【遊戯王OCG】クシャトリラ・スクラップオルフェゴールのすすめ
・(7月11日 追記)
2023年7月のリミットレギュレーションで「クシャトリラ・フェンリル」が禁止になってしまい、この構築をOCGで組むのは難しくなっています。
・(8月11日 追記)
MDでフェンリルが追加され、このデッキをMDで組めるようになりました。記事執筆当時のOCGと現在のMDの環境は少し違いますが、クシャ入りスクラップオルフェを組むうえでこの記事が少しでも参考になれば幸いです。
こんにちは、ダンテと申します。
今回はクシャトリラギミックを採用した「スクラップオルフェゴール」の構築を紹介していきます。やや分量が多いので、ゆっくり読んでいただければ幸いです。
私は4月改訂の発表後の1か月で、このデッキを使って2度公認大会を優勝することができました。
なお、前回深淵オルフェの『金満で謙虚な壺』の使い方についての記事を書きましたが、これに大きな反響をいただきました。読んでくださった方はありがとうございました。
その深淵オルフェですが、4月改訂によって相棒であるビーステッドが規制を大きく食らってしまい組むのが難しくなってしまいました。
そこで、オルフェゴールのもう一つの相棒であるスクラップを取り込むことにしました。「スクラップオルフェゴール」自体は2年以上前のデッキですが、依然非常に強力なデッキです。
一方で、このスクラップオルフェは覚えることが少なくありませんし、プレイングも一定程度要求されます。このデッキを組むうえで、このnoteが少しでも参考になれば幸いです。
1.スクラップオルフェの概要
スクラップオルフェについて簡単に説明すると、スクラップギミックによって『スクラップリサイクラー』を何度も使いまわし、横展開を行いつつオルフェゴールを含む機械族モンスターを墓地に送ることをコンセプトにした展開デッキです。
スクラップオルフェが他の展開系デッキと異なるのは、オルフェゴールのサーチできるカウンター罠、『オルフェゴール・クリマクス』を構えることができ、結界波などに耐性がある点です。
また、展開デッキに刺さりがちな手札誘発である『ドロール&ロックバード』があまり刺さらない点も独自の強みです。
こうした強みがあり、2年以上前から使われているデッキがスクラップオルフェです。
ここではスクラップオルフェについてこれ以上詳しく述べませんが、先行する詳しい記事・動画がありますので、特にスクラップオルフェを初めて使う方は、そちらも併せてみておくことをお勧めします。
2.展開例
では、さっそくスクラップオルフェの展開例を紹介していきます。ここでは基本的な展開例を3つ紹介していきます。展開動画を用意しましたので、そちらをご覧ください。Wifi環境以外でこの記事を見ている方はご注意ください。
(1)リサイクラー1枚展開
〈盤面〉
・マスカレーナ+リイヴ+1素材
→リイヴのバウンス+トロイメアユニコーンのバウンス(2除去) または
→リイヴのバウンス(1除去)+3ウーサ
・ガラテア+クリマクス(万能妨害)
『スクラップ・リサイクラー』1枚で複数の妨害をつくることができました。あとは、相手の展開にあわせてマスカレーナから特殊召喚する先を上の二つの選択肢から選んで妨害をしていくことになります。
ちなみにリサイクラー1枚でできる別の展開として、『オルフェゴール・バベル』を建てる以下のような盤面がありますが、基本的には上の展開を目指します。
〈盤面〉
・4ウーサ(トロイメアの打点パンプ効果含む)
・マスカレーナ → ユニコーンのバウンス(1除去)
・スケルツォン墓地効果 → ディンギルスの墓地送り(1除去)
この展開は先ほどのとは違って1ターン目にアポロウーサを建てることができます。一方で、こちらは強力な万能妨害であるクリマクスを伏せることができないですし、リイヴのリンク素材になった時のバウンスの1妨害も無駄になってしまっています。加えて、アポロウーサは相手のターンにもマスカレーナで出すことができます。
よって、基本的には最初のクリマクスを伏せる展開をすることを私はお勧めします。ただ、ここの展開は好みがありますし、アポロウーサを優先的に出した方がいい場合もあるので、どちらでもいいと思います。(そもそもスクラップ展開が通ればだいたい勝てるのであまり心配する必要もないですが…)
(2)リサイクラー+1展開
〈盤面〉
・マスカレーナ+リイヴ
→リイヴのバウンス+トロイメアユニコーンのバウンス(2除去) または
→リイヴのバウンス(1除去)+2ウーサ
・ガラテア+クリマクス(万能妨害)
・サベージ(万能妨害)
リサイクラー+1の「+1」の部分は、今回『ジェット・シンクロン』で捨てたディヴェルの他に以下のようなものがあります。
