隣の人

数年前に新幹線に乗ったときの出来事。

出張の移動で新幹線に乗った。私は通路側の席。隣には、すでに年配の女性が座っていた。もちろん知らない人。私も女性も途中まで寝てて、目的地まであと1時間というときに「ごめんなさい、前通りますね」と声をかけられ、目を覚ました。女性は、トイレから戻ってくると私に話しかけてきた。そこから、他愛もない世間話。女性がこれから孫の世話をしに行くということ。ご主人に先立たれて、趣味でフラダンス教室に行ってること。お子さんのこと。ご自身のこと。たくさん話してくれた。

女性「あなたはどこでおりるの?」
私「次の駅です。」
女性「何しに行くとこだったの?」
私「仕事の研修です。」
女性「あら、そうなの。頑張ってね。」
そう言ってお菓子をくれた。

実はこの時落ち込んでいた時期で、女性の何気ない言葉、そして見ず知らずの私に頑張ってとお菓子をくれたこと。どれだけ私の心に染みたことか。その場限りなのを女性も分かってか、初対面とは思えないほど話をしてくれた。もう会わない人だからこそ、話せることってあると思う。そして自分の周りのことを知らない人だからこそ、胸の内を言えたり。

もうこの出来事を彼女は忘れてるかもしれない。

連絡先を交換したわけじゃないし、もし街ですれ違っていたとしても顔も覚えていない。ただ、この出会い何年たっても覚えている。最近、何で覚えているか考えたら、彼女の生き様というか考え方というか、カッコいいなと心から思ったから。もう会うことはないけれど、どこかで元気に過ごされてること願ってます。そして、私も負けずに頑張ってますよと報告したい。

不思議なもので、新幹線に乗って毎回こんな出会いがあるわけじゃくて。

これからも、色々な出会いがあるはず。大切にしていきたい。

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