論客:加藤康子氏に期待する
論客:加藤康子氏に期待する
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」336/通算767 2024(令和6)年9/14/金】9/22の「彼岸入り」(秋分の日)あたりから熱波は落ちつくとか。日本気象協会の長期予報よると最高21度あたりらしいが・・・祈るしかない。
秋分の日は敗戦以前は「秋季皇霊祭」と呼ばれていた。歴代天皇をはじめ皇族の霊をまつる儀式を行う日のことだった。占領軍のGHQマッカーサーにより昭和23(1948)年に「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」日として、秋分の日に改名させられた。屈辱的・・・
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産経2024/9/11 加藤康子(かとう こうこ)都市経済研究家/元内閣官房参与の「正論『鉄は国家なり』令和に継ぐ教訓」から(一部カット)。
<◎日鉄のUSスチール買収問題: 国内最大手の鉄鋼メーカー「日本製鉄」(日鉄)による米国のUSスチール買収に政治の壁が立ちはだかっている。8月19日、米共和党のトランプ前大統領は、大統領に返り咲いた場合はUSスチール買収を阻止すると表明した。民主党のハリス副大統領も、国家には強い鉄鋼会社の維持が必要とし「国内で所有・運営されるべきだ」と述べた。バイデン政権は、安全保障上の理由で日鉄によるUSスチール買収を阻止する方針だと報じられている。両大統領候補はペンシルベニア州などラストベルト(錆びついた工業地帯)の労働者層票を巡って熾烈な選挙戦を繰り広げている。
反対の動きの一方、USスチールの株主は買収を歓迎してきた。4月の臨時株主総会では99%の圧倒的多数で日鉄の買収が承認された。日鉄は買収合意時の株価に40%上乗せし、141億ドル(約2兆円)という巨額の資金を投じる。半年のUSスチールの利益の約10倍に相当する額だ。
鉄は製造業の象徴的な存在ではあるが、現在のUSスチールの粗鋼生産量は1500万トン(世界24位)に過ぎず、年間4400万トン(世界4位)の日鉄と組むことにより、世界3位のトップメーカーに返り咲く。全米鉄鋼労働組合(USW)の反対が指摘されるが、日鉄はUSスチールの看板を替えず、雇用も約束する。
日鉄は高い品質のスチール鋼板製造技術を米国にもたらすはずだ。その投資は米国の悲願だった自動車や最終完成品を生産するラストベルトの工場群を再建する、大きな一助となるだろう。世界でブロック経済化が進む中で、米国の安全保障においても重要な役割を果たす。米国は粗鋼生産量で圧倒する中国製の工業製品に対峙するサプライチェーン(供給網)を日本と構築することができる。
トランプ氏は米市場への外資のアクセスを大幅に制限する方針で、メキシコやカナダなど北米自由貿易協定(NAFTA)の下での生産も例外とはしない。メキシコに拠点を置く自動車や部品工場などに100~200%の関税や輸入制限をかける計画だ。
だが強い米国と製造業の復活を実現するには良質の鉄を生産する製鉄所が国内に必要だ。買収が成功すれば日鉄は伸び行く市場の恩恵を受け、安いエネルギーコストの米国で大いに発展するだろう。買収問題の行方が注目される。
◎心配な日本の経済縮小: 翻って心配なのは日本である。日本のエネルギーコストは高い。日本でも自民党総裁選が始まるが、グリーンやデジタルなどの公約は目にしても、日本の基幹産業の成長を支える社会インフラの整備を訴える候補者が少ない。
日本の問題は電力にある。伝統的電力多消費産業に加え、AI、データセンター、半導体等により電力需要は爆発的に伸びる。だが原子力発電所の運転延長をもってしても、2040年代に原発は激減し供給力が足り得ない。原発、火力発電所の新増設の決断と実行が国策で必要なのである。
日本の市場が縮む中で、鉄鋼需要の将来予測は厳しい。安定電源の確保を怠り、再エネ主力電源化政策の下で太陽光などの変動電源比率が高まれば、国内の製造業はエネルギーコストが高い日本を、投資予見性がないと判断し、海外に出ていくだろう。産業の母である鉄が縮小すれば、日本のものづくりはどんどん後退する。製造業が縮小すれば日本経済が縮小するのである。
日鉄は政府のCO2削減目標に呼応し、水素還元製鉄や電炉への転換を目指しているが、これらの技術を実現するには原発数基分の電力が必要である。自民党総裁選では、次世代革新炉や火力発電の新増設など、未来の電源を確保するエネルギー政策について注目される。
◎真に国益考えるリーダーを: 「鉄は工業の母、護国の基礎なり。製鉄の業起らざれば万業振はず、軍備整はず」(冶金(やきん)学者、野呂景義(のろかげよし)の言葉)。鉄の国産化は明治の殖産興業、富国強兵の原点であった。戦後いち早く奇跡の復興を遂げた背景にも鉄の技術力があった。終戦直後の粗鋼生産量56万トンから、1973年には1億2000万トンまで増え、日本の高度経済成長を支える原動力となった。日本経済の土台を支える自動車や鉄などの基幹産業は国力と安全保障に欠かせない。
自民党の各総裁候補には、環境志向やグローバリズムばかり優先せず、日本の国益を第一に考え、民間が設備投資をしやすいエネルギー政策と、国策での社会インフラの整備を議論してほしい>以上
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いやはやスゴイ論客がいるものだ。WIKIによると――
<加藤 康子(かとう こうこ、1959年1月21日 - )は、日本の都市経済研究家。産業遺産情報センターセンター長。一般財団法人産業遺産国民会議の専務理事、筑波大学客員教授。2015年7月より2019年7月まで、安倍晋三内閣(第3次から第4次第1次改造内閣まで)における内閣官房参与(産業遺産の登録および観光振興を担当)を務めた。
◎経歴・活動: 東京都生まれ。1981年、慶應義塾大学文学部国文学専攻卒業。国際会議通訳、CBSニュース調査員を経て、1989年、ハーバード大学ケネディ・スクール政治行政大学院修士課程修了(MCRP取得)。慶應大在学中に産業遺産の概念に出会い、ハーバード大学院では企業城下町を研究し、在学中に第一法規出版の『まちづくりVIEW』に「アメリカのまちづくり」シリーズを連載した。
卒業後は日本に帰国し、大学院時代の友人とベンチャーを起業。企業経営のかたわら、学生時代から続けていた「産業遺産」の調査・研究活動を継続。英国、ドイツ、北欧、米国、豪州など世界各地に足を運び、鉱工業を中心とした産業遺産の保存と活用事例を現地で調査。その成果を順次、『観光リゾート開発戦略データファイル』(第一法規出版)、『エコノミスト』(毎日新聞社)、『マルコポーロ』(文藝春秋)、『三田評論』(慶應義塾大学出版会)、『学燈』(丸善出版)などに寄稿した。1999年1月、それまでの調査研究活動の集大成として『産業遺産~「地域と市民の歴史」への旅~』(日本経済新聞社)を上梓した。
◎人物・エピソード: 父親は国土庁長官、北海道開発庁長官、農林水産大臣を歴任した加藤六月。前内閣官房長官で自由民主党総務会長を歴任した加藤勝信は義弟(妹・周子の夫)>
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小生から見ると加藤康子氏は異次元の人、別世界の方のよう。今後も素晴らしい論稿を期待したい。
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*読者諸兄の皆さま、御意見を! ishiifam@minos.ocn.ne.jp
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渡部亮次郎 「頂門の一針」ryochan@polka.plala.or.jp
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