銀行も没落するリスクがあるよという怖い話
銀行って安定してるよね。よし、大手銀行株を買っておけば一生安泰だ!という方も多いのではないだろうか。あおぞら銀行の決算大失敗の話から分かるように、母体の小さな銀行は、現在非常に苦境に立たされているといっても過言ではないと思っている。
今日は、そんな銀行も没落するリスクについて未来を考えてみたい。
※あおぞら銀行の赤字自体は、米国不動産リスクの影響が大きく本noteの主題とは殆ど関係ありません。
企業ポイントの価値とは?
まず、いきなり話が飛ぶが企業における貨幣経済への影響力について、ポイント制度について整理してみる。
かつてはポイントカードを作って、次も来店してください!といったような使い方から始まった営利企業によるポイント制度。インターネットを介したネットワークの広がりが加速度を増し、約20年強という短い期間に、”ポイント”は貨幣と同等と言えるまでその価値は向上した。
今では、企業ポイントを目にしない日はないのでは?と思うくらいに浸透している。Amazonポイント、楽天ポイント、ANA/JALマイル、PayPay、GooglePay、楽天Payなどに代表される企業主導のPay(Payは厳密には現在法定通貨と連動することで価値を担保している)など、数え上げるときりがないし、法定貨幣との境界線が薄くなってきている。
価値と安定性について
企業ポイントが貨幣に似た価値を持ち始めるにはいくつかの要因が考えられる。
1.価値の安定性と予測可能性:消費者がポイントの価値が一定であると感じる程、これを貯め使用する傾向に傾く。これはポイントを実質的な価値保存手段として判断するため。
2.受け入れ体制が広範にわたること:多くの企業の関連する経済圏で使用が可能である事、これが拡大する事が価値の安定に貢献する。
3.流通性と交換可能性:あるポイントが他のサービスや商品、または他のポイントシステムと交換可能である、それが容易である程流通性は大幅に向上する。自社サービス規模が小さい場合、大きなシステムと合流すればいい。例えば、Amazonポイントや楽天ポイントと交換可ですとするだけで、その価値は格段に向上する。
4.ネットワーク効果:その価値は、利用可能なサービスや商品の範囲が広がるほど増大する。またユーザーが増える程、さらに多くのユーザーがそのシステムの利用価値を見出すように働く。すなわち、これは事実上の「通貨」としての地位を強化する。
5.企業ポイントの限界:現時点で、法定通貨と決定的に異なる事は、特定の法域で法的支払手段として認められないという点。また、その企業の経済状況やポリシーに依存する点がこれらの価値リスクとして存在する。
つまり、企業はインターネットを介して、貨幣経済に影響力が強まったと見ることができる。今や、一つの国家予算よりも大きな規模の企業が増えている現在において、小さな国の通貨よりも世界的企業のポイントの方が余程安定した価値があるのは、誰しもが納得するのではないか。
銀行という業と昨今のTec企業
さて、前置きが長くなったが銀行が没落するリスクについて考える。
銀行とは、法定通貨を預け入れ運用するというのが根本的な仕組みである、
預けるのも法定通貨、借りるのも法定通貨。運用商品には多くの種類の資産があるが根本的には通貨を扱うことを業としている。
さて、ここ20年の中でここまで加速度を増して強くなった企業ポイントやPayがこれからさらに、拡大するとどうなるか?既に、世界的インフレから貨幣が株式やその他資産への流入が進んで久しいが、世界共通の企業ポイントの方が法定通貨より安定度が高いという世界がくる可能性もあるかもしれない。(今は、日本なら1ポイント=1円などが多いが、ここに為替が生じてくるという可能性)
これがどう銀行と話がリンクしてくるか?というと、今やBigTec企業は多くのデータとインフラを兼ね備えた企業であり、これらの法定通貨と異なる価値通貨の流通を通じて、経済を回すことが可能な段階にきているし、これらの流れはまだまだ進むと考えられる。
そうすると、法定通貨で所有する率よりも株式や企業ポイントでの保有する方が当たり前!と世の中の常識が塗り替えられる可能性がある。そうすると、銀行はTec企業との提携をしない限りそれらの経済圏への参入はできず、指をくわえるしかないという事になる。
いま、銀行業はネット銀行、Fintec、ネット証券と手を広げるのに躍起になっていると思うが、上記のリスクに対してのヘッジは殆ど無いといっていいと思う。勿論、多くの資産を株式で保有しているので簡単に潰れることはないだろうが、徐々に隅っこに押しやられるリスクはあると考えている。一つだけ光明があるとすれば、Bitcoinなどの暗号資産が台頭することで企業間の共通通貨が暗号資産になる未来だけだ。
大型Tec企業の金融への参入可能性について
実は既に、古典的な銀行以外で、金融への参入を表明しているTec企業がある。我らがイーロン・マスク率いる𝕏である。
イーロン・マスク「2024年末までに、Xで金融機能を提供する」 | Business Insider Japan
・イーロンマスクは𝕏のプラットフォームが2024年末までに金融機能を展開する事を期待
・𝕏はアメリカ各州で銀行業務や送金サービスを提供するためのライセンスを取得しようとしている。
・マスク氏はXを中国のスーパーアプリ「WeChat」のような存在にしたいと考えている
・マスクは人々が銀行口座を必要としないように、金融活動のすべてをこのプラットフォーム上で実現したいと述べた。彼は「そこにお金が絡んでいるならば、お金でも証券でも何でも我々のプラットフォームに搭載することになる」と話している。
通常の銀行と、あらゆるコンテンツに手を伸ばせるTec企業のプラットフォーム。どちらが勝つだろうか。こればっかりは未来は分からないが、考えておく必要はあると思っている。
実のところ、これは序章に過ぎず、多くの企業が各々の経済圏から参入をしようと様子をうかがっているかもしれない。そして、資金の流入の割合はすなわち、それぞれの貨幣経済への影響力の力関係となる。
P.S.個人的には、Amazonヘビーユーザーの為、Amazon Financialがあればすぐに口座開設してしまいそう。
さいごに
本noteでは、銀行業と貨幣、世界経済への企業の台頭などについて考察してみました。あくまで個人の考えと妄想の域を超えるわけではありませんし、アナリストでもないただのビジネスマンのつぶやきに過ぎません。
また、当然人間は信じるものに対してバイアスが働きますのでその点も考慮ください。私はTec企業の躍進を信じていますので、そちらに偏っているかもしれません。
賛同、批判、御意見、何でもなんなりとご連絡いただければ幸いです。
大切なのは、どのような可能性があってどのようなリスクマネジメントをしていく必要があるのか?リスクとベネフィットバランスを自身の中で考え理解し咀嚼していく事だと考えています。
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