インディアンの見た幕末の日本

インディアンの見た幕末の日本
“シーチン”修一

【雀庵の「大戦序章」331/通算762  2024(令和6)年9/4/水】読書の秋と言うけれど、昔はクーラーがなかったから夏場はとても読書する意欲が湧かなかったのだろう。高校時代の夏休みは、避暑地のように涼しい学校へ行って勉強していたものだ。1クラス50人の教室に2、3人しかいないから実に快適だった。今は比較的涼しい早朝7時から3時間ほど営繕作業をしているが、それでも汗ぐっしょり、ヘロヘロになってしまう。しかしクーラーのおかげでずいぶん元気が回復する。ま、現代版“晴耕雨読”、読書の意欲が湧いてくるのは結構なことだ。

「ラナルド・マクドナルド日本回想記  インディアンの見た幕末の日本 /富田虎男訳訂」(刀水書房、1981年改訂版、 英語原文は1923、1979年、改訂版1981年)はとても良かった。
吉村昭著「海の祭礼」(文藝春秋1986年10月の文庫版)を読んでいたら、参考文献の筆頭に「ラナルド・マクドナルド日本回想記」があったので早速ネットで購入。実に感動的な良書だった。吉村氏が取り持つ縁だが、小生は氏の著作は「戦艦武蔵」しか知らなかったのでWIKI(小生はスポンサーの一人)で調べてみると――

<吉村 昭(よしむら あきら、1927年(昭和2年)5月1日 - 2006年(平成18年)7月31日)は、日本の小説家。東京府北豊島郡日暮里に生まれ、学習院大学を中退。1966年(昭和41年)に『星への旅』で太宰治賞を受賞した。同年発表の『戦艦武蔵』で記録文学に新境地を拓き、同作品や『関東大震災』などにより、1973年に菊池寛賞を受賞した。現場、証言、史料を周到に取材し、緻密に構成した多彩な記録文学、歴史文学の長編作品を次々に発表した。『海の祭礼』(文藝春秋 1986年10月 のち文庫)でラナルド・マクドナルドを描く>

同じくWIKIで「ラナルド・マクドナルド」を検索すると――
<ラナルド・マクドナルド(Ranald MacDonald、1824年2月3日 - 1894年8月5日)は、英領北アメリカで生まれたメティ(西洋人と先住民の混血)の船員、冒険家。日本が鎖国時代の1848年に、アメリカの捕鯨船から小船で日本に密入国し、約10ヵ月間滞在した。長崎では日本人通詞(阿蘭陀通詞)たちの英語学習を助け、日本初の母語話者による公式の英語教師になった。聖公会信徒>

やがてマクドナルドは世界中を“放浪”するが、心はいつも、たった10ヵ月の滞在だった日本時代にあった。青春は美しく、麗しく、そして概ね悩ましいものだが、彼の人生で日本での10か月は一番光り輝き充実した日々だったのだ。
泣けるなあ、読者諸兄も是非ご覧ください。現在「ラナルド・マクドナルド日本回想記」は絶版のようだが、ネットでは中古本を購入できます。WIKIでも彼の生涯を詳しく紹介していますが、やはり同書がお勧め。富田虎男氏の解説も素晴らしいので再版してもらえないものかと切に願う。

最期にマクドナルドの生い立ちについてWIKIから引用する。
<英領北アメリカのオレゴン・カントリーにあるアストリア砦(現オレゴン州アストリア)生まれ。父はハドソン湾会社の毛皮商でスコットランド人のアーチボルド・マクドナルド(国籍はイギリス)、母は当地の先住民チヌーク族のコアルゾア(別名プリンセス・レーヴァン、プリンセス・サンデー)。
母方の祖父とマクドナルドの父はともに名声をあげ、採掘業で協力関係にあったことから、父は事業をうまく進めようとして土地所有者(祖父)の娘と結婚、このような姻戚関係は当時、珍しくなかった。母は出産後数ヵ月で死亡し、マクドナルドは一時は母方の叔母に預けられ、翌年、再婚した父に引き取られている。
エジンバラ大学を出た父親から基礎教育を受けたのち、1834年にレッドリバー植民地(現・ウィニペグ)のミッション系寄宿舎学校に入り、4年間学んだあと、父の手配でオンタリオ州で銀行員見習いとして働いたが、肌が合わず出奔している。子供の頃、インディアン(ネイティブアメリカン)の親戚に自分達のルーツは日本人だと教えられ、日本にあこがれたマクドナルドは日本行きを企てると、1845年、ニューヨークで捕鯨船プリマス号の船員となる。その理由を本人はいくつか書き記しているが、自分の肌が有色であり差別を経験し、日本人と似た容貌から日本語や日本の事情を学びたかったこと、鎖国によって情報が乏しい日本の神秘が冒険心を掻き立てたことなどを挙げている・・・>
是非「ラナルド・マクドナルド日本回想記」の再版を願いたい。
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*読者諸兄の皆さま、御意見を! ishiifam@minos.ocn.ne.jp
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