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#7. 僕を試合に出してください

研修医や若手医師向けの内容になります。

タイトルにしたのは、僕が小学生の頃からバスケをやっていたので、それに絡めた内容になります。

余談ですが、Akatsuki Japanは男女とも残念でしたね。
でも夢を見させてくれる素晴らしい内容でした。

例えばですが一般的な高校バスケの場合、県大会の上位にも行けないような弱小校でも、だいたい部員が学年10人弱くらい、合計20-30人くらいいるのが普通かと思います。
僕もそんな高校でバスケをしていました。

でも、そのうちコートに立てるのはチームあたり5人だけ。交代を考えても試合に出られるのはせいぜい10人前後でしょう。

つまり、毎日全員で練習を頑張っていても、半分以上のプレイヤーは試合に出られないことになります。

同じことは、最近盛り上がっているBリーグ(国内男子バスケのプロリーグ)にも同様のことが言えます。

試合に出たくてチームに所属していても、それが叶わない人が多く存在します。

では、そんな人たちは、監督に直接、「僕を試合に出してください」と言うでしょうか。

答えは、多くの場合、Noです。
Yesだとすればそれはドラマの中でしょうか(笑)

なせなら、練習のなかで自分の実力を示して、限られたチャンスで結果を出さなければ、その資格がないことを皆知っているからです。

僕は、医師における内視鏡やその他の手技に関しても、同じことが言えると思っています。

ですので、僕には研修医の頃から一貫したポリシーがあり、それは

やらせてください、とは絶対に言わないこと」です。

その代わり、めちゃくちゃアピールします(笑)

例えば、
・必ず上級医よりも早く準備する
・事前に予習しておいてそれを上級医にチラ見せする
・お願いされたことは何でもやり、他の処置等で確実に結果を出す
・やらせてもらえなくても最初から最後まで処置に参加して、何でも手伝う
・処置が終わったら疑問点など、自分がやるときに何を気を付けたらいいか聞きに行く。

まあ、後半の方は研修医の頃はやってなかったかもですが(笑)

でも、だいたい上記のことをいくつかやっていたりすると、上級医の先生も
「こいつめちゃくちゃやりたいやん・・・。」

と気づいてくれます。

それと同時に、こんなに頑張ってるならやらせてあげたいなあ。
と思ってくれますよね。

僕も、教わる立場だけでなく研修医や専攻医に教える機会もありますので、最初から最後まで積極的に参加してくれる後輩にはどんどんやらせたくなります。

そう、お願いするのではなく、相手に「やらせてあげたい」と思わせることが重要だと思うのです。これはバスケなどのスポーツと全く同じです。

でも、あくまで僕の価値観ですが、そうではない研修医や専攻医の先生が多くいるのも悲しい事実です。

研修医室で、「あの科はなんでもやらせてくれるよ」「あの先生は全然手技させてくれないからハズレだよ」みたいな会話を聞いて、悲しい気持ちになったことを覚えています。

自分の態度やモチベーションに問題はないのか、といった視点で考えることや、
無条件に一律に経験が得られるものではなく、経験は自分の努力で勝ち取るものだと知ることが、個人的には大事だと思うのですが。

一度、後輩に「僕がやりたいんで先生はできれば少し控えてください」と直接相談されたこともあります。

処置の準備も僕がしていて、途中から入ってくるような後輩だったので頭に血がのぼりましたが、できるだけ優しく、上記のような態度で臨むことがまずは大切だと伝えました。

でも、世の中には優しい上級医が多いですので、実際には「やらせてください」と言ったらやらせてもらえることも多いと思います。

でも、それでやらせてもらえて、嬉しいですか?
自分のためになりますか?

僕は、間違った自己評価をしてしまう原因になるのではないかと思います。

自らお願いして、まだそのレベルに到達していないのに手技を経験したところで、
そこに至るまでの基本などが身についていないにも関わらず、「ここまでやらせてもらえた」という謎の自信や、体験できたという満足感で満たされてしまうので、その人はその後、自分に足りない基礎を身につける努力をするでしょうか。

取っ掛かりとして、自分でやるとこんなに難しいのかと知り、自分に足りない技術を客観的に知ることや、処置を完遂したいというモチベーションの向上につながるかもしれません。

でも、なんとなくですが、自分から懇願してしまう人は、そういった処置後の努力をしない傾向があるようにも思います。

そういった「勘違い」をしないためにも、僕は絶対に自分の口からはやりたいだなんて言いません。ひたすら態度でアピールします。

僕にもまだまだ、できない手技がいっぱいあります。
一番やりたいもので言ったら、EUSインターベンションでしょうか。

それも、これまでやらせてもらえる状況になかったため、
とにかく事前準備を術者よりも念入りに行い、処置前に自分から術者と打ち合わせを申し出て、ちゃんと意思共有した上で、阿吽の呼吸で介助につくようにしています。

そういった地味な努力をしていると、やらないより安全でスムーズな処置ができるようにもなります。

これは、スポーツで言えば、試合に出られない人が、それに腐らずに、掃除を頑張ったり、練習中に声を出したり、レギュラーのサポートをしたり、そういった陰の努力をするのと同様ではないでしょうか。

今回も暑苦しい内容ですが、内視鏡をやる上で、自分がスポーツを頑張っていてよかったと思えた部分であり、思ったようにいかなくてもモチベーションを見失わずにやれているコアの部分かなと思っています。

今回も読んでいただきありがとうございます。
また次回の投稿もお楽しみに!

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