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イヤホン遍歴

TRACKの事を書いたのでIE300の事も書こうと思って頭の中で整理しようと思ったら、想像以上に整理がつかない気がしてきたのでとりあえず文章に起こしてみようと思う。

そもそも

このスマホで音楽関係は割となんでも聴ける時代にわざわざDAPと有線イヤホン/ヘッドホンを愛用するからには、音楽は元々大好きである。
電子音楽なんて認めねえ!なんて抜かしていた高二病の過去もあったりするのだが、いつの間にか治っていた。
音楽の多様性に気付かせてくれたのはゲーム音楽、格ゲーやSTGもそうだが、やはり筆頭はKONAMIのBEMANIシリーズであり、十ウン年経った今でも気付かせてくれる事が多々あるので本当に感謝している。
何しろ僕が物心ついてからと同程度の歴史を誇る長寿シリーズなので、収録曲数もジャンルも厖大なのである。昔のGITADORAシリーズには版権曲が多く入っていたので、そこからハマったアーティストなども多かった。

冒頭から閑話になってしまったが、それ以外にも中学では合唱部、高校では吹奏楽部だったりしたので、元々音楽には頭の天辺とまでは行かぬものの首辺りまでは浸かりながら育ってきた。

はじめて

そんな感じで高校時代はMDプレイヤー、大学時代はMP3プレイヤー、就職してからはスマホが通勤通学のお供だった。内容まで書くと年齢モロバレルなので伏せておく。
だがそこまで音に拘っていたかと言われるとあまりそういった記憶がなく、「聴けりゃ良いや」みたいな聴き方だった気がする。
当然ながらイヤホン/ヘッドホンの機種など気にしたことは無かったし、そこらへんでテキトーに買った物を使って満足していた。お金も無かったし。

初めて音を意識したのは見た目が気になって家電量販店で試聴した、Final Adagio IIIだと思う

ロケットみたいな不思議な形で、しかもアシンメトリーなカラーリング。
おお!かっこいい!と思って試聴したら、なんだか今まで使っていた吊るし売りのイヤホンと音が違うぞ、と感じたのを覚えている。
当時はその後お値段を見て「イヤホンに7000ちょっとかぁ…」と思う程度には初心だったのだが、デザインに惚れ込んでしまい購入した。

おつぎに

そんなこんなで初めていわゆる「入門」的なイヤホンに手を出して”しまった”わけだが、当然ながら当時は手入れの方法なども知らなかったので、3年くらいで断線したのかRが聴こえなくなってしまった。
一度上げた音に対するハードルを下げるのはなかなかに難しく、同価格帯で良いのないかなーと色々探してみたところで出会ったのがDENON AH-C720である。

Adagio IIIで足りないと感じていた低音が全面に出てくる、更にイヤーピースが今まで目にしたことがないコンプライ製のウェットイヤーピース。
なんじゃこりゃ!イヤーピースが耳にジャストフィットしてくるぞ!おもしれえ!となって購入。
開けてみたらキャリーケースが付属していて妙に感動した覚えがある。

ここらへんから次第に暇つぶしと称して量販店のイヤホン試聴コーナーをうろつくようになる。もう時間の問題である。

それから

やはり2年ほどAH-C720を使い続けたのだが、お次はイヤーピースがボロボロになってしまった。
流石にイヤーピースの換装なども分かり始めていたので、それで済まそうとも考えたのだが、このタイミングで小金が入ったのが良くなかった。
じゃあもうちょっと良いのを買ってみましょうと、そうなってしまったのだ。
そして出会ったのがAudio Technica ATH-CKS1100Xである。

SOLID BASSシリーズの上位モデル。AH-C720よりズンズン来る低音。僕に刺さらない訳がなく買ってしまった。
とはいえ初めて手を出す5桁のイヤホンである。買うまでに相当悩んだし、レジに注文カードを持っていく時いやに緊張した覚えがある。

いよいよ

だがしかし、人間の欲(主語がでかい)は尽きないもので、やはり2年ほどでCKS1100Xの音に段々と満足できなくなってきた。
自分の理想より、少し音の解像度がぼやけているように聴こえはじめてしまったのだ。
これには結構困った。何しろ大枚はたいて購入したのに、自分の方が合わなくなってしまってきたのだから。

なんとかこの状態を解消する術はないもんかと調べている際に出会ってしまったのがe☆イヤホン。ビル1棟丸々イヤホンが置いてある上にもなんかカスタムもしてくれるらしい。秋葉原には結構来ていたのに何故気付かなかったんだ?と入店してみて更にびっくり。そこには見たこともない数の試聴機が並んでいた。
何だここ、楽園か?と店内をうろうろしてショックを受けた。

イヤホンメーカーってこんなにあるの?IEMってなんぞ?てか数万円台ってまだミドルクラスなの?じゃあハイエンドっていくら?(値札チラー)ヒェッ…

恐ろしい世界もあったもんだなぁ、と思いながら(ハイエンドの価格帯はいまだにそう思う)店内をうろついていたら目に入ったのがSennheiser IEシリーズだ。改装前で、シリーズを横並びに展開していた時期だったと思う。そりゃ目に入るよね。
へぇ、なかなかおしゃれだなぁ。ドイツのメーカーかぁ。しっかりした仕事しそうだなぁ。この一番高いIE900ってやつどんな音なんだろう?うーん、これがハイエンドの音ってやつかー。高すぎて自分にはちょっと分からないなぁ…。
なんて試聴機を弄っているうちにIE300に辿り着き、衝撃を受けた。

(公式ページが見当たらなかったのでeイヤさんの商品紹介ページ)

明らかに低音の「来る」具合が自分の知っているものと違う。体幹に直接響くような低音。それでいてこもったような部分がなく、全体的に高い解像度を保ったバランスの良さ。
どこを取っても今まで自分が知っていたイヤホンの常識をひっくり返されたような感覚。今まで自分が聴いていた音楽が全く別の顔を見せて来る衝撃。イヤホンでここまで変わることってあり得るのか?この曲は?次はこの曲を聴いてみたら一体どんな顔になるんだ?

全然違う。僕の知っている曲と何を聴いても違う。こいつは、ヤバい。

これはまずい、と一旦その場を離れたものの、一度体験してしまった音を忘れることは僕にはできなかった。というか、失礼を承知で言うならCKS-1100Xを何度聴いてもショボく感じるようになってしまった。オーテクさんが悪い訳ではなく、僕がIE300に完全に「してやられた」のだ。

数日後、そこには元気に魔法のカードを使う自分の姿があった。堕ちたな。ありがとうございました。
ちなみに流石に店員さんにメンテナンスの方法などを詳しく教えていただいた。丁寧に色々教えてくださったあの時の店員さん、遅いお礼をもう一度。ありがとうございます。

さいごに

以上が自分のイヤホン遍歴である。整理なんてなかった。
しかし改めて書き起こしてみると、自分のセンスだけに従ってきたにしては割と王道を歩いているような気がする。王道は皆通るから王道なので当然っちゃ当然ではある。

この10年で順調にインフレ街道を歩いているが、次の10年は一体どうなってしまうのだろうか。
楽しみでもあるし、不安なようでもある。

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