【遊戯王マスターデュエル】'23三月版・ブレイバー軸イグナイトターンスキップについて
こんにちは。
本記事は『スプライツ・オブ・ミラクル』でリペアされた【イグナイトターンスキップ】についての個人的な備忘録です。
紹介記事としては『サンプルレシピ』『基本展開』「《拮抗勝負》直撃時のワンキル展開例」「ランクマで見かけたあのデッキ」辺りを読んでおけば事足りるはずなので、目次を駆使していただけると幸いです。
はじめに
遊戯王最大の浪漫『ターンスキップ』
《一撃離脱》というカードがあります。
バトルフェイズ終了時に発動すると相手のメイン2だけをスキップできる、という風変わりな効果を持つカウンター罠です。
無論、メイン2だけを飛ばしても大した恩恵はありません。精々が魔法・罠のセットやアーゼウスの着地を防ぐ程度でしょうか。
何がしたいのかイマイチ不明瞭なカードです。
遊戯王OCGには《一撃離脱》のようなターンの一部をスキップするカードが幾枚か存在していますが、いずれも相手の展開や盤面に直接干渉できず、単独ではアドバンテージに繋がりづらいものです。こと展開妨害に重きを置く現代遊戯王においては、弱いカードとさえいえるかもしれません。
しかし、それはあくまで単独での話。
スキップカードは複数の効果を組み合わせることで、展開の妨害どころかカードプレイそのものを封じこんで相手ターンを強制終了する凶悪コンボ『ターンスキップ』を成立させることができます。
どんなに展開力や貫通力を備えていようと手札からカードをプレイできなければ無意味なのが遊戯王というカードゲーム。ならば相手に行動させないターンスキップこそ遊戯王最強の妨害に違いありません。
そして本記事で取り上げる【イグナイトターンスキップ】こそ浪漫溢れる最強妨害ターンスキップ・コンボを軸にした夢のようなデッキなのです!
悪夢の誤りだと度々指摘を受けますが聞かなかったことにします。
サンプルレシピ
キーカード
EX
《パワー・ツール・ブレイバー・ドラゴン》
本軸の最重要カード。
ブルズアイン+チューンとレベル1チューナーで作れる都合のいいレベルをしているので、元々はリナルド+ブルズ+チューンで出す三枚初動などを考えていたのですが、試行錯誤の末に槍持ちを使えばリナルドがいらないと気づいて二枚初動が開通する運びとなりました。
ついでにパラディン1枚でのメイン1スキップ&ハンデスルートが開通し強い妥協展開に行けるようになったので、竜剣士前でもパラディン3積みが容易となり結果的にメインルートのバロネス三枚初動も安定化。
まさにブレイバー様々といった感じです。
《聖騎士の追想 イゾルデ》
メインエンジン。説明不要。
《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》
Pモンスター専用万能サーチャー。だいたいアストログラフを引っ張ってきますが最近はマジェPサーチも増えたようで先行きが怪しくなってます。
このデッキではアリアドネのサーチとターンスキップ後のリソース補充がお仕事です。
《スプライト・エルフ》
レベル2限定でなんでも釣り上げる狂った蘇生カード。
ブレイバー用のチューナー調達を円滑化した二枚初動の影の立役者です。
そのうち死ぬんだろうなぁとぼんやり思っています。
《フルール・ド・バロネス》
三~四枚初動でのエース。
流行りの《拮抗勝負》を無効にする択も取れるので初手に三枚あれば原則バロネスを選んでいます。
《召命の神弓-アポロウーサ》
マーカー調達係。
ターンスキップ前提ならイゾルデ+エレクトラムの盤面のほうが強いので効果無効能力自体はそこまで重視していません。
下3マーカー確保には素材が緩く捲りに使えなくもない《天威の龍拳聖》が本当は一番なんでしょうが……生成する気にはなれないので。
《剛炎の戦士》
なんでも炎属性の戦士族に変換する戦士族ロード。
ニビルのトークンを炎戦士に変換してリナルドを出すような使い方もありますが、今の段階だとニビル貫通は無理そうなので単なるパンプ役です。
適当なモンスター2体から全体500パンプ掛けるのが意外と馬鹿にならずターンスキップ後の詰めにちょくちょく使ってます。
