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義理と人情

私はとあるラーメン屋さんで
アルバイトをしている。

東京と、四国の港町に店舗をもつ
ラーメン屋で、オーナーは行ったり来たり。

そこで、私は会社員の傍ら、副業でアルバイトを
させてもらっているので、週に1日しかシフトに入れない使いにくいスタッフだと思うが、しっかり、私を一員として迎え入れてくれる、
このラーメン屋が大好きだ。

私は、学生のころからバンドを組んで人前で演奏することが好きだった。noteの別の記事にも書いているが、ラーメン屋があるこの町でも3,4年ぶりにライブをした。その時も、オーナー筆頭に、スタッフが大勢駆けつけてくれた。
会場見渡した途端、嬉しさで涙が込み上げてきたのを覚えている。

その後日もボソッと、「見に行きたかったからさ、こっちでやってくれてよかったよ」って。見に行きたいと思ってくれてたんだ、、、、、、、、、と感動した。

そういう具合に義理人情に熱い人。

話をラーメンに戻すと

地元食材にこだわり、
丼一杯のラーメンのおいしさを常に追求する。
その並々ならぬ汗と涙と腰痛とを
この目で見てきた。

オーナーだけでなく、スタッフのみなさんの情熱も半端ない、このチームは、まさにワンチーム。

誰も遠慮することなく、「これやってみたい!」と手を上げられて、
その実現に向けて全員が全力投球する。

「できるまでやらせてください!」に、
静かに応え暖かく見守る。

このチームは、一人ひとり個性が強く、
とてもユニークなメンバーだが、
それがデコボコになって衝突することがない。
常にお互いが愛情をもって接しているのが、
どんなに近い存在でも配慮があることが、
ワンチームになっている所以なのだと思う。

失敗もたくさん経験し、体調不良で突然バイトを休むことも多かった私、それでも、いつでもこのチームにいられる、安心感をくれたことに感謝してもしきれない。

私が先に「ありがとう」って言いたいのに、
絶対にオーナーや店長の方が「ありがとう」
って先に言ってくれる。
そんな、渋くてかっこいい環境に身をおけたこと、自分の勤めている会社にも感謝だ。

あとは、誰よりも頑張って、
イヤな仕事もめちゃめちゃやって、
誰も分かれないつらいこともたくさんあるのに、ひたむきに向き合い続けて、周りの人には笑顔でいられる、そんな辛い思いしなくていいよって人には言える強さを目の当たりにし、
そんなかっこいい大人に、私もなりたいと背中?横顔?を見て常々思っている。(厨房では横並びなので)

そして、「こだわり」の薄い、人にも自分にも甘い私にとって、ここでのアルバイトはとても自身を成長させてくれるものになった。絶対に一番を取ることや絶対的なおいしさを追求すること、圧倒的なパワーを手に入れることが、どれだけ楽しいか味わわせてくれ、もっと自分の人生や、やりたいことにがむしゃらにならないとカッコ悪いなって、成長や気づきを貰った。(気持ちだけ、こっから這いつくばんないと意味ない。)

紆余曲折あり、3年所属したこのラーメン屋を離れなければならなくなった。私は、新天地で新たな出発を迎えることが決まった。
オーナーに言ったら

「寂しいな」って言葉をくれた。
「遊びに行くから、おいしいとこ探しとけ」
って言葉が泣きそうなくらい嬉しかった。

極めつけは、ここから
東京出張の予定があって、
東京のラーメン屋にも足を運ぼうと
オーナーには内緒でお店にいった。

私が来たことに驚いていた。やっぱりラーメンめっちゃ美味しかった。
オーナーは予定があったらしく、一瞬しか話すことが出来なかったけど
「かほちゃんにラーメン作れてよかったよ!」と嬉しい言葉を残して足早にさっていった。

オーナーが出ていったあと、
奥様が話かけてくれた。

「話はよく聞いているんですけど、かほちゃんですか?」
と、話はよく聞いている がまず嬉しかった。

「香川に行くと伺いました。お世話になりました。でも、かほちゃんいなくなるの惜しいわっていってました。SNSとかかなりお世話になったようで」

息が止まるかと思った。
そんなこと、話してくれてたんや。。。
その言葉に一気に離れる寂しさが込み上げてきた。本当に大事にされてたんだな。。と
改めて実感した。
本人からも言葉や姿勢で十分すぎるぐらい
愛情をもらっていたけど、第三者からも話をきくと、より、強く確証を得られた。

私も感謝の気持ちを伝えようと、
奥様に話かけた。
最後に、「バンドやってって、」てライブに来てくれたことも話そうとしたら、

「あ、聞きましたよ。ライブいったって」

って。奥様が話をさえぎって伝えてくれた。


私、本当に温かい場所で働いていたんだなと
実感した。
何度ありがとうと伝えても足りないけど、何度も何度も最後の日までありがとうをたくさん伝えようと思う。

あとは、みんなに元気でいて欲しい。
たまにあった時は、
いっぱい話を聞かせてほしい。
私の第二に故郷がラーメン屋になると想像もしてなかったけど。
私の帰る場所だなと思う。


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