境界性パーソナリティ障害(BPD)の全て:原因、症状、治療法と対人関係のコツ

パーソナリティー障害

個々のパーソナリティ特性によって、他人や自分自身の生活に支障をもたらすものを指します。このような状態は、ストレスやトラブルを引き起こして人間関係を損なったり、著しい苦痛や機能障害を引き起こす可能性があり、抑うつ状態や双極性障害、統合失調症などの2次障害を引き起こす場合もあります。 パーソナリティ障害は一般的に、遺伝や環境などの要因の組み合わせが原因とされています。年齢を重ねることで軽症化することもありますが、一部の特徴は症状が軽減した後も持続する可能性があります。診断は医師によって行われ、治療にはカウンセリングや薬物療法が使用されます。
※詳しくは「パーソナリティ障害について」の記事をご参照ください!


境界性パーソナリティ障害(BPD)とは?

境界性パーソナリティ障害(BPD)について、その定義と特徴、歴史的背景、診断基準について説明します。

まず、BPDとは、感情の不安定さ、自己イメージの混乱、自己傷害や自殺企図、過剰な怒りや攻撃性、対人関係の不安定さなど、多様な症状が現れる精神障害です。
BPDを持つ人は、自分自身や他人を過度に理想化したり、非常に否定的に見たりすることがあり、つらい苦しみを抱えています。

BPDは、20世紀初頭に「境界線性精神病」として提唱され、その後「境界性人格障害」という用語が使われるようになりました。
現在では、DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル)において、「境界性パーソナリティ障害」という名称で定義されています。
DSM-5では、以下の診断基準が設定されています。

感情の不安定さを示す。

1、感情の不安定さを示す。
2、自己イメージの混乱を示す。
3、対人関係の不安定さを示す。
4、強い恐怖心や空虚感を示す。
5、過剰な怒りや攻撃性を示す。
6、自己傷害や自殺企図を示す。
7、短時間で強い感情の波がある。
8、緊張や不安が高まりやすい。
9、現実感覚に乏しい。

DSMー5

このように、BPDは多様な症状があるため、診断が難しく、患者さんには適切な治療や支援が必要です。


原因とリスクファクター

BPDの原因は複雑であり、一つの要因だけでは説明がつかないことが多いです。以下に代表的な原因をいくつか挙げます。

  1. 環境的要因:BPDの人は幼少期に、虐待、放置、家庭内のトラウマ、不安定な家庭環境など、様々な環境的ストレスを経験していることが多いです。そのため、自己愛欲求が満たされず、適切なケアを受けられなかったことがBPDの原因となることがあります。

  2. 遺伝的要因:BPDの人の中には、遺伝的な要因によってBPDを発症する可能性がある人もいます。研究により、BPDの人の親族にもBPDの人が多く存在していることがわかっています。

  3. 脳機能の変化:BPDの人の脳には、感情の制御や判断力に関係する部位である前頭前野が正常に機能しないことが報告されています。また、BPDの人はセロトニン欠乏症になりやすく、不安や抑うつ症状が現れることがあります。

以上のように、BPDの原因は多岐にわたります。
BPDの人は、原因が何であれ、感情の不安定さや自己イメージの混乱、自己傷害や自殺企図など、多様な症状に苦しんでいます。
BPDの治療法には、心理療法や薬物療法などがあり、患者さんに合わせた治療が必要です。


症状と傾向

BPDは、一般的な薬物療法や治療薬によって治療することが困難であり、主に心理療法によって治療されます。
以下に代表的な心理療法について説明します。

  1. DBT(ダイアレクト行動療法):DBTは、BPDの人が感情の制御をするために必要なスキルを身につけるための療法です。感情のコントロールや人間関係の改善、自己肯定感の向上など、様々なスキルを学ぶことができます。

  2. スキーマ療法:スキーマ療法は、BPDの人が抱える深層心理的な問題を解決するための療法です。過去のトラウマや負の自己イメージなどを改善することができます。

  3. 心理動機的療法:心理動機的療法は、BPDの人が抱える感情的な問題を解決するための療法です。自己肯定感や自己受容感を高め、感情の不安定さを改善することができます。

また、BPDの治療には薬物療法も併用されることがあります。
抗うつ薬や抗精神病薬などが使用されますが、BPDに対する薬物療法の効果は個人差が大きく、副作用も多いため、注意が必要です。

