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ゴミのポイ捨て妄想記 #5 ~お酒で流す青春~

23歳男2人。新卒社会人。

5年間いた大学を卒業し、4月から社会人として働くことになる。

約1年半前にITの中小企業から内定が出ていたが、単位が足らず留年。会社のお情けで1年待ってもらった。

僕の1個下の後輩はある程度優秀で、GPA3.5で大手総合商社に内定が出ている。

3月に卒業が決まって2人とも「社会人のなんて余裕だよ」と思っていた。

卒業式が終わり、いよいよという3月31日夜。

15年以上続けた「学生」という身分は想像以上に自分を守ってくれていたことに気付き、急に怖くなった。

18時。

「ちょっと飲みに行かん?」後輩にLINEすると

「行きましょう。いつもの鳥貴族でいいですね」

秒で返信が来た。

2人とも、ほとんど何も喋らずたくさん呑んで、たくさん食った。不安を消し去るように。

ラストオーダーのタイミングで店を出た。しかし、まだ怖い感情は残っていた。

「河川敷で飲み直す?」

「コンビニ行きましょう」

今まではビールやらほろ酔いしか買って来なかったが、少し強い酒が必要だと思い、僕はチャミスル、後輩はスミノフを買った。

(スミノフ…?)

お金があまりないもんで瓶だけを持ち、僕の家の前の河川敷でお酒を飲み始めた。

毎日ちゃんと仕事がのだろうか。上司は怖くないのか。そもそも社会人ってなんだ?

そんな、社会人なら誰でも思いつくような悩みを2時間話した。

ちょっと会話が泊まった時、少し気が楽になったような気がした。あと、6時間位で入社式の時間だ。もう寝たい。

だが後輩は不安そうだ。

「まぁ、なんとかなるって」

「悩んでもしょうがないですよね」

目を擦りながらそれぞれの帰路に着いた。

ゴミを片付けなきゃという倫理観を瓶と共に置いて。

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