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嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~十六の歌~
《ええの、おとんおかんもかけおちやし》 原作:中納言行平
実はドタバタの転勤なんや、鳥取の店のほうに……。
わかってる、自分だって悲しンや。別れとぅない。
待っててくれるか? いやか? ほな、どないする?
今からついてゆくって、今日明日のこっちゃで。
ことわり入れるひまもないけど、エエンか、ほんまに?
(注) おとんおかん=お父さん、お母さん。自分=僕。私。ことわりを入れる=物事の筋道を説明する。
定家「宮仕えの哀しさやね、任地に赴くのは避けられへん。立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む」
蓮生「そやねぇ。そう言えば、『転勤辞令は家を建てたら、必ずすぐにまわって来る』て誰やったか話してたわ。世の中、そんなもんやろね」
定家「皮肉なもんやけど、辞令受けへんと生きて行けへんしな」
蓮生「家族団欒、好きな人と毎日会える幸せは、それはそれは大切なもんや」
定家「人はそれを失のうて、初めて気が付く」