《軌跡の魔術師》
通称ビヨペン。裏目の多い環境なのでイゾルデ2枚目の効果②でもう一度イグナイトをサーチできる可能性を残しておくために保険として採用。
二枚初動、三枚初動の両方で基本展開に使用しないので、なければないで別にどうとでもなります。優先順位は低めです。
※軌跡を採用しない場合はカゲンを抜くこと。
《虹光の宣告者》
増G受け用。
チューン着地前に投げられた場合はチューナー化させて虹光を作ります。
焼け石に水ではありますが無いよりマシです。
《ヴァレルロード・S・ドラゴン》
ニビル受け用。
着地から無効発動可能になるまで多少の隙が発生するためニビルケアでは頼りづらく、どちらかといえば直撃時に1妨害を立てるためのカードです。
ブルズアイン1枚から作れる高打点でもありますがアクシデント発生時にチューンの制約でリカバリ不可能になるのが怖く、フィニッシャーとしての出番は少なめです。
《灼熱の火霊使いヒータ》
セレーネアクセスのバーターです。
無論セレーネ用の魔法使い族には他に軌跡がいるので必須でないものの、P効果モンスターを要求する軌跡とP通常モンスター主体のイグナイトでは噛み合いが悪く咄嗟にセレーネを出せない状況も珍しくありません。たまにうららやスプライト下級も拾えるのもあり、潤滑油として採用しています。
《神聖魔皇后セレーネ》《アクセスコード・トーカー》
《ヴァレルソード・ドラゴン》
汎用フィニッシャー。
枠が余ってるので両方入れてますがどっちかでいいと思います。
モンスター
《チューン・ナイト》
装備魔法形態とモンスター形態を切り替え戦うユニオンのようでユニオンでない炎属性の下級戦士。古のカードなので名称ターン1がありません。
長らくパラディンから呼んでイゾルデを作ったらお役御免という使い捨て素材扱いが横行していましたが、墓地の戦士族を装備できるブルズアインが登場したことで評価は一変。一度墓地に送ればブルズアイン1枚で2素材を調達できる宇宙ネズミと化しました。
ちなみにチューナーになる効果を使うとEXデッキから出せるモンスターが1体になる縛りが発生するのでプレミに気をつけましょう。
イグナイトの展開はこのカードに深く依存しており、パラディンに誘発を貰うと結構困ります。パラディンへの《幽鬼うさぎ》などはその最たる例でパラディンが破壊された時点で装備対象が消えるのでチューン装備の処理が立ち消えとなりブルズアインから再展開できません。九割型詰みます。
《昇華騎士-エクスパラディン》
チューンの相棒その①。
初手での価値はイグナイト1枚分ですが、手札イグナイトが2枚以上ならイグナイト2枚分として計上できます。
竜剣士以前のイグナイトでは1枚採用がセオリーでしたが、ブレイバーを使った妥協展開ルートがあるので強気の3枚採用となりました。
《セリオンズ“ブルズ”アイン》
チューンの相棒その②。
今回はブレイバーの素材としての役割を与えていますが、本来は追加展開ではなく、ケア札としての役割を期待して採用するモンスターです。
かつてのイグナイトではイゾルデへの《幽鬼うさぎ》が即サレンダー級の致命傷でした。イグナイトの展開ではP召喚前に手札に上下スケール2枚とリンクマーカー2つ以上を揃える必要があり、イゾルデを破壊されて展開を通すには最低でも手札にイグナイト4枚を要求されるからです。この条件を満たす初手はパラディン+イグナイト4枚のみ。まず不可能でしょう。
ブルズアインを採用すればイゾルデを破壊された場合にイグナイト2枚で盤面を修復できる可能性があるので、現実性ある確率でのケアを行えます。
竜剣士の登場後はイグニスP素引きから2枚貫通できる目もありますが、現在のイグナイトでは唯一の貫通札です。ブレイバー型以外のイグナイトを使う際にも出来るだけ採用したい必須級のカードです。
《聖騎士の槍持ち》
このデッキのMVP。
召喚時に場のモンスターをチューナー化する効果と自己リリースで任意の装備魔法をサーチする2つの効果を持っています。