左からディヴェル、トロイメア、星杖、オライオンの4枚は『ジェット・シンクロン』の手札コストで落とします。
右のギラザウルスと、それをサーチできる化石調査の2枚についてですが、ギラザウルスには特殊召喚効果があります。よって、リサイクラーではディヴェルを落とし、リサイクラーと特殊召喚したギラザウルスで『スクラップ・ワイバーン』をつくります。
この展開では、先ほどのマスカレーナ+リイヴの除去とクリマクスの万能妨害に加え、もう一つサベージの万能妨害が追加されます。クリマクスとサベージの2つの万能妨害を構えると、特にサイドチェンジ後に先攻を取った際に活躍します。
サイドチェンジ後は相手も『拮抗勝負』や『冥王結界波』、『ハーピィの羽根帚』などの返し札を入れてきますし、それを複数引かれた場合に万能妨害が1つしかないと非常に厳しくなります。(何度2枚目の拮抗勝負に盤面を吹き飛ばされたことか…)。そこで、万能妨害が二つあるとかなり楽になります。
(3)リサイクラー+パライゾス展開
〈盤面〉
・マスカレーナ+リイヴ
→リイヴのバウンス+トロイメアユニコーンのバウンス(2除去) または
→リイヴのバウンス(1除去)+2ウーサ
・ガラテア+クリマクス(万能妨害)
・サベージ(万能妨害)
・『クシャトリラ・ユニコーン』+『クシャトリラ・バース』
『六世壊・パライゾス』のところは、『クシャトリラ・ユニコーン』もしくは『テラ・フォーミング』でも大丈夫です。
この展開は(2)の盤面に『クシャトリラ・ユニコーン』と『クシャトリラ・バース』が加わった形となります。
マスターデュエルに実装されていない「クシャトリラ」というテーマに馴染みのない人もいると思うので、ここで改めて効果について紹介をします。
「クシャトリラ」モンスターは自分フィールドにモンスターがいない時に特殊召喚できます。そして、永続魔法であるバースはユニコーンでサーチすることができます。
ユニコーンは自身の攻撃宣言時、もしくは相手のモンスターの効果の発動に反応して相手のEXデッキを見て裏側で1枚除外することができます。
また、バースは相手の魔法カードの発動に反応して、相手の墓地のカードを3枚裏側で除外することができます。現環境では主にピュアリィや神碑に刺さります。
(4)星杖・ゴーレムを同時に素引きした場合の展開(追記)
盤面自体は(1)のリサイクラー1枚展開と同じです。こちらの場合は3枚使っての盤面にはなりますが、星杖とゴーレムなどの「ゴミ」を同時に2枚素引きしてしまった場合でも問題なく展開できます。
(5)Gを受けてしまった場合の展開(追記)
このデッキはうらら2枚(サイドにもう1枚)、ドロール3枚、指名者計3枚と多数のGを弾くためのカードがありますが、それでも10%弱の確率でGが通ってしまいます。
このデッキの展開の止めどころは、①フェンリルやユニコーン+バースを建て最小限のドローで止まることと、②多少動いてガラテア+クリマクスやナイトメアを建てて止まることの2つに分けられます。
もちろんそれで相手の展開を止められることはあまりありませんが、デッキの性質上Gを重くもらってしまうのはどうしようもないので、ある程度割り切る必要があると思います。余裕がある手札の場合はディヴェルを先に落とし、いつGを受けてもいいようにするなどの工夫が必要でしょう((3)の動画参照)。
……ちなみに余裕のない手札でオライオンにGを受けた場合は即止まって相手が事故るのをお祈りしています。もしあいてにぶん回されたら展開を眺め、マッチ戦であれば心を調えて次のデュエルに備えましょう。クシャトリラ入りのスクラップオルフェは展開力・突破力があるので、1試合落としても意外と何とかなる場合があります。
マッチ戦で後がない場合も、基本的にどうしようもないので祈りを捧げるしかありません。
3.各カードの採用理由(メインデッキ)
では、次にこのデッキの各カード・ギミックをいくつかピックアップして解説していきます。
(1)「クシャトリラ」ギミック
先ほどの展開例のようにリンク素材の水増しをすることも非常に強力ですが、「クシャトリラ」ギミックの真の強さは『クシャトリラ・フェンリル』にあります。
『クシャトリラ・フェンリル』は先攻で置いても強いですし、何より後攻の捲りの際に重要な役割を担います。相手の制圧モンスターに対して1妨害を「使わせる」動きができるほか、メインデッキのカードでは対処が難しい永続罠を除去することができます。
スクラップオルフェは従来後攻が強いテーマではなかったですが、「クシャトリラ」ギミックを入れることで後攻でもある程度戦えるようになりました。一方で、従来あまり効かなかったドロールや超雷竜がやや重くなった点は留意しなければなりません。
