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なぜ投資をしなければいけないのか?

突然ですが、皆さんは日本円以外の資産をどのくらい持っていますか?

2024年になり、既存の一般NISA・つみたてNISAから、新NISAへ一本化され、より投資が身近なモノになってきています。

NISA制度を活用して、投資をなんとなく始めた方もいれば、始めようと思っているけれどなかなか一歩踏み出せないという方もいるかと思います。

今回は新NISAの制度概要などではなく、そもそも
「なぜ投資をしなければいけないのか?」
について自分なりの解説をしていきたいと思います。

NISA制度は、投資から得た利益に対しての税金が非課税になる制度というだけで、やっていることは貯金ではなく、投資です。

「なぜ投資をしなければいけないのか?」
を言い換えるとするならば
「なぜ現金・預金(日本円)だけを持っているだけでは危険なのか?」
という意味でもあります。

これを読んで、投資を始めてみよう!という人が1人でも出てくると嬉しいです。


資産を日本円だけで持つことのリスク


大きく下記の2つの側面から、解説をしていきたいと思います。

【1】インフレによる円の目減りのリスク
【2】日本の財務状況のリスク


それぞれ、細かくみていきましょう。


【1】インフレによる円の目減りのリスク

1-1.インフレの歴史

そもそもインフレとは、どういう意味なのでしょうか?

インフレとはインフレーションの略で、物価が上がることを意味します。
普段買っている日用品やサービスの値段が上がることは、最近ニュースなどでよく耳にすることも増えたかと思います。

特に、ここ数年は
・新型コロナウイルスからの回復による需要の増加
・ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギーや穀物の価格高騰
・円安による輸入コストの増加

などの影響も重なり、急激な物価上昇をもたらしました。

変わり始めた物価と賃金:日本経済新聞より抜粋

ただ、物価上昇は今に始まったものでもありません。20〜30年前と比べてみるとわかりやすいです。

・ディズニーチケット
1990年:4,400円

2024年:7,900~10,900円(約1.79~2.47倍)

・マクドナルドのハンバーガー
2003年:80円

2024年:170円(約2.12倍)

・消費税
1989年:3%

1997年:5%

2014年:8%

2019年:10%

昔と比べても、物価が高くなっていることは明らかです。

ここで考えてみてほしいことは
あなたが今持っているお金(円)の価値は、数十年後も同じ価値なのか?
ということです。

30年前は、1万円を持っていればディズニーランドに2人で入ることができました。
最近では、同じ1万円を持っていても、1人入れるかもしくは日によっては1人で入ることもできません。

インフレ(物価の上昇)と相対的に、通貨の価値は下がっていってませんか?

ここまでの説明を聞くと、そもそもインフレしなければ通貨の価値も下がらないのでは・・・?と思う方もいるかもしれません。

そこに関しては、日本銀行(以下、日銀)は2013年1月に物価を安定的に2%上昇させるという目標を導入しています。

1-2.日銀が目指す物価上昇とは

日銀が目指す経済状態というのは、景気は順調で、企業の業績も給料もちゃんと上がる。モノもそこそこよく売れて、結果として物価も上昇する…というイメージを指します。

物価上昇の良いサイクル

インフレは、消費者からするとマイナスなことに感じるかもしれませんが、企業にとっては売上UPにつながります。

そして、そのおかげで賃金が上がったり、さらには雇用を生みます。そうなると消費者の購買意欲(消費意欲)が沸き、モノが売れる。

その結果、また物価が上昇していくようなサイクルを目標としているわけです。

さて、ここでクイズです。

あなたが手元に1,000万円を持っており、銀行に預けていたとします。

仮に、目標通り毎年2%の物価上昇をしていったとして、30年後の1,000万円の価値は、いくらになっているでしょうか?


答えは・・・


なんと552万円分の価値しかありません。

実質的には、現金のまま持っていたとしたら、半分程度の価値になってしまうということです。

つまり、最低でも日銀が目指す物価上昇2%に負けないように資産を増やしていかないと、実質資産は目減りしていってしまうということです。

これも、投資をするべき理由の1つといえるでしょう。

ここまではインフレによる円の目減りのリスクについて解説をしていきましたが、次にもう1つの理由である日本の財務状況をみていきます。

【2】日本の財務状況のリスク

現在の日本の財務状況を知る

ここでは、半年に1度財務省から公表されている「日本の財政関係資料(令和6年4月版)」から、いくつか抜粋してみていきます。
※この資料は誰でもネットから見れて、無料で資料を郵送してもらうことも可能です。

2-1.国の歳入と歳出

歳出(青)と歳入(赤)の内訳
歳出(青)と歳入(赤)の比較

歳入と歳出は、家計でいうところの収入と支出です。
日本の主な収入は税金です。しかし、支出が収入を上回る状況が続いており、その差の多くが借金(公債金)によって賄われています。