イゾルデからデュランダルをサーチするムーブは従来と変わりませんが、誘発避けに無駄撃ちしていたチューナー化を活かした結果ブレイバー型二枚初動が開通しました。
《焔聖騎士-リナルド》
様々なテーマで墓地から煙玉を回収しているレベル1の炎属性・戦士族。
最終盤面までに妖刀を2回起動させる【イグナイトターンスキップ】ではイゾルデが墓地へ送った妖刀をサルベージして再起動可能にするリナルドが展開に絡みやすくなっています。いわゆる過労死枠でしたが墓地から装備をサルベージできるブレイバーの登場で多少は休めるようになりました。
《ゴッドフェニックス・ギア・フリード》
P召喚後の誘発弾きとバロネスの素材を兼ねるエース。通称ゴッフェニ。
特殊召喚の条件・コストが非常に緩い割に打点が高くターンスキップ後の盤面に並べるだけで8000削り切れたりします。
《黄昏の忍者-カゲン》
イゾルデからリクルートして軌跡の魔術師を呼び出すためのパーツ。
とにかく素引きが弱く可能なら抜きたいカード筆頭です。
《キリビ・レディ》
誘発貫通やパーツ素引き時の展開補助など多様な使い道が売りの便利屋。
このデッキには槍持ちやカゲンのように素引きすると困るカードが一定数存在します。その殆どはイゾルデからリクルートしたい下級戦士族です。
始動に必ず召喚権を使うイグナイトではリクルート対象を素引きするのが結構なダメージ。キリビはそうした素引きの解消で有用に働きます。
他には、初手チューン素引きもキリビのメジャーな使い所です。この初手でキリビから入ると誘発を受けずにイゾルデLsまで進むことができます。
魔法・罠
《燃え竹光》《一撃離脱》
メインギミックであるターンスキップ・コンボの必須パーツです。
サーチのため《妖刀竹光》を最低一回墓地に送り《解放のアリアドネ》を破壊することを要求されます。
《『焔聖剣-デュランダル』》
レベル5以下の炎属性・戦士族専用サーチです。
素引きが強く、パラディンの効果を打ち消された際にキリビをサーチすることで貫通するような使い方もできます。
イグナイト最高打点の《イグナイト・デリンジャー》にアクセスできるのもメリットで、イゾルデとデュランダルで2-7スケールを確保する場合にドラグノフ+デリンジャーの4100打点ペアを用意しやすくて便利です。
《命の奇跡》
表示形式の変更時に破壊効果を発動する装備魔法です。
ブレイバーとのデザイナーズ・コンボが存在しており、表示形式変更効果を破壊に代替することで、ブレイバーの効果を無効or破壊にアップグレードできます。外付けの強化パーツを駆使するパワーツール系らしさが詰まっており、よく考えられたデザインの良カードです。
このデッキではエレクトラムからアリアドネをサーチする場合に発生するセルフ・ブレイク不足を補うカードとして採用しています。
《盗人の煙玉》
大人気装備魔法。
ブレイバーでの煙玉運用はケートスでの自動破壊を利用する手法が一般的ですが、このデッキでは二枚初動でエレクトラムのコストになって仕事するカードという立ち位置にあり、そのため、ケートスは使用しません。
妥協展開の乏しい妨害をピーピングハンデスで補えるため採用に至りましたが【イグナイトターンスキップ】としては特別採用する理由もないカードでもあります。
煙玉を破壊する意義を感じないのであればフォッシルやフルールとの入れ替えも視野に入ります。
《『焔聖剣-ジョワユーズ』》
墓地の炎属性・戦士族をレベルを問わずサルベージできる装備魔法です。
通常は妖刀、折れ、デュランダルに次ぐ四枚目の装備魔法枠で採用されるカードで、奇跡煙玉を採用したこのデッキへの採用は普通ならありません。
しかしながら《拮抗勝負》の急増を加味した結果、妥協展開・二枚初動の両方で《スプライト・エルフ》からの再始動が可能になるジョワユーズへの評価は無視できず、セオリーにない六枚目枠として採用に踏み切りました。
採用・入れ替え候補
《アストログラフ・マジシャン》
エレクトラムで場の不要なカード1枚をレベル7の闇属性・魔法使い族に変換するためのカードです。Pカードを破壊できていれば1枚を2枚にし、初手に引けていれば更なるアドバンテージを期待できる、という制限されて当然の壊れカードですが、反面、手札からポン出しできないので事故原因になることもしばしばあり、個人的には理由があれば抜きたいカードです。
