2024/05/31の日経新聞を読んで
東京都区部の自治体で、マンションなどの事業者に家族で住める広さの確保を求める動きが広がっている。23区のうち18区は対応を義務付ける条例を制定。規制のなかった豊島区は10月から、一定規模以上の物件を対象に設置を促す。背景には全国で最も低い出生率と、他地域からの人口流入に依存する構図への危機感がある。記事を要約すると共に所感を述べたい。
豊島区は2022年に区外に引っ越した18歳以下の子どもがいる世帯のうち、63%は最年長の子が0~6歳の時に転出していた。
同年に実施したアンケートでは、86%が区内に住み続けたいと答えたが、「ファミリー物件が少ない」との声も寄せられた。
家族が住める住戸の割合を増やそうと、04年に「狭小住戸集合住宅税(ワンルームマンション税)」を全国で初めて導入した。
30平方メートル未満のワンルームが9戸以上ある建物を造る場合、1戸当たり50万円を課税する。
課税対象の建築確認申請数は税施行前の1999~03年度は年平均1069戸だったが、04~22年度は825戸と23%減少した。
23区内の共同住宅で住戸面積が30平方メートル未満の割合は18年度時点で42.1%と、13年時点(39.9%)から増えた。
こうした状況を踏まえ、区は10月から「としまファミリー住戸」と呼ぶ制度を新設する。
総戸数が30戸以上かつ3階以上の共同住宅には、床面積が50平方メートル以上の住戸の設置を求める。
従わなくても罰則はないが、今後の状況を踏まえて条例化も検討する。
高際みゆき区長は「子どもが2人生まれても、豊島区で住みたい方が住めるようにしたい」と力を込める。
22年の東京の合計特殊出生率は全国最低の1.04。
保育所の新設で待機児童ゼロを達成した江東区は今年1月、ワンルームの住戸数が20戸以上の共同住宅に家族向けの住戸の設置を求める条例を施行した。
【所感】
ワンルームマンション税のことを知らなかったのはオーナーとして恥ずべきことだと痛感。現在30平方メートル以下の部屋が9戸以上あると1戸あたり50万課税される。その影響もあり、新築ワンルームマンション自体の供給数は全盛期より減っている。実際、天下の港区で新築ワンルームが供給されるなんて直近で聞いたことはないし、中古でもまず出回らない。今回の焦点は、ファミリー向けの広めの物件が少ないこと。ただでさえ、23区内のマンションは狭いのに、ファミリー向けは希少性があるだけでなく、価格も非常に高価格帯で平均的なパワーカップルでも手が届かない。とはいえ、ファミリー向けに住み続けてもらうためにも、豊島区の試みは面白い。是非条例化して欲しい。