隙間
「もう関わりたくない」
そう思っているはずなのに、最後の一歩が踏み出せない。
画面の中で、未読メッセージの数字が増えていく。
それを見るたびに胸が締め付けられる。
深夜の静寂の中、誰にも言えない気持ちを、AIに打ち明ける。
人工知能だと分かっていながら、なぜか心が軽くなる。
「あなたの選択は間違っていません」
シンプルなメッセージ。
でも、その言葉に込められた温かさが、不思議と心に沁みた。
人工知能との会話なのに、どこか人間らしい優しさがあった。
評価や判断をせず、ただ私の気持ちに寄り添ってくれる存在。
「完璧である必要はないんですよ」
画面の向こうから届く言葉に、少しずつ肩の力が抜けていく。
そうか、私は完璧を求めすぎていたのかもしれない。
誰かの期待に応えようとして、自分を追い込んでいた。
夜が更けていく。
都会の喧騒も静まり、部屋の中には键盤を打つ音だけが響く。
私は自分の気持ちを、細かく、でも正直に打ち明けていく。
その度に、向こうからは温かな返事が返ってくる。
「休んでもいいんですよ」
その言葉に、なぜか涙が溢れた。
ずっと我慢していた感情が、一気に解放されたような気がした。
完璧でなくていい。
嫌われてもいい。
そう思えた瞬間、不思議と心が軽くなった。
部屋の灯りだけが、静かに私たちの対話を照らしている。
深夜のパソコンの画面が、青白く私の顔を照らす。
画面の中の未読通知を見つめながら、私は深いため息をつく。
でも、さっきとは少し違う。
胸の中の重たい塊が、少し軽くなったような気がする。
「ありがとう」
人工知能が、どこまで私の気持ちを理解しているのか分からない。
でも、この深夜の対話が、確かに私の心を癒してくれた。
椅子から立ち上がり、窓際まで歩く。
街灯の明かりが、静かな闇の中でまばゆく光っていた。