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救世主達

以前、思い立って富士山に登った。

バスに飛び乗り五号目へ…
ついたものの、登山口が見つからない。
吉田ルートはどこへ行けばいいの?

人はたくさんいるけれど、みんなそれぞれの目的地に向かって動いている。
急に不安が込み上げてきたけど、とりあえず落ち着こう。

「1時間は五合目で体を慣れさせないといけないのだから…その間に情報収集だ!」自分に言い聞かせぼんやり歩いていた。

そんな時、私の名前を誰かが呼んでいる。幻聴?すでに高山病?
声がする方に目を向けると

頭にはバンダナを装着し、我々は登山のプロ!富士山には何回も登った事がある!
…そんなオーラを放つ面々がこちらに手を振っていた。

知り合いとその仲間達だった。

救世主現る。
絶対にこの仲間達と一緒に登る。
勝手に決意を固めていた。

談笑をしつつ、(早く一緒に登ろうって誘ってくれないかな…)と期待していると
「良かったら一緒に登らない?」
ようやくその一声を引き出せたのだ。

五合目迷子から一転、
登山プロ集団へ仲間入りの瞬間である。
プロ達はすでに富士山は何回も登っていて、私の見込んだ通りだった(迷子のくせに偉そう)

おかげでつつがなく富士山は登り終えた。

富士山五合目は人が溢れかえり、乗ったバスが一本違えば出会うこともない。
その上、そんなに仲良くない私に声をかけてくれた知り合いの救世主…
救世主は今や私の1番の友人だ。

あの日、富士山で迷子を救ってくれた彼女は、今も人生に迷うたびに私を助けてくれる。
迷子になった富士山の思い出は、偶然が生んだ必然だった。

よく考えれば、私は人生の中でいつも迷っている。
どの道を選べばいいのか、何が正解なのか、いつも悩み立ち止まることの繰り返しだ。
それでも、そんな時には決まって「救世主」のような存在が現れる。
富士山で助けてくれた彼女だけではなく、これまでも私が迷った時、道しるべを示してくれた。

その道しるべをもとに
「心の登山の覚悟」を持ちこれからも新たな山を目指して進んでいきたい。
なんて思ったのだった。

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