を願いたい。