嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~二十四の歌~
《阪神百貨店》 原作:菅家
「こんなにぎょうさん着るもん買うてくれて、急にどないしたん?」
「実は頼みがあるンや。拝み倒したい事なんや。」
「なにやろ?」
「けっこんして。」
「ヘッ? なんて? けっこん!」
「あかんか? わてのかみさんになってもらわれへんか?」
「……わからへん。それより奈良の紅葉、きれいやろな、今度一緒に行こ か?」
「それが返事か?」
「そうや、このお洋服着て行くさかい。エエやろ⁈」
定家「出たぁ! 菅原道真さんの歌やで」
蓮生「ええなあ。このたびは ぬさもとりあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに。まことにきれいや」
定家「神様との恋物語か。恋する男にとって女はんは女神やさかいな」
蓮生「ほんまに! ハハハ」