エレクトラムのサーチをアリアドネに当てる都合、アストログラフを積極利用するのは軌跡からサーチする上振れしかないので不採用になります。
《剣の煌き》
自陣生物を1体サクってデッキに戻るという意味不明な装備魔法です。
ハッキリいって装備魔法としては《光の角》にも劣るゴミです。
ですが、デッキに戻るタイミングを自分で選択できるので、このタイプの装備魔法には珍しくドローを汚されることがなく、イゾルデの効果②発動が必要なときにだけデッキ内装備魔法を1枚増やせるという唯一無二の強みを持っています。要するに、このカードはモンスター1体を戦士族に変換するための装備魔法というわけです。
イゾルデ効果②の再使用は基本的に保険の意味が強く、用心だけのために展開札を1枚減らし装備を増やすと事故リスクが高くなって本末転倒です。そこでコンパクトに使える装備4~5枚目枠としての需要があります。
《黄金色の竹光》
妖刀からサーチできるドローソース。
イゾルデからの妖刀起動時に燃え竹光をサーチすると妖刀によるサーチが1~2回余ります。その際、ピン刺ししておくと2ドロー儲けます。
採用構築を三十回ほど回してみましたが、相性は悪くないです。
再展開にイグナイトカードを必要とし、手札に2枚のイグナイトがあれば誘発も貫通しうるイグナイトデッキにおいて2枚の手札補充は非常に心強いムーブです。
ただ、懸念事項として妥協展開で黄金色を使用するにはブレイバーからの煙玉を捨てることになります。(黄金色展開ではイゾルデ妖刀で燃え竹光をサーチするため、ブレイバーのリクル内容がGY妖刀・折れ竹光・任意1枚になる。奇跡と煙玉を場に揃えられずハンデス不成立)
妥協展開はメイン1スキップで戦闘破壊・アーゼウス着地を許さないのがキモとなるので、燃え竹光の発動は必須。従って、1ハンデスか2ドローがトレードオフとなるわけですが、現環境は捲り札の採用が異様なほど増えているため前方確認とイゾルデのコストの役割のある煙玉を優先しています。
基本展開
以下は無妨害での展開ルートです。
独自研究ゆえに洗練されていない部分も多いことはご了承下さい。
また、ここで紹介するのはプレーンの展開であり《拮抗勝負》がガン積みされてる現環境を想定していません。そのためレシピの方で採用されていた《『焔聖剣-ジョワユーズ』》はないものと扱っています。ご注意を。
二枚初動
始動:イグナイト2枚 またはエクスパラディン+イグナイト1枚
盤面:エルフ+エレクトラム+ブレイバー(命の奇跡.折れ竹光)+一撃離脱
備考:煙玉ハンデスが発動,相手メイン1スキップ確定
ブレイバーの登場により新たに開通した二枚初動ルートです。
最大の弱点であるスタンバイサイクを《盗人の煙玉》のハンデスでカバーできるのが強みになっています。
課題となるのは、やはり誘発に対するセキュリティの甘さでしょうか。
リソースの集約点がP召喚後に過度に集中していることからニビル受けは最悪そのもの。P召喚直後にニビルが落ちればエレクトラムを作れなくなりアリアドネを引き込むことすらできなくなります。
うらら、泡影、ヴェーラー、うさぎ、そのどれもが貫通不可能な致命傷になるため増殖するGを通された際は虹光エンドが安牌かもしれません。
三枚初動
始動:イグナイト3枚
盤面:イゾルデ+エレクトラム+バロネス+折れ竹光+一撃離脱
備考:ゴッフェニ蘇生可,相手メイン1スキップ確定
バロネスの万能妨害で《一撃離脱》を守る最も基本的な盤面です。
この展開では折れ竹光を場に出しておくのも肝要です。バロネスの無効を使い切ってもゴッフェニを蘇生すれば1妨害にできます。
イグナイト4枚かパラディン+イグナイト2枚ならP召喚前に折れ竹光+ゴッフェニの盤面まで到達するのでニビルケアも可能です。
③の儀式じみた謎工程はゴッフェニの無効を切らさずにバロネスに向かうための手順……なのですが、妖刀で折れ竹光を回収するまでに無効を使えばそれはそれでターンスキップが難しくなってしまいます。
