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嵯峨野小倉山荘色紙和歌~十一の歌~
《たすけたれや!》 原作:参議 篁
和歌山の住金裏がええんや。鱸(スズキ)のええのんがあがる。
そいでな、この前そこで釣りよったら可愛い娘がボートに乗っててな、
ワシに手を振るンよ。嬉しゅうてこっちも手を振ったったら
「タスケテェ!ッて」叫ぶやないか。
<それで、どないしたん?>
「心配あらへん!そっち行くとハワイや、だんない!」て言い返したった。
(注) 住金裏=住友金属の工場の裏手。だんない=大したことはない。支障ない。かまわない。
定家 「 篁はん、おかしいんとちゃう? タスケテ言ってる女の子にハワイやて。どこまで行け、言うとんや。即、助けたれや」
蓮生 「わたの原 八十島かけて こぎ出でぬと人には告げよ あまのつり舟。釣舟が流されたんかいな?」
定家 「いや、ちゃうと思う。釣舟に一緒に乗った男に言い寄られたと思う」
蓮生 「アホな、そんな事あるかい。いくらんぼでも、そんなんやったら、ハワイまで行け、とは言わんやろ」
定家 「そやな。ま、篁はんのこっちゃ、やいやい言うてもちゃんと助けたんとちゃうか」