【文献抄読】作業バランスを評価する尺度と定義に関する文献レビュー
【抄読】
作業療法の領域では、健康的な生活のため作業バランスが重要であると多くの書籍や文献で示されている。
本文献では作業バランスを評価する尺度に関する15文献をシステマティックレビューで調査することで、作業バランスの尺度に関する内容や要素を整理し、研究動向から尺度活用にむけた課題を見出すことを目的としている。
調査結果は、16種類の尺度が開発されており測定方法は自記質問紙が多く、当事者が自己分析する方法が中心となっていた。また、作業バランスを評価する尺度の定義において、類似した記述内容を共通する要素として抽出すると【作業の量】、【作業のバリエーション】、【自身の価値観との一致】、【作業遂行の結果】の4つとなった。
考察として、作業バランスを評価する尺度の定義として、4つの要素が抽出されたが、普遍的に受け入れられる定義を定めることは困難であり、妥当ではないことが示唆された。また作業バランスは文化の影響や、国や地域の状況において変化し、社会的に構成されるため静的な概念として決定されることは困難であった。今後は作業バランスの概念の明確化と可視化が課題と考えられる。
【コメント】
・作業バランスは、クライエントの健康やQOLを改善する概念として重要である
・作業療法において、各作業のバランスを整えるだけでなく、クライエントの価値観と一致させることも重要である。
・作業バランスは、個人によって概念に誤差があり、定量的に測定できるツールが必要である。