(2)手札誘発の採用について
メインデッキの手札誘発は10枚です。
『灰流うらら』2枚
『増殖するG』3枚
『ドロール&ロックバード』3枚
『無限泡影』2枚
に、しました。現環境は「ピュアリィ」「超重武者」「クシャトリラ」など、多くのデッキにドロールが刺さっています。また、うららや無限泡影と違って1度きりの妨害でなく1ターン拘束する効果であることを加味して3枚の採用としました。
そしてGを3枚採用すると、残りの枠は4枠となります。Gを弾く役割もあるうららは、ドロールを3枚採用しているのでもはや無理に3枚採用する必要はありません。無限泡影が後攻の捲りに役に立つことを加味して、うらら2無限泡影2の採用としました。残りのうらら無限泡影各1枚はサイドデッキに回します。
4.各カードの採用理由(エクストラデッキ)
(1)『転生炎獣アルミラージ』
アルミラージは攻撃力1000以下のモンスターでリンク召喚することができます。『ジェット・シンクロン』や『幻獣機オライオン』、変わったところでは『クシャトリラ・バース』の効果を利用して通常召喚した『オルフェゴール・トロイメア』など、墓地効果を持つモンスターを能動的に墓地に送ることができます。
また『星遺物を継ぐもの』を素引きしている際、リサイクラーに誘発が撃たれてもアルミラージを出すことで貫通して展開することができます。
(2)『閃刀姫アザレア』
アザレアは手札コストのない『トロイメア・ユニコーン』と言えるでしょう。スクラップオルフェは手札を比較的多く使うため、マスカレーナから出すユニコーンの手札コストが捻出できない、あるいはうららやドロールなど捨てたくないカードである場合も多いです。そうした際でも、マスカレーナから出す1妨害として機能するのがアザレアの強みです。
ただ、アザレアは墓地に魔法カードが4枚以上ないと効果発動後に自爆してしまったり、ユニコーンのようにデッキバウンスの除去ではなく破壊による除去であることなど、使いづらい場面も目立ちます。どうしようもないとき以外は『トロイメア・ユニコーン』を出すのが無難です。
(3)『ヴェルズ・ナイトメア』
『ヴェルズ・ナイトメア』は闇属性モンスター2体で作ることのできるランク4で、特殊召喚されたモンスターを裏側にすることができます。このデッキではギルスとディヴェルの組み合わせのみでしか作れませんが、マスカレーナやアポロウーサでは対処しづらい「クシャトリラ」や「ピュアリィ」に対して刺さるため採用しました。このカードはターン1の縛りがないため、2度使うことができます(2妨害)。
また、後述しますがこのデッキでは『オルフェゴール・バベル』を抜いているため、オルフェギミックのみではクリマクスの1妨害しか作れません。盤面の1800打点しかないガラテアに依存するクリマクスの1妨害は簡単に突破されてしまいます。そこで、オルフェギミックしか回せない場合は、いちおう2妨害を出力できるナイトメアで耐えることができます。
(4)『ヴァレルロード・S・ドラゴン』
先ほど少し触れましたが、サイドチェンジ後のことも考えてクリマクスに加えた2枚目の万能妨害の確保のために採用しました。
このデッキでは基本的に『ジェット・シンクロン』と『オルフェゴール・トロイメア』で作ることが多いですが、レベル4であるディヴェルと、レベル4チューナーである『スクラップ・ラプター』やチューナー化したギルスでも作ることができることも覚えておいた方がいいでしょう。
5.不採用としたカードについて
(1)『リンクリボー』
リンクリボーはギルスによって生成した星遺物トークンを効果モンスターに変換する独自の役割を持ちますが、スクラップオルフェはあまりギルスを出さないので採用しませんでした。そもそも星遺物トークンはマスカレーナの素材になりますので、リンクリボーが無くてもあまり展開に支障はありません。
(2)『オルフェゴール・バベル』
このカードは採用するか抜くかで非常に迷ったカードです。スクラップオルフェはその展開力の代わりに『スクラップ・ゴーレム』など、他のオルフェゴールとは違い直接展開することができないカード(いわゆる「ゴミ」)が多いテーマであるため、他の「ゴミ」の採用には慎重にならなければなりません。
そして、ガラテアから伏せるオルフェゴール魔法罠の筆頭であるバベルとクリマクスの2枚を見比べてみると、クリマクスが強力な万能妨害として機能するのに対し、バベルはこのカード自体がアドや妨害を生み出すわけではなくやや役割が薄いと判断しました。
また、前述の『ヴェルズ・ナイトメア』を採用したことで、「バベル+墓地ディンギルス、マスカレーナ」という構えと同じ2妨害をバベル無しで一応出力できることもあり、今回の構築ではバベルを抜くこととしました。
