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ハイスピード人類滅亡バディ

世界は滅びない、滅ぶのは人間だけ

注意:この記事は、この世に存在する本のどれかの(甚大な)ネタバレと、虚偽の情報を含みます。怒らないでください。

ミステリじゃない、青春じゃない

まず、TとPの関係がいい。(ちなみに2人の本名は出てこない。どっちも瀟洒な渾名だ。)
転校してきたTを、Pが気まぐれに遊びに誘うと、そこで殺人事件が起こるのだ。
初めて見る死体に動揺するPを尻目に、淡々と事件現場を観察し、警察が来る前に犯人を当ててしまう聡明なT。
聞けば、Tは殺人事件を引き寄せてしまう体質だという。

こんな風に書くと、特殊設定のミステリっぽい冒頭だが、推理はしない。するけど、粛々と盛り上がりもなく行われる。

「自分みたいなやつといると、アンタもアンタの周りの人も死ぬかもよ」と釘を刺すTの苦言など、なんのその!
「T、最高じゃん!」とPは大興奮。
そこから2人の物語は始まるのだ。

重苦しい世界を、足取り軽やかに

行く先々で事件に巻き込まれ、人口がどんどん減っていく世の中をみずみずしく渡っていく様が良い。
「今が人生で一番の時代に違いない。だってこんなに楽しいこと、永遠に続く訳ないんだから」
Pは10代、20代、・・・と遂におばあちゃんになるまでそう考えて生きていく。
そして、人類を破滅に導いた2人組として機関に追われながら、逃げおおせたところで生涯を閉じるのだ。
「あー楽しかった!」って感じで。

私はこの、底抜けに明るくてどこかぶっ壊れてるPが好きだ。
彼女は「一緒にいると死ぬかもしれない(から、関わってくれるな)」と言うTに臆することなく近づくし、自分に対しても社会に対してもどこまでも無責任だ。
崩壊していく世界をとことん楽しんでいるPは、倫理観の欠片もない。
作中でそれを責められてもどこ吹く風。
なんならこちらを詰める奴らの方がおかしいのだ、という雰囲気さえ文面から感じられる。

『自分にもTみたいな存在がいればよかったのに』
この感想は、読後ネットで感想を読み漁っていた中で特に驚いたものだ。
Tは殺人事件を誘発する体質で、それを気にして周りと距離を取っている子。
強烈な違和感を持ったのは、普通ならPみたいな存在こそ側にいて欲しいんじゃない?と思ったから。
自分の致命的な欠点を面白がってくれて、肯定して一緒にいてくれる人なんて、誰でも欲しいんじゃない?
だから『Tこそ自分に必要』という感想にはビックリしたのだ。
(詳細は忘れてしまった…)

未来の自分宛ての読書メモ

読書メモって続かないよね。
読みながら書いたものって後から見ると暗号ばりに意味不明だし。
改まって読み返したりしないし。
だから考えたんだ。
タイトルを記録しないで、しかも本文を確認もせずあやふやな記憶だけで書いてみたらどうだろう。
何年か後、この本のことを忘れた後に読み返したら、「うわ〜〜〜これなんてタイトルの本だっけ!」ってなるじゃない?
主要人物の名前もイニシャルにした。特定しやすくなっちゃうからね。
記憶するためじゃなくて、思い出せないことを楽しむ文章になってたらいいな。
じゃあ、さよなら!

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