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嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~三十八の歌~

《言の葉≫ 原作:右近
もう、サヨナラなんやろ。ええの、わかるから。 
好きな女(ひと)できたんなら、うちのことは忘れて。
でも、今度こそしんそこ好きになってあげてな。
命懸けて好きと誓った女(ひと)やったらもう捨てんといて。

定家「寂しいな、そして、哀しいな、この女心は……」
蓮生「せやな。けど、それに負けてない。芯の通った悲嘆やね」
定家「忘らるる 身をば思はず ちかひてし 人の命の 惜しくもあるかな」
蓮生「あんたにふられた身の不幸せなんて、うちにとってはなんでもあらへん。ただ、いつまでもうちを愛してくれると、神様に誓ったあんたが、その誓いを破ったために神様からの罰を受けて、死んでしまうんやないかと……それが怖いだけ。
※人の命・・・恋の相手の命をあらわす。

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