展開を知らない相手に仕掛けるブラフのようなものですから面倒でしたら装備の付け外しを省略してバロネスを作っても構いません。
妥協展開(パラディン一枚初動)
始動:エクスパラディンのみ
盤面:エルフ+ブレイバー(命の奇跡.折れ竹光)+燃え竹光
備考:煙玉ハンデスが発動,相手メイン1スキップ確定
動きようがないとき仕方なく選ぶルートです。
アーゼウスの盤面リセットだけは食い止め、ブレイバーの妨害で致命打を避けながらもリソース回復を図ります。
装備魔法採用数が五枚だった場合その全てを消費してしまうのでエルフで蘇生したイゾルデの②は使用できません。カゲンssから《軌跡の魔術師》を作るにはメイン1スキップか煙玉のどちらかを断念することになります。
イグナイトさえ引ければイゾルデ+槍持ちで再びイゾルデを作り、①の再発動でスケールを揃える手も取れますが、安定を選ぶなら装備魔法六枚目にジョワユーズでもピン刺しするのがベターな気がします。
というのは、上図のように右手が輝いてターンスキップ成功したとしても次のターンに相手を仕留めきれなければ何の意味もないからです。
上振れ展開
始動:イグナイト5枚
盤面:エルフ+エレクトラム+バロネス+ブレイバー(折れ竹光.生命の奇跡)+燃え竹光+一撃離脱
備考:煙玉ハンデスが発動,ゴッフェニ蘇生可,相手メイン1スキップ確定
イグナイト5枚で出来る最大展開です。
とは言っても実際にイグナイトを五枚引いたとしてもこのルートは使用しません。何らかのアクシデントで盤面を更地にされても手札にイグナイトを1枚ないし2枚残していれば再展開できる可能性が高いからです。
最大展開が選択肢になるケースは上図のようにイグナイト2枚分のカードを初手に引く上振れが起こった場合のみです。
こうした上振れは貫通や展開を広げるのに役立ちますが、次のターンでのスケール確保には貢献しづらいことが多々あります。その際に上振れの引受先として選択肢になるのが当ルートというわけです。
ルート自体は三枚初動にエルフ&ブレイバーかサベージを雑に足すだけで大差はありません。
ターンスキップ後の詰め
手札にイグナイトが1枚以上
ターンが返ってきたらエレクトラムで折れ竹光などを破壊してスケールを揃えた後、《召命の神弓-アポロウーサ》で3マーカーを確保します。
展開中に《イグナイト・ドラグノフ》《イグナイト・デリンジャー》をサーチしておけばアリアドネと合わせて5800点。あとはイグナイトの共通効果でブルズアインなりゴッフェニなりを拾ってくればそれだけで8000点に届きワンキルできます。
エレクトラムで壊せるものがなければ手札のイグナイトとEXデッキのアリアドネを交換し、効果モンスター3体から《ヴァレルソード・ドラゴン》を作る手もあります。が、こちらは無限泡影で止まるリスクを伴うため、あくまで緊急時に選択するルートです。他に破壊可能なカードがあれば横着せずアポロウーサからのP召喚を狙うべきでしょう。
手札にイグナイトが0枚かつモンスターカード0枚
二枚初動ならエルフで墓地の槍持ちを蘇生、エレクトラムでアリアドネを回収後nsしてヴァレルソードを作るのが最速です。
もしくは同様の手順で槍持ち、アリアドネを場に揃え、エルフ+アリアドネ素材軌跡Ls→軌跡+槍持ち素材セレーネLs→セレーネefGY軌跡ss→セレーネ+軌跡素材アクセスLsとすれば、ムニンが出ても9600打点で削り切れます。
三枚初動ならイゾルデでカゲンをリクルートし、軌跡でスケールを揃えてデリンジャーorドラグノフと適当なPモンスターをPs、エレクトラムと任意モンスター1体で《剛炎の剣士》を作ればドラグノフパターンでも8700点に届くためワンキル可能です。Pゾーンにイグナイトが残っているので慎重を期すならエレクトラムとPモンスター二体でアポロウーサを作り、ブルズアイン回収からサベージを作るのも良いと思います。
軌跡のLsefは通ってくれるのが何よりですが通らなきゃ通らないでセレーネアクセスに行く選択が残るのでマーカーが消える幽鬼うさぎ以外の誘発はスルーして構いません。無効は一番止めたい今引きニビルに残しましょう。
