こんな北朝鮮に注目! 違法?合法?年利60%
年利60%という高金利の北朝鮮のいわゆる闇金融に注目したい。2000年代の闇金の貸出金利は月13〜15%だったが、貸金システムが整備された2010年代に入ってからは月5〜10%となり、安定傾向だが、それでも低くても年利60%という水準だ。
また、借り手の信用度に応じて闇金の利率は千差万別である。通常月5〜10%だが、高官クラスは月3%と若干低くなる一方、中規模の事業者は月10%、密輸業者は月20〜30%の金利を払う。貸付額によっても利率が変わる。貸付額が大きいほど利率は低く設定されるのだ。2000ドル未満は月10%、それ以上は月4〜7%の金利となり、3万ドルまで借りることが可能なのだという。
韓国の金融筋によると、北朝鮮では、銀行などの金融機関はあるが、住民や企業家たちはあまり利用しない。貸出や振込などの金融サービスは貸金業者が担っているという。そうした社会構造もあるためか、1990年代には貸金業者の金利が年150%を記録した。市場経済が安定化した後、闇金の金利は年50〜60%に低下したが、まだ高い水準だ。
当然のことながら北朝鮮でも闇金は違法で、そうした業者が貸金で利益を得た場合、2年から5年までの労働教化刑を受けるよう刑法で定められている。闇金を政府の力で抑え込み管理するためだろう。
さらに当局は、貯蓄率を高めるため金利を引き上げるなど力を入れているが、効果はあまり見られない。銀行の利率が年3.5%程度に過ぎない上、人々が銀行にお金を預けるより、個人の金融業者に貸した方が高い利子を得られるので、銀行に預金する理由がないからだ。
そうした銀行の力のなさと得をしたい人々の思惑が、北朝鮮でありながら、統制の枠を逃れ、非常に資本主義的な「金主(トンジュ」と呼ばれる新興富裕層に資金が集まる仕組みをもたらしている。金主は、ニューリッチとして、もはや政府もその存在の大きさを認めざるを得ない人々のこと。進化する貸金市場は今後、北朝鮮内の市場経済の活性化だけではなく、改革開放のきっかけとして作用する可能性もある。
金政権は自国の経済について、今後、どのようなかじ取りをするのか。年利60%という高金利を国民が許容しつづけるとは考えづらい。人々の不満のガス抜きをしながら、資本主義的なものと社会主義の折り合いをつけることで、北朝鮮の未来は開けるのだろうか。