BPDの治療には、継続的な治療が必要です。
治療が終了しても、再発する可能性があるため、継続的な治療が必要です。
治療には、患者さんと治療チームが密に連携して治療計画を立て、適切な治療を行うことが大切です。


治療法

BPDは、日常生活に大きな影響を与えます。以下にその一例を挙げます。

  1. 人間関係の問題:BPDの人は、人間関係において不安定であるため、友人や家族との関係が悪化しやすい傾向があります。また、しばしば自分の感情に左右されてしまい、周囲の人を傷つけることがあります。

  2. 職場での問題:BPDの人は、感情が不安定であるため、職場でのストレスに弱く、転職を繰り返すことが多いです。

  3. 自傷行為や自殺企図:BPDの人は、不安定な感情や自己肯定感の低さから、自傷行為を行うことがあります。また、自殺企図をすることもあるため、周囲の人にとって非常に心配な症状となります。

  4. アルコールや薬物の乱用:BPDの人は、不安定な感情を抑えるためにアルコールや薬物を乱用することがあります。そのため、アルコールや薬物依存症を発症することがあります。

  5. 日常生活の困難:BPDの人は、感情が不安定であるため、日常生活の中でさまざまな困難を抱えることがあります。例えば、家事や買い物などの日常生活のことがうまくできないことがあります。

これらの問題に直面するBPDの人々には、治療を受けることが大切です。
治療を受けることで、感情のコントロールや人間関係の改善、自己肯定感の向上などが期待できます。
また、治療を受けることで、自殺企図や自傷行為などのリスクを低減することができます。


境界性パーソナリティ障害の人との付き合い方


BPDの治療方法には、以下のようなものがあります。

  1. 心理療法:心理療法は、BPDの治療において最も効果的な方法の1つです。具体的には、認知行動療法、スキーマ療法、心理動機的療法などがあります。心理療法では、自己認識の改善や感情のコントロール、人間関係の改善などに焦点を当てた治療が行われます。

  2. 薬物療法:薬物療法は、BPDの症状を緩和するために使用されます。具体的には、抗うつ薬や抗精神病薬、抗不安薬などが使用されます。ただし、薬物療法は、あくまでも症状緩和のための補助的な治療であり、根本的な治療としては心理療法が必要です。

  3. 精神療法:精神療法は、BPDの人々が入院して行う治療法で、一般的には精神科病院で行われます。精神療法では、医師や看護師が常に付き添い、安定した環境下で治療が行われます。

治療の効果には個人差がありますが、多くの場合、心理療法を受けることで、感情のコントロールや人間関係の改善、自己肯定感の向上などが期待できます。
また、自殺企図や自傷行為などのリスクを低減することができます。
しかし、BPDの治療には時間がかかり、継続的な治療が必要です。
治療を受けることによって、完全に症状が治まるとは限りませんが、症状の緩和や日常生活の改善が期待できます。
治療を受ける際には、専門の医師やカウンセラーに相談することが大切です。


境界性パーソナリティ障害の予後と予防

BPDの家族や周りの人々がどのように支援することができるかについて説明します。
BPDの人々は、感情の起伏が激しく、不安や孤独感、無力感などを抱えることが多いため、周りの人々の支援が重要です。
以下に、BPDの家族や周りの人々が支援するためのポイントをいくつか紹介します。

  1. 理解すること:BPDの人々は、感情の起伏が激しいため、周りの人々にとって理解しがたい場合があります。しかし、BPDの人々が感じている感情や思考は、彼らにとって現実であり、彼ら自身にとっても辛いものです。周りの人々は、まずは彼らの状況を理解することが大切です。

  2. コミュニケーションを大切にすること:BPDの人々は、感情の起伏が激しいため、時にはコミュニケーションに問題が生じることがあります。しかし、コミュニケーションを大切にすることで、BPDの人々が自分の感情を言葉で表現しやすくなります。また、周りの人々がBPDの人々の感情に対して共感的な態度をとることで、彼らが自分自身を受け入れやすくなります。

  3. サポートを提供すること:BPDの人々は、時に自分自身で感情のコントロールができないことがあります。周りの人々は、彼らがサポートを必要としている場合には、適切なサポートを提供することが大切です。ただし、周りの人々がBPDの人々の問題をすべて解決することはできません。彼らが自己成長を促すようなサポートを提供することが大切です。