プレイングについてのあれこれ
《拮抗勝負》は無効にすべきか
【永続罠型神碑】【スプライト】という二大巨頭に対抗するためか現環境では《拮抗勝負》の採用が増えています。筆者自身も先月末頃このデッキでダイヤ遊んでた際に5~6回は喰らった記憶があります。
比較的ぬるめの月末ダイヤ環境でこれほどまで採用されているなら、とりあえず環境クラスのデッキにはだいたい積まれてると考えて良いはずです。今月のダイヤ帯で遭遇した相手も【ドラゴンリンク】【芝刈り烙印シャドール】【芝刈り魔救】などのタワーデッキや【竜星相剣天威】【インフェルニティ】を始めとした展開特化構築、環境トップメタである【永続罠型神碑】を除けばおおよそ《拮抗勝負》を採用していました。
環境で採用が増えているならある程度《拮抗勝負》を使われる前提の上で動くことになります。そこで浮上するのが「バロネスで《拮抗勝負》を止めるべきか否か」という疑問です。
結論からいえば後攻バトルフェイズでの《拮抗勝負》は手札イグナイトが0枚なら必ず無効を切り2枚以上イグナイトがあれば無視すべきです。
なぜならバロネスでの《拮抗勝負》の無効には《禁じられた一滴》という最悪の裏目があるからです。
《禁じられた一滴》はコストに用いたカードと同種のカードのチェーンを封じます。《拮抗勝負》をコストにされてしまえば罠カードである《一撃離脱》は発動できません。更地の状態でターンを飛ばすか、リソースを残してメイン2を許すかの二者択一を強要されてしまいます。
ならば《拮抗勝負》に《一撃離脱》をチェーンした場合はどうでしょう。現環境で採用されうる手札発動可能なカウンター罠は《レッド・リブート》くらいなので、《一撃離脱》の直接阻止以外に裏目はなくなります。
そこで仮に《拮抗勝負》に重ねた《一撃離脱》を《レッド・リブート》で阻止されメイン2を許したとします。その場合、まだバロネスの万能無効を切っていないのでバロネスを残せば無効破壊1回と返しでの破壊1回が担保されます。もし相手が無効札を握っていても相手ターンで吐き出させることができるので最低限の仕事はしてくれるはずです。
さらにメイン2で万能無効に対し《禁じられた一滴》が使われたとしても《拮抗勝負》《レッド・リブート》をコストに使えなかった相手プレイヤーは展開を通すために更に一枚のカードを費やすことになり、《拮抗勝負》に無効を切ったとき以上にアドバンテージを奪うことができます。
逆に《拮抗勝負》に無効を切って《一撃離脱》を阻止された場合は無妨害でメイン2を与えることになりますし《禁じられた一滴》の裏目が当たれば大出血を免れません。
このようにターンスキップの成否を確認してから同一チェーン上で《拮抗勝負》の処理を行えば盤面を崩されても有利に立ち回りやすいため基本的に《拮抗勝負》を無視するほうがアドバンテージを得やすいというわけです。
ただしこれは盤面だけを見た場合です。手札状況を見てみましょう。
メイン2を許す裏目が出てバロネスを残したとします。当然ながら相手方も大なり小なり展開するわけです。バロネスの3000打点と破壊1回があればもう1ターンくらいは持ち堪えるかもしれませんが、それだけでは勝てないので追加の展開は必須でしょう。
そして再展開にはイグナイト2枚を揃えなければいけません。手札に1枚イグナイトが残っていれば2回のドローで1枚引けばよいので、まだ勝機は残されています。誘発や無効札を引いた場合も延命手段として有効に使えるでしょう。しかし、2回が2回ともイグナイトというのは難しい注文です。誘発も無効もその場凌ぎにもならないのが明白ですし、絶対に1ターンでは再展開できないのでバロネスを落とされるだけで厳しい展開に陥ります。
次は、裏目が存在しなかった場合を考えてみます。裏目がないということはそのぶん捲り札展開札を抱えているということです。となれば次の自分のターンで殺しきれなければ捲られて負ける公算が大きくなります。ところが《拮抗勝負》をタダで通したので盤面1枚と使い残した手札リソースだけでワンキル打点を捻出するハメに陥っています。勿論ターンは返せませんから勝利条件は次のドローでイグナイト2枚を揃えられる手札を作ることです。1ドローでこの条件を満たそうとするのは高望みというもので、負ける博打になるのがほとんどでしょう。