一般家計に例えるとわかりやすいです。

年収約771万円あるが、このうちの約270万円を借金の返済に充てなければなりません。実際に使えるお金は約501万円です。

ただし、この家では家計費として年間約855万円を必要とするので、不足分の約354万円を新たに借金することになります。

その結果、年々借金は増え続けていくことになり、下の図のように膨れ上がります。

2-2.借金の残高推移

国債残高の推移

図のように、借金はどんどん膨れあがってきています。

借金が膨らむことによる問題点は、複数挙げられます。

・国債や通貨への信用が失われるリスク(過度な円安や急激な物価上昇)
・将来(若者)世代への負担の先送り
・財政の余力がなくなり、災害時にすぐに対応できなくなってしまうおそれがあ


では日本はなぜこんなにも借金が増えてしまうのか?

それは、少子高齢化が影響をしています。

2-3.1990年との比較

1990年と2024年の歳入・歳出の比較

1990年と2024年を比較してみると、特に社会保障費が顕著に増えていることがわかります。社会保障費は一言でいうと、年金・医療・介護・子どもや子育て等のための支出です。

つまり、高齢化が進むことで、年金支出や医療費、介護費用などの社会保障費が増加していく。

これを税収だけでは賄えなくなってきており、借金に依存してしまっている、ということですね。

日本はこれからまだまだ少子高齢化が進んでいくと予測されています。(下記の図)

日本の人口推移と予測

社会保障制度の基本は保険料による支え合いですが、保険料のみでは負担が現役世代に集中しすぎてしまうため、公費を充てることとしています。

ただ実際には、税金では賄いきれず借金に頼っているため、今の子や孫の世代に負担を先送りしている状況となっています。

2-4.通貨信用度の推移

各国の格付け推移

最後に、通貨の格付け。
格付けとは、いわば通知表で、この通貨は投資しても安全なのか?という指標のようなものです。日本円の信用度は1990年代以降、右肩下がりです。

日本円だけ持っているということは、
「円だけに投資をしている」ことと同義
です。

それは、本当に「安全」と言えるのでしょうか?

【3】岸田首相の政策

【1】【2】と資産を円だけで持つことのリスクについて、メインにお伝えをしました。

ここからは更に、投資をすることのメリットにも注目していきたいと思います。

令和4年に、岸田首相が「資産所得倍増プラン」というものを打ち出したのを覚えていますでしょうか?

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/bunkakai/sisanshotoku_dai1/siryou3.pdf

その中には、このように記載されています。

3-1.国別の家計金融資産の推移

2000年から2021年までの資産推移

2000年から2021年にかけての家計金融資産の推移を見てみると
アメリカ:3.4倍
イギリス:2.3倍
日本:1.4倍

となっていることがわかります。

では次に、それぞれの国の家計金融資産の構成をみていきます。

3-2.国別の家計金融資産の構成比較

各国の構成比率をみてみると、日本だけ突出して現金の比率が多くアメリカは株式や投資信託、イギリスは年金の比率が多いことがわかるかと思います。

家計金融資産における「現金」の比率
アメリカ:12.8%
イギリス:27.2%
日本:54.9%
(日本は圧倒的に現金比率が多い・・・!)


要するに、アメリカは日本に比べ、資産における投資に対する比率が圧倒的に高い。

その結果、20年経つと3.4倍(アメリカ)と1.4倍(日本)の差を生むことになるわけです。

投資はリスクが大きい、危ない、怖いなどのイメージが先行してしまいなかなか一歩踏み出すのは大変かもしれませんが、正しい知識とルールさえ守ればそのリスクを極限まで減らすことができます。(そこはまた別の記事にしたいと思います。)

3-3.保険に対する割合が多い日本

また、注目すべきは「保険」に対する割合。日本は「現金」の次に「保険」に対する割合が多いという現状です。

家計金融資産における「保険」の比率
アメリカ:1.6%
イギリス:10.5%
日本:19.0%


自分も保険を実務で取り扱いしているのですが、NISA・iDeCoを活用していないのに、保険で毎月数万円貯蓄しているという人が多すぎます。

これははっきり言います。めちゃくちゃもったいないです。
決して保険が悪ということではなく、保険は万が一、何かがあったときの保障を確保するもので、それは保険でしかできないことです。

保障は保険、運用は証券(NISAやiDeCo)というように
目的に応じて使い分けることが重要です。

まとめ

2024年に入って、新NISAをなんとなく始めた人や始めようと多う人も増えてきたと思いますが、今回の「なぜ投資をしなければいけないのか」ということを正しく理解をして始めることが大事だと思います。

そして、投資をするにあたって国が全面的に優遇して勧めているNISA制度を活用しない手はありません。

この記事を見て、1人でも投資を始める人が増えれば幸いです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


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