  4. 自分自身を守ること:BPDの人々の感情の起伏は、周りの人々にとってもストレスとなります。周りの人々は、彼ら自身がストレスを感じることなく、適切な距離感を保つことが大切です。また、BPDの人々が自傷行為をする場合には、周りの人々が彼らを守ることが大切です。

次に、BPDの予防法についてですが、BPDの原因は、まだ完全には解明されていません。
しかし、BPDの発症には、遺伝的な要因や環境的な要因が関係していると考えられています。
そのため、BPDの予防法としては、ストレスの軽減や健康的なライフスタイルの維持が重要です。

また、将来の治療法についての展望についても解説します。
現在、BPDの治療法としては、認知行動療法精神療法などがありますが、将来的には、脳神経科学や遺伝学の進歩によって、より効果的な治療法が開発されることが期待されています。
例えば、脳機能画像を用いた治療法や、遺伝子治療などが注目されています。


境界性パーソナリティについての誤解と偏見

BPDについての一般的な誤解と偏見、BPDを理解するための情報源、そしてBPDの人々への支援と理解について解説します。

まず、BPDには多くの誤解や偏見が存在しています。
例えば、「BPDの人は怖い」「BPDは治りにくい」「BPDの人は自己中心的で他人を傷つける」といったものです。
これらの誤解や偏見は、BPDの人々に対する差別や偏見を引き起こし、治療や社会参加の妨げになることがあります。

次に、BPDを理解するための情報源について考えます。BPDに関する情報を収集する方法としては、書籍やインターネット、専門家や支援団体、BPDを持つ人々の体験談などがあります。
これらの情報源を通じて、BPDの症状や特徴、治療法、向き合い方などについて理解を深めることができます。

最後に、BPDの人々への支援と理解について考えます。
BPDの人々は、過去のトラウマや不安定な環境などから心身に深刻な問題を抱えている場合があります。
そうした人々に対して、理解と支援を示すことが重要です。
例えば、BPDの人々が直面する問題に対して適切に対処する方法を学ぶこと、自己認識を深めること、信頼できる人との関係を構築することなどが考えられます。

また、BPDを理解していない人々に対しても、BPDについての情報を提供することで、BPDの人々を差別や偏見から守ることができます


境界性パーソナリティ障害との向き合い方

BPDを抱える人が自分自身や周りの人と向き合い、苦しみを軽減するためのアドバイスや方法について解説します。

まず、BPDを抱える人が自分自身と向き合うための方法について考えていきます。
BPDの人は、感情のコントロールが難しく、自分自身を否定的に捉える傾向があります。
そこで、自分自身を受け入れることが大切です。
自分の感情や行動に対して、否定的な評価をせずに、ただ受け止めることが必要です。
また、自分自身に対して優しく接することも大切です。
自分の欠点や失敗を許容し、自分自身を肯定的に捉えることで、自信や自己受容感を高めることができます。

次に、BPDの人が周りの人と向き合うための方法について考えていきます。
BPDの人は、自分自身の感情や思考をうまく表現できないことがあります。そのため、周りの人に対して攻撃的な態度を取ってしまうことがあります。
そこで、まずは周りの人とコミュニケーションをとることが大切です。
自分の感情や思考を正直に伝えることで、相手に理解してもらえることがあります。
また、周りの人に対して、感謝の気持ちを伝えることも大切です。
自分自身を肯定的に捉えることができるようになると、周りの人に対してもポジティブな気持ちを持つことができます。

最後に、BPDによる苦しみを軽減するためのアドバイスについて考えていきます。
BPDの人は、自分自身や周りの人に対して過剰に依存し、自分自身を犠牲にすることがあります。
そこで、自分自身を優先することが大切です。
自分の感情や欲求に合わせて、自分自身を守ることが必要です。
また、ストレスを感じた場合は、ストレス解消法を身につけることが大切です。
例えば、ヨガやマインドフルネスなどのリラクゼーション法を実践することで、自分自身を落ち着かせることができます。


本記事を書いて、境界性パーソナリティ障害(BPD)は、うつ病や双極性障害と症状は似ているものの、行動原理や動機が違うことがわかりました。
感情不安定や自己肯定の不安定さ、自己傷害や自殺行動などが特徴的のため、世間からの誤解や偏見が、とてもつらい障害だと感じます。
BPDについての理解を深め、向き合うことで、世間への正しい認知に努め、BPDに対する誤解や偏見も腐食していきたいですね!

あゆみん

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