30年の想いを乗せた愛車との別れーー好きに生きると決めたから
愛車を手放した。
1994年に発売された「セリカGT-FOUR」というクルマだ。
自分のはさらに限定車で日本では2100台しか製造されなかったらしい。
人生で初めて「かっこいい」と思ったクルマだ。
7年前、前職の自動車メーカーに入社したタイミングで手に入れた。
「独り身だし、今しかできん!」と思った。
松本で遠征からの木曽の社会人へ。
— もとあき (@motoaki_coach) October 12, 2024
ひんやり大人ドライブ pic.twitter.com/JhteVDFI8I
購入時にはすでに20年は経過していた。だから故障も多い。
壊れては直し、また壊れては直しながら、7万キロを共に走った。
足回り、エンジン、ブッシュ類、冷却系、駆動系…
トラブルが起きるたびに同僚と「またかよー笑」とか言いながら、知識と手を借りて貴重な休みに朝から整備した。
仕事が辛いときもあったけど、そのクルマのことを考えていれば何とか頑張れたし、乗ればリフレッシュすることができた。
だけど最近、そのクルマに乗ってもワクワクしなくなってきた。
「あれ?セリカに乗っても気持ちが高ぶらない…?」
その違和感を無視できなくなっていた。
「愛車」にこだわってきた自分
先ほどから出ているように前職は自動車メーカーだった。
「誰かにとっての愛車を設計しよう」
「愛車を持つってどういうことだろう?」
そんなことを真剣に考える仕事だった。
だからこそ、幼少期から憧れていたクルマに乗りたかった。
「苦労してでも愛車を走らせる喜び」を味わいたかった。
そうして乗り続けてきたセリカ。
でも、いつの間にか自分の価値観は変わっていた。
「好き」のベクトルが変わってきた
昨年から、友人と雪山やキャンプに行ったり、ジムで体を鍛えたり、スポーツ指導をしたりする時間が増えた。
一人で走るより、人と楽しむことが増えていた。
すると、セリカの不便な部分が気になりはじめた。
「この道、大丈夫かな…?」
「ちゃんと目的地に着けるだろうか…?」
昔なら気にしなかった、いやむしろ「整備する喜び」があったのだ。
それが不安と負担になっていた。
「もっと安心して移動したい」
「もっと板とか人を載せたいなぁ」
「目的地に着くまでに体力を残しておきたいな」
そんな考えが浮かんだとき、胸の奥がザワついた。
今までの「好き」を否定してしまうような気がしたからだ。
セリカが象徴していたもの
思い返せば、このクルマにはいろんな想いを乗せてきた。
幼少期、怖かった父と唯一楽しめたクルマの話。
青春時代、手に入れたくても手に入らなかった憧れ。
社会人になり、「苦労して乗る愛車」にこだわり続けた自分。
思い出だけじゃない。
セリカは、世間体や競争の中で生きてきた自分の小さな「反抗」でもあった。
「期待に応えてきたけど、本当は好きなように生きたいんだ!」という、密かなメッセージだったのかもしれない。
そんなクルマに対して、もう以前のような熱量がない。
なぜだろう?
寂しさと共に考えていた。
「僕はもうセリカが無くても大丈夫だ」
僕は退職を皮切りにたくさんのことに挑戦してきた。
スキーに挑戦し、結果として辞めたけれど、バレー指導では成果を出せた。
運動・睡眠・食事に気を配り、体も変わった。
在職時はアル中のような時期もあったが立ち直って、今は笑っている。
セリカはかつて「好きなことに生きる」象徴だった。
でも今は、セリカよりも好きなことがある。
そして素直にエネルギーを注ぎたいことがある。
だったら、僕はセリカを降りるべきだ。
だって、好きなことに生きると決めたんだから。
セリカ自身も、もっと大事にしてくれる人のもとへ行くほうがいい。
そう思えたとき、ようやく気持ちが決まった。
そんな矢先の、もう一つの出会い
「もとあき、クルマどう?」
そんなタイミングで、もう一つ思い入れのあるクルマと再会した。
今の僕の「好きなこと」にぴったりのクルマだった。
「手放そう」
「そして、今の僕の好きなことに生きよう」
こうして、30年の想いを乗せた愛車との別れを決めた。
そして、新しい「好き」に向かって走り出すことにしたのだった。
転身に伴いセリカst205WRCを手放すことに決めました。
— もとあき (@motoaki_coach) February 16, 2025
まずはお世話になってる整備場に手放すにあたって整備すべき部分を聞きつつ、準備を進めます。
相互フォロワーさん、並びに交友関係ある方、興味あればご連絡ください。
旧車を手放す、というと皆
— もとあき (@motoaki_coach) February 17, 2025
「仕方ない事情で辛い決断」
と思うみたいなんやけど、違うのだ!
セリカは十分遊びきった!
僕がセリカにしてやれることはない。
ライフスタイルが変わるとやりたいことも変わる。
かと言ってセリカを足枷と感じたくない。
だからもっと大事にしてくれそうな人に譲るの。
あとがき:好きに生きるということ
昔の僕にとって、セリカは「好きなことに生きる」象徴だった。
でも、好きなことは変わる。
価値観も、求めるものも、人生のフェーズとともに変化する。
「昔の好き」を手放すのは、少し怖い。
でもそれは過去の自分への否定じゃない。
過去は役割を終えたのだ。
だから僕は決めた。