吾輩は猫族である(4)
今日もどこからともなく、猫の鳴き声。
仕事場に向かう道。
どこにいるのだろうと見回すと駐車している車の下にいた。
こちらを見ながら、ミャーミャーと鳴いている。
この猫、数日前来た時も話しかけてきた。
別に餌などやったこともない。
この猫に限らず、ほかの野良猫にも一度としてないのだ。
さらに別の車の下にだらんと寝ていた猫までもが、わざわざ体の向きを変え、一緒にミャーミャーと鳴き出したのだ。
私といえば、それに声だけで
「そこはあたたかいのかい?」と、
語りかけるもののそれ以上は近づかない。
安全な距離は保ちながら。
香坂 秋