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ギャグ漫画風コント「カツアゲにはご用心」

高校生のヒロシは学校から帰宅中だった。

ヒロシ
「今日は帰りが遅くなっちゃったから、ちょっと近道して帰ろう」

ヒロシは普段の通学路から外れ、人通りの少ない近道を通ることにした。
そこには、怖そうなヤンキーがタバコを吸いながら座っていた。

ヒロシ
「うわっ。なんか怖そうなヤンキーいるよ」
「絡まれたくないし、目を合わせないように歩いて行こう」

ヒロシは得意のムーンウォークでヤンキーの目の前を通り過ぎようとした。

ヤンキー
「何だこいつ!気持ち悪っ!」
「おい!そこの兄ちゃん、ちょっと待てよ」

ヒロシ
(最悪だー!策に溺れたー!)
「ぼ、僕ですか?」

ヤンキー
「そうだよ、お前だよ」

ヒロシ
いや、多分僕じゃないと思いますよ

ヤンキー
「あ?いや何言ってんだよ、お前だよ」

ヒロシ
いや、絶対僕じゃない自信あります

ヤンキー
「どういうことだよ!それはオレが決めることなんだよ!」
「いいから、ちょっとこっち来いや」

ヒロシ
「…は、はい」

ヒロシは得意のムーン(以下略

ヤンキー
「その歩き方やめろ!気持ち悪いんだよ!」

ヒロシ
「何の用でしょうか」
「老後二千万円問題についてなら、僕にはちょっと分かりません」

ヤンキー
「そんなこと聞くためにお前を呼ぶか!」
「オレがそんなこと聞く奴に見えるんか!」

ヒロシはヤンキーに完全に絡まれた。

ヤンキー
「今、お金が全然無くてよー」
「オレにお小遣い恵んでくれねえか?」

ヒロシ
「二千万円はちょっと…」

ヤンキー
「それは政府とお前が勝手に言ってるだけだろ!」
「そんなにはいらねえから、あるだけ置いていきな」

ヒロシ
「お金を恵みたいのはヤマヤマなんですが、今はお金の持ち合わせが無くて…」
「普段は十万くらいは持ってるんですけど」

ヤンキー
「お前、どんな高校生だよ」
「いいから財布を出しな」

ヒロシ
「ポゥッ」ヤンキーの頭をコツン

ヤンキー
「て、てめえ!何すんだよ!」

ヒロシ
「すいません。『財布を出しな』は僕の地元の言葉で『頭を小突け』っていう意味だったのでつい」

ヤンキー
「そんな訳あるか!」
「この道通ってるんだから、オレもお前も地元一緒だろ!」

ヒロシ
えっ、お前どこ中?」おれ南中

ヤンキー
「なに急にタメ口になってんだよ」
「あんま舐めてっとマジでヤるぞコラ」

ヒロシ
「すいません。勘弁してください」

ヤンキー
「調子に乗ってんじゃねえぞ」

ヒロシ
絶対に調子に乗ってない自信あります

ヤンキー
「そういうとこだよ!調子に乗ってんのわ!」
「いいから金よこせ!」

ヒロシ
「ひぃ!一括はキツいんで、せめてローンを組んでください!」

ヤンキー
「そんな不動産みたいなカツアゲあるか!」

そんなやり取りの中、
ヒロシの同級生のトオルが通りかかった。

トオル
「ヒロシ!どうしたんだよ、こんなとこで」

ヒロシ
「トオル!ただ今、絶賛カツアゲ中!」

ヤンキーはトオルの顔を見て表情が強張る。

ヤンキー
「ト、トオル?!」
「あの南中の狂犬病と言われてた…」
「たしかウチの中学に乗り込んできて、20人に囲まれながら番格をぶっ倒しちまった奴…」

トオル
「そいつは、そん時一緒に乗り込んでた南中のキングオブポップだぞ」

トオルはヒロシを指差した。

ヤンキー
「えー!!こいつがあの南中の?!」
「ケンカする時ダンスしてるかのように動いて、叫びながら相手をボコボコにするヤバイ奴って噂の?!」

ヒロシ
「バレてしまったか」テヘッ

表情が青ざめるヤンキー。

ヤンキー
「す、すいませんでした!」
「調子に乗ってたのは自分でした!」土下座


ヒロシ
じゃあ迷惑料、二千万円な!」満面の笑顔


ヤンキーは頭を抱えた。

ヤンキー
「ろ、老後二千万円問題だ…」

すいません、ローン組んでもらってもいいですか?


おわり

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