《愛と情やで!≫ 嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~四十五の歌~
《愛と情やで!≫ 原作:謙徳公
姫はもうあいつに「会われへん」から「哀れ」なんやろ?
せやさかい今は「哀れな身の上」やし「憐れみ」が要るな。
<アホ! しゃれとちゃうで……。ほんまにうち、もうあかんねん>
わかってる、わかってる。このなぞなぞ解けたら、俺が嘆きの姫にあげたいもん分かるわ。ええか、ほんならゆくで。憐れみの前と後ろにあるものな~んだ?
定家「あはれともいふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきか な。身のいたづらに……、むなしく死んでしまうにちがいない、とは哀れな」
蓮生「男に見すてられた女を、『あぁ、かわいそうに』と憐れんでくれる人もいない。このまま、貴方に恋こがれながら、むなしく消えて死んでいく日を待つだけ……か」
定家「思いつめるとこうなる。けど、捨てる神あれば、拾う神ありや。身の回りをよ~く見渡したら、拾う神が居てるのに気づく」
蓮生「せやな。心を込めて、静かに姫君を護ってる誰かがきっと居てる」