つまり、手札にイグナイトが1枚もなければ《拮抗勝負》を通したせいで負けてしまう確率が非常に高く、裏目以上のリスクを負うため、バロネスの無効を切る必要があるわけです。
従って、始動確率が低いイグナイト0枚では無効を切り、100%始動可能なイグナイト2枚では無視するのが最適解となります。
ただ、イグナイト1枚の場合は微妙なところです。
盤面1枚とイグナイト1枚からワンキルするルートはありますが誘発受けは悪いですし、ゴッフェニバロネスが止めていた誘発が二枚三枚と飛んでくる恐れもあります。
一滴があったら運が悪かったと割り切るプレイングも悪くはないかと。
《拮抗勝負》直撃時のワンキル展開例
パターン1⃣ 始動:イゾルデ+イグナイト1枚+デッキ内装備魔法1枚以上
バロネスを出す三枚初動はデッキに装備魔法が残りやすく、イゾルデからカゲンをリクルートすることで《軌跡の魔術師》に繋げられます。
パターン2⃣ 始動:エレクトラム+イグナイト1枚+ns可能なモンスター
二枚初動を想定したルートです。エルフの素材になったイゾルデが墓地に落ちているはずなので、サベージから3800打点を追加できます。
軌跡Lsefアリアドネサーチの問題点
まずは明らかな欠陥を見ていきます。
以下は竜剣士登場以前の《軌跡の魔術師》を用いた展開例です。
ルート内の問題は太字でマークされています。
この二枚初動の主要な問題点は2つ。
1⃣ 最終盤面:剛炎の戦士[ATK1800] リナルド[ATK1000]
率直にいえば盤面が弱いです。
盤面に剛炎が出るのはアリアドネがスケールを埋めてしまっているせいでリナルドをサーチできず先にエレクトラムを作っているからです。
しかしリナルドで妖刀を回収できるのは、炎・戦士が盤上にいる場合のみですからリンク値を2捨てて剛炎を出す羽目になりました。
次ターン時リナルド+剛炎素材イゾルデLsefから軌跡経由で二枚のイグナイトを集めることはできるのですが、イゾルデ・軌跡・カゲンをさらにもう1枚ずつ採用する必要が生じます。ギミックとしてはやや太り気味ですし、素引き最弱のカゲン自体複数採用したいものでないのも微妙です。
問題2⃣ イグナイトAB素材エレクトラムLsefアストログラフをEX送り→エレクトラムefアリアドネを破壊,EXイグナイトAを回収
最大の問題がこの部分。エレクトラムでアリアドネを破壊すること。
P後二ビルどころか泡かヴェーラーを貰えばその時点で展開が止まってしまうウィークポイントです。破壊できなければターンスキップはおろかイグナイトでの後続サーチや貫通すら機能停止するため、アポロウーサでお茶を濁すムーブすら自殺行為に近いものと化します。
軌跡でP後にアリアドネを破壊できることもありますが100%初手運依存でリンク値も消し飛びます。
これにレベル3を初手に引けない制限までかかるのでまるで安定しないというシンプル極まりない理由で竜剣士以前には軌跡経由のアリアドネサーチはあまり好んで使われませんでした。
が、実は軌跡のアリアドネサーチはレベル縛りだけが難点ではありません。レベル縛りの影に隠れてもっと重篤な欠点があったりもします。
それを見てとりやすいのが三枚初動です。
三枚初動
三枚初動の場合はレベル3のイグナイトも使用できるのに加え、二ビルが落ちた際にサベージで1妨害を作るくらいのことはできます。しかしイグナイトのサーチ先が手順を前後しにくいリナルドに限定されるのは同じなので誘発への対応能力・貫通能力はやはり低めです。
以下の展開例はギリギリまでリナルドサーチを延ばし対応の機会を広げてみた場合のルートです。
見ての通りP召喚後はウィークポイントしかありません。
本記事で紹介した三枚初動ではゴッフェニが間に合えば誘発を弾けましたし、バロネスを出すこともできましたが、このルートではバロネスのバの字すら出てきません。