ただ、バベル自体非常に小回りの利くカードでもありますし、『ヴェルズ・ナイトメア』が刺さらない対面にはバベルがあった方が良いのは言うまでもありません。このカードはまた入れ直す可能性があることは申し上げておきます。
6.サイドカード、サイドチェンジについて
ここでは一般的な展開デッキ相手のサイドチェンジを想定しつつ、どのようなサイドチェンジをするのか、サイドカードにどのような役割があるのかについて解説していきます。
(1)先攻用サイドチェンジ
・IN うらら、三戦の才、金謙2
うららはGを弾くため、才は手札誘発を撃たれた後のリカバリーのために使います。また、他の展開デッキのように『神の宣告』や『次元障壁』を入れず金謙を入れているのは、スクラップオルフェがクリマクスという専用カウンター罠を含む多くの妨害を出力できるため、展開カードを引いたりリカバリーのカードを引ける金謙の方が優先度が高いと判断したからです。
また、金謙は後攻でも使うのでサイドカードの枠の節約もできます。
・OUT ディヴェル、G2、無限
ディヴェルは墓地に送られないと効果が発動できないため、『ジェット・シンクロン』で捨てることを考えても素引きがやや弱いと考え、メインに1枚のみとしました。相手が「ビーステッド」の場合のみ、抜かずにメインに2枚としておきます。
Gや無限は抹殺用にメインに1枚となるまで抜いておきます。
(2)後攻用サイドチェンジ
・IN うらら、しぐれ、ニビル2、三戦の才、金謙2、無限
手札誘発や捲り札であるフェンリル・無限を引くための金謙を入れると言った形になります。
なお、ラビュリンスなど罠系相手にはしぐれ・ニビル・才ではなく羽根帚・ライスト・リブートを入れたり、ピュアリィにはニビルや才ではなく『エクシーズ・オーバーディレイ』を入れます。金謙は、そういった特定の解決札を引かないと対処できない盤面を作る相手に対して、解決札を引きやすくする役割を持ちます。
・OUT ディヴェル、オライオン、ギラザウルス、ユニコーン、バース、化石調査、墓穴2
ギラザウルス、ユニコーンなど後攻では機能しづらいカードを抜きます。また、後攻は手札が1枚多いため過剰となりがちな初動の化石調査を1枚抜きます。
また、ディヴェルは神碑、クシャトリラ、ビーステッド対面では抜かずにメインに2枚にしておきます。
7.おわりに
いかがでしたでしょうか。
私は長い間「オルフェゴール」デッキを使ってきましたが、特に2022年の間は非常に厳しかったように感じます。しかし、2022年のテーマは4月に悉くが規制され、10期のテーマである「オルフェゴール」も戦える環境がようやくやってきました。このnoteでスクラップオルフェに興味を持った方、「オルフェゴール」デッキが好きな方には是非スクラップオルフェを作っていただき、12期環境で活躍していただけることを願っています。
また、クシャトリラ入りのスクラップオルフェ構築の原案を作ってくださった白身@siromi_0rcust さんには改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。
おまけ
これで「クシャトリラ・スクラップオルフェゴール」の構築の紹介は終わりですが、オルフェゴールの今後について考えなければならないことが一つあるので、ここでまとめさせていただきます。
それが何かというと、今後予想される『宵星の騎士ギルス』の緩和についてです。
ギルスはオルフェゴールの重要な初動であり、現在制限カードでもあります。一方で2022年の度重なるインフレの影響かオルフェゴールテーマの中でもディヴェルやガラテアの緩和がこれまで行われており、早ければ次の7月の改訂でギルスも緩和される可能性があります。
仮にギルスの緩和が行われたとすると純オルフェや赫オルフェ、深淵オルフェでは最強の初動を手に入れることになりますし、それで環境に帰り咲くことは考えづらいものの、デッキパワーが多少上がることは間違いありません。
では、スクラップオルフェゴールはどうでしょうか。スクラップオルフェゴールの最強の初動はギルスではなく『スクラップ・リサイクラー』です。よって、私は仮にギルスが緩和されたとしてもスクラップオルフェに入れるかどうかは微妙に思います。もちろん『ヴェルズ・ナイトメア』を出したり、『おろかな埋葬』1枚で動くのにギルスは必須なのでデッキからすべて抜けることは無いのですが、2枚必要であるかについては疑問に思います。
…まあギルスの緩和は現時点ではしょせん予想に過ぎないので、緩和したときにもう一度考えるのがよさそうですね。
では、この記事はここで終わりです。最後まで見てくださり、ありがとうございました。