それがなぜかといえば、リナルドというモンスターがイグナイト2枚分の価値をもつカードだからです。リナルド+ゴッフェニでバロネスを作る展開ではイゾルデの②からデュランダル経由でリナルドをサーチすることによりイグナイト一枚分の利得になります。
軌跡経由でアリアドネをサーチすると本来イグナイト2枚分になる効果②が1枚分に変わるため三枚初動でも必ずイグナイトが1枚不足するのです。
そしてこれを強引な方法で解決した立役者が《竜剣士イグニスP》です。
イグニスPは単体ではイグナイト1枚分の価値しかありませんが、破壊時にP効果モンスターをリクルートする効果を持っています。このリクルート能力でイグナイト2枚を1枚に目減りさせるカゲンサーチを代替できるので本体1枚分+カゲン代替1枚分で綺麗に2枚分のイグナイトになります。
竜剣士登場後に軌跡経由でのサーチが復権したのはイグニスPの存在あってのものに他なりません。
話は逸れましたが、そんなわけでイグナイトにおいては竜剣士ギミックを使用しない軌跡経由アリアサーチはアドバンテージ損というわけです。
展開中に二種類のPモンスターをサーチする必要があるソリティアデッキでもなければ避けるのが賢明だと思います。
おまけ
ランクマで見かけたあのデッキ
記事の内容とは一切無関係ですが今月のダイヤ4だったかで遭遇した閃刀採用型の【竜星天威相剣】が面白かったので、もののついでに紹介します。
残念ながらスクショを撮り忘れたので正確なレシピは用意できませんでした。以下のレシピは朧気な記憶から再現したものです。そのせいで、細部がかなり適当になってます。予めご了承下さい。
普通に相剣で戦いつつも、あわよくばバリラドンを狙いに行くコンセプトなのでしょうか。
速攻魔法であるホーネットビットは《流離いのグリフォンライダー》のように天威モンスターの自己ss効果にチェーンして発動できるので、これを利用して召喚権を使用せずに《幻獣機アウローラドン》の着地まで行けます。
だからなのか、ギャラクシートマホークを用いる7軸系天威勇者とは違い莫邪・顕現の採用数は据え置きなのがユニークで面白いポイントです。
《アークネメシス・プロートス》が不採用だったのは【神碑】への通りが悪いからだろうとレシピを見たときは思っていましたが、改めて考えると、相剣の強みを活かそうとした末の結論だったのかもしれません。
というのは展開に一つ不自然な部分があったからです。
類似デッキである天威勇者の展開ではガイザーをバロネスで破壊した後、ガイザーの効果で泰阿をリクルートします。(幻竜族以外を多数組み込んだ天威勇者ではそのほうが効率的ですし確実です)
ところが筆者が遭遇した対戦相手は莫邪をリクルートしていました。そして莫邪の効果で見せた手札も同じく莫邪。つまりこのリクルートの焦点とは後続を確保した上での《天威の龍鬼神》召喚に置かれています。おそらくはバリラドンからの一連の動きもリソースを温存しながら展開を進める狙いで組み込まれたものではないでしょうか。(超ド級先行制圧デッキ天威勇者と真逆の構築理念だけに対戦時は莫邪リクルートの意味がわからず面食らってしまいました)
最終盤面はバロネス+赤霄+龍鬼神+リフン+九支。
手札に泰阿かエクレシアがある、または、リクルートを泰阿にしていればリフンがチョウホウに変わっていたと思います。《冥王結界波》を二枚引くラッキーがあったのでアーゼウスで盤面を崩すことができましたが、相手のターンではキープしていたらしいエクレシアのssから泰阿リクルート、効果発動後アーゼウスに流されたら本命の莫邪が着地、という試合運びになり、リソースを擲ち展開する天威勇者とはまるで違う粘り強さと継戦能力を見せつけてくれました。
相剣特有の初動の安定感はもちろん、アウローラドンギミックの上振れが通ればns残しによる貫通力や爆発力まで上乗せ。その爽快感たるやハマれば病みつきになるんじゃないでしょうか。
飽きが来にくい楽しいデッキだと思いますのでぜひ組んでみてください。
そして私に正確なレシピを教えてください。
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